スリランカで復活祭ミサの教会などを爆破、死者290人に

 

インドの南東に浮かぶセイロン島の国スリランカで21日、復活祭のミサを行っていた二つのカトリック教会(最大の都市コロンボにある大司教座教会の聖アンソニー教会、その北にあるニゴンボの聖セバスチャン教会)と福音派教会(バッティカロアのシオン教会)、ホテルなどが相次いで爆破された。ロイターによると、スリランカ警察は22日、テロによる死者数が290人に達したと発表し、「爆発のほとんどは自爆テロによるものだ」と語った。

コロンボの聖アントニオ教会(写真:AntanO)

当局は容疑者13人を拘束したが、実行犯の実態は明らかになっていない。また河野太郎外相は22日、日本人の被害について、1人が死亡、4人が負傷していると明らかにした。10年前に内戦が終結して以降、最悪規模のテロ被害だ。

ニゴンボの聖セバスチャン教会(写真:Bernard Gagnon)

教皇フランシスコは同日正午、バチカンのサンピエトロ広場に集まった信者を前に復活祭(イースター)のメッセージを伝えた際にコメントした。

「復活祭の祈りに集っていた(スリランカの)教会共同体の皆さん、そして、このような残酷な暴力の犠牲になったすべての方々に心から寄り添い、深い哀悼の意を表明します。このような悲劇の犠牲になられたすべての方々を主におゆだねします。けがをされた方々、この悲劇的な出来事によって苦しまれている方々すべてのためにお祈りします」

世界福音同盟(WEA)事務総長兼最高経営責任者(CEO)のエフライム・テンデロ氏は次のように述べた。

「イースターの日曜日に礼拝者や無辜(むこ)の人々を狙った攻撃のニュースを聞き、深く悲しみ、心を痛めています。私たちの主イエス・キリストの復活を祝う時に、この無情な暴力によって命が奪われたことを嘆いています。私たちは世界中の教会に向かって、傷ついた人のために祈るよう呼びかけます。そして、神の力強く慰めに満ちた臨在がこの悲劇の中にある人々と共にあるようにと。復活の信仰をしっかり握りしめ、人の思いを超えた平和を体験できるよう、神が助けてくださいますように」

世界教会協議会(WCC)のオラフ・フィクセ・トヴェイト総幹事はこう語る。

「このぞっとするような暴力行為で愛する人を失ったすべての人にお悔やみを申し上げます。私たちは信仰の旅の大切な瞬間を祝いつつ、このような悪質な方法で攻撃されたスリランカのクリスチャンと連帯します。このように教会をターゲットにすることは、宗教的な平和と調和への攻撃であり、宗教的調和と多様性の原則を維持するために長い間苦労してきた国の社会的・文化的な仕組みへの攻撃でもあります。このような暴力行為は生命の尊厳を損ない、多くの意味で冒とくを引き起こします。ただ、この冒とくに反対して声を上げながらも、『暴力が暴力を生むべきではない』と断言します。このイースターの日に私たちは、キリストの愛の精神の中で、暴力や憎しみ、死が最後の言葉を持たないという信念に立ちます。平和と庇護(ひご)の神聖な空間で命を落とした人々の記憶にぴったりの賛辞は、平和と愛の力が暴力の力よりはるかに大きいことを証明するという困難な課題を解決することです。私たちのよみがえられた主イエス・キリストは次のように述べています。『わたしは、平和をあなたがたに残し、わたしの平和を与える。わたしはこれを、世が与えるように与えるのではない。心を騒がせるな。おびえるな』(ヨハネ14:27)。これらの攻撃の余波に対処する人々にとって、この言葉がいっそう真実になりますように。すべての人に希望と癒やしが与えられますように」

スリランカ人の7割は仏教徒が占めており、2008年のギャラップ世論調査によると、スリランカは世界で3番目に宗教的な国で、「宗教は自分たちの日常生活の重要な部分だ」と99%が述べている。7・4%がクリスチャンで、そのうち8割以上(約120万人)がカトリック(2012年の国勢調査)。疑い深かった弟子のトマスがキリストの復活後、インドに宣教に赴き、地理的に近いスリランカにも福音を伝えたという伝承がある。16世紀の大航海時代に、ポルトガルによってカトリックの伝道がされた。そのほか、約29万人(1・4%)がプロテスタントで、聖公会やメソジストが多い。日曜のミサや礼拝の出席率は高く、特にイースターは日ごろ教会に行かない人も行くので、より人が集まっていた。

 






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