【書評】 『日韓キリスト教関係史資料Ⅲ 1945~2010』 富坂キリスト教センター 編

 13年の歳月をかけてついに刊行された。資料計527点、1,100頁を超す大部のものである。扱われている年代は1945年~2010年。これは1984年刊の『資料Ⅰ』(1876~1922)、1995年刊の『資料Ⅱ』(1923~1945)に続くものであり、このたびのⅢの刊行によって日韓キリスト教関係史134年間の現実を、おびただしい資料をとおして見つめることができるようになった。

 全体は日本側資料と韓国側資料に大別され、それぞれ第Ⅰ部「アジア太平洋戦争敗戦から日韓基本条約締結までの交流の動き」(1945~1965)、第Ⅱ部「韓国民主化闘争と日韓連帯の動き」(1965~1987)、第Ⅲ部「戦後補償問題を含む日韓の交わりと統一への模索」(1987~2010)の3部構成となっている。口絵には貴重な16枚の写真が収められ、各部冒頭には各資料の背景や性格を理解する助けとなる計六つの解説が置かれ、また巻末には詳細な年表と人名索引が付されている。

特に重要な位置を占めるのは、1970~1980年代の韓国民主化闘争を伝える生々しい資料の数々である。例を挙げよう。ある学生が、獄外にいる愛する女性に送った「獄中にて」と題する詩と手紙の一部である。「鉄窓の中 三坪あまりの監房に閉じ込められたのではない/私が閉じ込められたところは/私の無気力と不信仰 そして空しい欲望の枷(かせ)の中/……主よ わたしを選んでください/そしてまた血のにじむ戦いを始めさせてください/××さん/作れない詩を書いてみました/聖書は私にとってかけがえのない慰めの言葉です。……」

軍事独裁政権下、自由と民主主義を求めて戦う韓国キリスト者の姿と声に突き動かされるようにして、支援に立ち上がった日本のキリスト者の姿と声も立ち現れてくる。1974年、韓国問題キリスト者緊急会議から派遣されて単身韓国に渡り、秘密裏に民主化運動指導者のメッセージを持ち帰って世界に伝えた飯島信氏の回想は、手に汗を握らせる。

またこの巻は、日本の朝鮮植民地支配が韓国教会にもたらしたさまざまな影響や葛藤と共に、負の歴史を克服しようとする韓日のキリスト者の努力を伝えている。金麟瑞(キム・インソ)牧師の「日帝下に犯した罪を悔い改める」(1950)は厳しい信仰的良心の発露であるが、ここからわたしたちは日本の教会の姿勢を問われずにはいない。

最後に収められた「’98民族の和解・平和・統一のための祈願礼拝」は、今日の閉塞状況にも希望の光と励ましを与える。本体価格1万5,000円と高価なものではあるが、現代の日韓関係史を具体的かつ詳細に知り、今後の関係再構築を考えるための必備の文献として強く勧めたい。

(評・井田泉=日本聖公会司祭)

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