日本宗教連盟 持続化給付金めぐり宗教法人も支給対象とするよう自民党に要望していた経緯を公開 2020年6月26日

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 日本宗教連盟(岡田光央理事長)は6月24日、持続化給付金をめぐり自由民主党(組織運動本部団体総局)からの要請に応じる形で、宗教法人も支給対象とするよう要望していたことを明らかにした。

 同連盟は、新型コロナウイルスの感染が拡大する中、「政府による迅速な対応と、様々な支援策の策定が必要であることを痛感し、早期対応の必要性を、各所へ訴える必要性があると5団体(教派神道連合会、全日本仏教会、日本キリスト教連合会、神社本庁、新日本宗教団体連合会)で意見交換と協議を行っていた」。その理由について、「宗教法人の多くは小規模で、家族のみで運営しているが、国民の生活が安定しない状況が続くと、宗教法人にも今後しばらく影響が出るという危機感をもったから」としている。

 自民党(組織運動本部団体総局)から4月9日、「コロナ禍において宗教界の意見と要望を聞かせてほしい」と連絡があったことを受けて、同連盟はオンライン上での協議を重ね、「要望」としてまとめた意見を4月17日、自民党組織本部、社会・宗教関係団体委員長宛てに提出。それによると、「法事や法要、礼拝、祭祀などの宗教活動を中止したり、最小限に縮小したりと本来の宗教活動を自粛して」感染予防対策を行った宗教法人が、「一人一人の浄財・献金によって支えられて」いるため、「浄財・献金の減少が運営そのものに支障をきたす状況」であると説明した上で、「宗教活動もままならず寺社仏閣、教会等が地域から消滅してしまう事態も起こりうる」とし、「宗教法人が公益法人等として支給対象となるよう」「宗教法人が支給対象から除外することがないように、政教分離の解釈のあり方についても」周知するよう要望していた。

 その後、政府担当者(中小企業庁)から「憲法第89条違反の疑いがある」との理由で宗教法人が対象外とされたとの説明を受け、「89条違反をいうなら、宗教、民間公益法人、ともに対象外とするのが筋論ではないのか。それなのに、なぜ前段部分の『宗教』だけが違憲として外されるのか疑義を抱いた」「これまでも、阪神・淡路大震災、東日本大震災などの大規模災害時には、憲法第20条、及び、第89条を引き合いに出し、『政教分離』に反するという間違った解釈をあてることで、宗教および宗教施設のみを瓦礫の撤去の対象とせず、復興政策から外すことが、さも当然の如く行われてきた事実がある」と異論を唱えた。

 その上で同連盟は、「このたびの新型コロナウイルスの社会的影響と、政府の支援策について(意見)」と題する声明を発表。「地域コミュニティの維持という公益目的を果たしている宗教法人が、他の公益法人とは異なり支援の対象から除外されたことに対して、宗教法人のみ特別扱いされるのではという重大な危惧」を表明し、「信徒・信者の生活の困窮により法人の収入が激減し、存続すら危うい寺院も多数」との窮状を訴えた。全文は以下の通り。


このたびの新型コロナウイルスの社会的影響と、政府の支援策について(意見)

令和2(2020)年6月23日

公益財団法人 日本宗教連盟

 新型コロナウイルス(COVID-19)の感染は今なお世界的に広がっており、「緊急事態宣言」は解除になりましたものの、いまだ予断を許さない状況が続いております。

 この感染症により、闘病されている方々に心よりお見舞いを申し上げます。また、感染症により亡くなられた方々に衷心より哀悼の誠を捧げますとともに、ご遺族、ご関係の皆さまの心中いかばかりかと拝察いたします。

 今回の新型コロナウイルス対応に関して、本連盟では幹事会での検討を重ね、各方面に対して以下のような意見を述べてまいりました。

① 当初の緊急経済対策では網羅されない国民が多数いるため、支援から漏れ落ちる人々がないよう検討をすること。また、エッセンシャルワーカーに対しても医療関係者に準ずる優先的な支援をすること

② 国内に約18万ある宗教法人のうち、約7割が家族のみで奉仕し、年間予算規模が500万円未満の零細法人であるため、支援にあたってはその声にも耳を傾けていただくこと

③ 中小企業を対象とする事業が、非課税団体である公益法人にも対象が広げられたにもかかわらず、本来公益法人に含まれる宗教法人だけがその対象から除外されたことへの疑問

④ 信教の自由の擁護や宗教文化の振興、心豊かな社会の形成を担い、地域社会のコミュニティの維持のために重要な役割を果たしている宗教法人が、引き続きその役割を担っていけるようにすること

 宗教法人は一人一人の信徒・信者によって支えられております。国民が等しく国難に瀕している中で、信徒・信者の置かれている状況を訴え、支援の検討をお願いすることも本連盟の活動として必要であると考えますし、それは宗教法人を特別扱いするものではないと思慮いたします。

 その一方で、施策策定の過程において、地域コミュニティの維持という公益目的を果たしている宗教法人が、他の公益法人とは異なり支援の対象から除外されたことに対して、宗教法人のみ特別扱いされるのではという重大な危惧を持っております。宗教法人は法律上公益法人に属し、税制に対しても公益法人税制が適用され、その中で活動をしております。また、文化庁と協力して全国の宗教法人に対して、宗教法人の公益性を訴えており、今後も公共の利益に寄与する事に努めてまいりたいと思います。

 上記②にあるように、文化庁の統計では、約7割の宗教法人は零細な運営で担われております。信徒・信者の生活の困窮により法人の収入が激減し、存続すら危うい寺院も多数あり、本連盟に対し、その窮状を訴える法人もあります。そのような宗教法人の切実な現状を各方面に届けることも、私たちの大切な役割と認識しております。

 今後も日本宗教連盟は、宗教法人の置かれている現状を包括的に受け止め、寄せられる声を真摯に受け止めつつ、本質的な議論を進めてまいりたいと思います。

NCC靖国神社問題委員会 持続化給付金の宗教法人への適用に反対の意向「政教分離原則を重視」 2020年6月20日

あばさー – 投稿者自身による作品, パブリック・ドメイン, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=89465817による

 






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