ネクストトレンドなるか!?イースターをお祝いするお菓子「アニョー・パスカル」

首に結んだリボンがかわいい「アニョー・パスカル」。
仏蘭西菓子研究所さんのブログよりお借りしました。

近年、日本でも定着しつつあるイースター(復活祭)。この時期になると、卵やうさぎの形のチョコレートを販売するお店も増えてきました。
今回は、ちょっと目先を変えて、フランス・アルザス地方で生まれたイースターを祝うお菓子、「アニョー・パスカル(L’agneau pascal)」をご紹介します。
フランス語でアニョー(agneau)は“小羊”、パスカル(pascal)は“過越“の意味。なんだか妙な名前ですが、これは旧約聖書、出エジプト記に書かれている“過ぎ越し(すぎこし)の祭り”に由来すると考えられています。

過ぎ越しの祭りとは、長い間エジプトで奴隷とされていたイスラエル人(現在のユダヤ人)が、“十の災い”の後にモーセに導かれてエジプトを脱出し、奴隷から解放されたことをお祝いする祭りです。

十の災いについては、映画『十戒(じっかい)』や『プリンス・オブ・エジプト』にも描かれているので、ご存知の方も多いかもしれませんね。
奴隷解放を拒んだエジプト王(ファラオ)を屈服させるために、神様がモーセを通して起こした天災や災いのことで、ナイル川の水が血に変えられたり、伝染病が発生したり、イナゴが大量発生してエジプト中の作物を食い荒らしたり・・・と、とにかくエジプトの人々はこれらの災いに苦しめられました。しかし、ファラオはどんな災いが起ころうとも、どれだけ多くの人々や動物たちが苦しみ、命を落とそうとも、奴隷解放を受け入れようとしません。
そうして起こされた最後の災いが「エジプト中の初子を皆殺しにする」というものでした。
ただし、イスラエル人だけには、事前に逃げ道が用意されていたのです。それは、その日の夜、小羊を屠(ほふ)り、肉を焼いて食べ、その血を家の戸口に塗っておくとこと。その晩、人間だけでなく、動物も含めてエジプト中のありとあらゆる初子が殺されましたが、小羊の血の印が付けられた家は神様が“過ぎ越し”、イスラエル人達は誰ひとり命を落とすことはありませんでした。
そして、その日を境に無事に奴隷から解放されたことから、この日はユダヤ人にとってかけがえのない記念日になりました。今もイスラエルでは過越の祭り(ペサハ)を一大イベントとして家族でお祝いするそうです。

この日は、あなたたちにとって記念すべき日となる。あなたたちは、この日を主の祭りとして祝い、代々にわたって守るべき不変の定めとして祝わねばならない。
‭‭[出エジプト記‬ ‭12:14‬ ‭新共同訳‬‬]

さて、本題に戻りましょう。
過ぎ越しの祭りは、イエス・キリストが生まれるずっと前、旧約聖書の時代のお話です。
ではなぜ、イエス・キリストの復活をお祝いするイースターに小羊を食べるのでしょう?

答えは新約聖書の中にありました。

その翌日、ヨハネは、自分の方へイエスが来られるのを見て言った。「見よ、世の罪を取り除く神の小羊だ」
[‭‭ヨハネによる福音書‬ ‭1:29‬ ‭新共同訳‬‬]

イエス・キリストの象徴でもある子羊。旧約聖書には神様へのいけにえとして登場します

つまり、小羊はイエス・キリストの象徴だったんですね。
クリスチャンではない方にはちょっとわかりにくいかもしれませんが、かつて神様がエジプト中の初子を殺してしまった際に、小羊の血によってイスラエル人たちを救ったように、イエス・キリストは自身の血によってすべての人類を罪から救った、と聖書は教えています。

聖書の教えは今も変わりませんが、時代とともに丸ごと一頭の羊を家庭で料理することが少なくなり、代案として誕生したのが「アニョー・パスカル」ではないかなと想像します。
今回、アニョー・パスカルの画像をお借りした仏蘭西菓子研究所さんのブログによるとその起源は古く、16世紀ごろにはすでに作られていたのだとか。
陶器の産地として知られるアルザス地方のスフレンハイム村では、今も職人さんたちが手作りでアニョー・パスカルの型を作っているそうです。

いくつかレシピを調べてみたところ材料は卵、小麦粉、砂糖、バターといたってシンプル。卵黄と卵白に分け、卵白はしっかりメレンゲ状に泡立ててから生地に混ぜ込むことから、マドレーヌなどの焼き菓子よりもふわっと軽い仕上がりになると思われます。

まだまだ日本では見かける機会が少ないお菓子ですが、イースターの期間だけ発売するお菓子屋さんも存在するよう。見かけたらぜひ、召し上がってみてください。
今年こそはわたしも、探してみようと思います。

spechial thanks!
仏蘭西製洋菓子研究所
アニョー・パスカルをはじめ、フランス各地に伝わるお菓子が紹介されています。甘党必見です!

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