国家間の緊張関係の中での「和解」 KGKがホストしたIFES東アジア地区の卒業生会大会(EAGC)

 

キリスト者学生会(KGK)が加盟するIFES(International Fellowship of Evangelical Students、国際福音主義学生連盟)の東アジア地区の卒業生会大会(EAGC=East Asia Graduate Conference)が9日から13日にかけて、国立オリンピック記念青少年総合センター(東京都渋谷区)で開催された。大会のテーマは、「Reconciliation at work(和解)」。364人の卒業生が集まった。

大会2日目は、台湾の卒業生たちによる賛美と祈りで始まった。

EAGCは、1985年から3年に1度、IFESに加盟している各国の卒業生会が持ち回りで開催する大会で、日本では18年ぶり。今回は、韓国、台湾、香港、マカオ、フィリピン、マレーシア、カンボジア、シンガポール、タイ、 モンゴル、日本の社会人が参加した 。

「和解」というテーマは、次の聖書箇所から取られている。

神は、キリストを通してわたしたちを御自分と和解させ、また、和解のために奉仕する任務をわたしたちにお授けになりました。つまり、神はキリストによって世を御自分と和解させ、人々の罪の責任を問うことなく、和解の言葉をわたしたちにゆだねられたのです。ですから、神がわたしたちを通して勧めておられるので、わたしたちはキリストの使者の務めを果たしています。キリストに代わってお願いします。神と和解させていただきなさい。(2コリント5:18~20)

初日のオープニング・メッセージでKGK総主事の大嶋重徳(おおしま・しげのり)さんはこう語る。

「2年前から『和解』をテーマにすることは決まっていましたが、(最悪の日韓関係といわれる)現況下で最もふさわしいものとなりました。初日の開会礼拝も、韓国の兄弟姉妹と一緒に祈って始まりました」

今大会のメインスピーカーは、クリス・ライスさん(デューク大学東アジア大使、メノナイト中央委員会のアメリカ共同代表)と菅家庄一郎(すがや・しょういちろう)さん(OMF北東アジア地区国際主事)。

菅家庄一郎さん

2日目に登壇した菅家さんは、「Brokeness & Conflict(破れと対立)」と題して聖書講解をした。菅谷さんはKGKで活動していた大学時代、タイ国でのキャンプに参加して、宣教師になるビジョンが与えられた。関西学院大学を卒業後、愛知県公立高校の英語教員を経て、シンンガポールのディサイプルシップ・トレーニング・センターで神学を2年間学び、OMFインターナショナルを通して1995年にカンボジアに派遣され、大学生伝道と教会教育に関わってきた。

創世記3章から、神との断絶が生まれた経緯と、そこから自分や他者、被造物との不和が生じたことを伝えた上で、「しかし、どんなに堕落した世界であっても、創世記1〜2章で神が創造された良い世界が土台であり、私たちも神様から造られたすばらしい人間なのです」と強調した。

さらに、「(神は)十字架の血によって平和を打ち立て、地にあるものであれ、天にあるものであれ、万物をただ御子によって、御自分と和解させられました」(コロサイ1:20)という聖句に表されているのが神の最終ビジョンであるとして、次のように語った。

「神の最終的な御心は、キリストにあって、神と人、人と人、人と被造物の間に完全な和解が達成されることです。神がすべての領域において和解を望んでおられるなら、私たちもまた、自分が関わるすべての領域において和解が生まれるように働きかけていくべきです」

そして、具体的に自らの経験について触れた。あるときカンボジアの青年から、「地獄のようなカンボジアがどうしたら天国のようになれるかを知りたい」と言われ、彼らのつらさや苦しみを知らないまま現地で宣教活動をしていたのではないかと気づかされたという。また、父親が日本人にひどい目にあった韓国人の宣教師が、「私にとって福音とは、韓国人と中国人と日本人が同じ団体で働けているということです」と答えたことにハッとさせられたと述べた。

「環境問題にしても、自分たちの生活が脅かされるから取り組むのではなく、『神様が造られた世界が歪められ、傷つけられているから、私たちは働く』というモチベーションがあっていい」

そして、最後にこう締めくくった。

「この壊れた世界において、唯一の望みは教会です。ただ、教会も罪人の集まりなのですが、そういう現実に開き直るのではなく、『地の塩、世の光』という役割を互いに果たしていくために、祈りつつ行動していかなければいけないのではないでしょうか」

同大会の準備委員長は次のように話す。

「今の東アジアにはさまざまな緊張関係や問題があって、その中に生かされている若手の僕たちがどう生きるべきかが問われると思います。今回学んだことをそれぞれが遣わされた場所に持ち帰り、神と和解させられた者として、和解の務めをもって遣わされたという意味をきちんと受け取って生きていきたいと思います」

 






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