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【東アジアのリアル】 コロナ禍で疲弊する中国の家庭教会 遠山 潔 2020年9月21日

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中国の大都市で異変が起きている。新型コロナウイルスの影響が社会の隅々まで浸透しつつある中、若者たちに大きな衝撃が直撃しているのだと知人はいう。地方から都会へ移住し、右肩上がりの経済成長の恩恵にあずかりながら就職をした若者たちの多くが、企業から一方的に解雇通知を受け始めているというのだ。

彼らは知り合いが多くない大都市で生活し、仕事をこなしてきた。週末には、その少ない知り合いを通してたどり着いた「家庭教会」で礼拝と交わりを享受しながら、心の疲れと虚しさを癒やされてきた。しかし、コロナ禍で真っ先に影響を受けたのがこのまだ20代の若い層の人々である。企業の業績が史上最悪な状態になりつつある中、真っ先に影響を受けたのが彼らなのだという。

解雇されないためにはどうすれば良いのか。今、多くの大都市にいる若者たちの中で喫緊の課題として挙げられているのが、副業を見出すことである。日本でも最近、話題となりつつあるが、副業をすることによって収入源を多元化させ、自分の身を守ろうとする傾向が強くなってきている。しかし、副業を行うためにはさまざまな資格がないと難しい。そこで若者たちの多くが資格取得のために隙間時間を利用して勉強している姿を多く見かけることになったという。中には睡眠時間を削ってスマホだけで勉強をしているため、疲労困ぱいで顔色があまり芳しくない人もいるのだとか。デスクで仮眠をとる姿はどこでも見られる光景になった。

勉強の合間に疲れて寝ている若者(Photo by A.Z.)

新型コロナウイルスによるこの現象の影響は「家庭教会」の中にも及んでいる。リアルに会って礼拝をささげることがまだ完全にできないため、オンラインでの礼拝が未だに続いている。資格取得のため、勉強に没頭している若者たちの礼拝出席率が徐々に落ちてきていると、知人は危惧する。オンラインだからこそ、余計に集中力を必要とするのか、中には画面をオンにしたまま居眠りしてしまっている人もいるのだとか。牧師も教会員が疲れていることに懸念を示している。若者の間では「オンライン疲れ」が顕著になりつつあるという。

聖餐式はオンラインでは難しいと考えているこの牧師は、役員と共に教会員一人ひとりを訪問して、団地の正門の外で、野外で聖餐式を執り行う。外部の者が団地内に入ることが難しいからだ。そしてその都度、一人ひとりの状況を確認しては祈って、鼓舞して、次の訪問へと向かうという。

最近、特に地方出身の若者たちが一人また一人と離れていっている。ある日、知人がそう語った。故郷に帰る者がほとんどだというが、中には帰る家がないため、他の大都市へと移住した者もいる。さすらいの身になる者もいて、ただただ社会の流れに身を任せ、連絡も取れなくなってしまう者さえいる。彼らは社会の犠牲になっている。何とかして彼らの心に届きたい。そのような強い思いをもって祈り、関わりをもつようにしているという。ソーシャルディスタンスを保たなくてはならない今、リアルな交わりがなかなか持てない。教会はどのようにして一人ひとりの必要に応えていくべきなのだろうか。いつもそのことを考え、一日一日を過ごしているとその知人は語ってくれた。

疲弊する社会の中で、教会が担う役割は非常に大きい。だが、そこにも多くの課題と圧力がのしかかってきている。中国の教会のために、ますます祈る必要があると改めて思わされた。

遠山 潔
 とおやま・きよし 1974年千葉生まれ。中国での教会の発展と変遷に興味を持ち、約20年が経過。この間、さまざまな形で中国大陸事情についての研究に携わる。国内外で神学及び中国哲学を学び修士号を取得。現在博士課程在籍中。関心は主に中国の教会事情及び教会の神学発展についての諸問題。趣味は三国志を読むこと。

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