青山学院、「受験口利き疑惑」について調査報告書を公表

 

青山学院(東京都渋谷区)は29日、「青山学院理事長の小学校300万円入学口利きを告発する」という「週刊文春」(3月21日号)の記事について、内部調査委員会から出された調査報告書を公表した。

青山学院大学間島記念館(写真:penta)

「週刊文春」は、昨年の初等部(小学校)の受験で、堀田宣彌(ほった・のぶみつ)理事長や山本与志春(やまもと・よしはる)院長も関与する「口利き疑惑」が浮上し、内部調査が行われていると報じた。会社経営者のX氏(50代)が昨秋にあった受験で息子を青学初等部に入学させるため、堀田理事長や山本院長らに総額160万円以上の接待を繰り返し、受験前には計300万円を青学側に寄付したという。

それに対して青山学院はすでに13日、「そのような事実は全くなく、当学校法人は、株式会社文藝春秋『週刊文春』編集部に対し、法的手続きを取るべく準備中です」と声明を出している。

その中では、記事に対して次のような見解が述べられている。今回の告発者であるX氏から「合計300万円が寄付された事実はあります。しかし、これは告発者が初等部の上記要請を無視して一方的に寄付されたものであり、当学校法人が要請したものではありません。また、当学校法人の理事長が300万円で初等部入試に関して口利きをした事実も全くありません」。また、記事にあるような「告発者から高級フレンチや大相撲の升席で接待された事実も全くありません」。

それから2週間後の今日発表された「X氏夫妻からの請求に対する調査報告書の公表」(週刊文春の関連記事に対する見解を含む)では、まず発端となった経緯から説明している。

平成30年12月27日付で、X氏夫妻の代理人弁護士から、学校法人青山学院(以下、「本学校法人」といいます)、堀田理事長、山本院長、D氏に対し、「X氏夫妻は、その子どもを青山学院初等部に入学させたいと考え、A氏を介してB氏、D氏らを紹介され、D氏から青山学院の役職者が作成する推薦状が重要であり、青山学院の役職者らと懇親等を深めたり、高額の寄付をする必要があると言われて実行したが、これらの行為は青山学院では認められていないものであることが判明した。そこで、X氏夫妻は、堀田理事長、山本院長、D氏、青山学院に対し、接待等及び寄付した金員の賠償を請求するとともに、青山学院に対し、堀田理事長、山本院長、D氏の進退等につき有意な判断をすることを求める」という内容証明郵便が郵送された。

続いて、内部調査委員会の設置について説明する。

本学校法人は、X氏夫妻が指摘した事項について調査するため、内部調査委員会を設置することを決め、委員として、常務理事楯香津美弁護士、同薦田博氏、監事石原修弁護士を選任し、X氏夫妻を含む11名から事情聴取をするとともに、証拠資料を確認した。当内部調査委員会は、日本弁護士連合会策定の第三者委員会ガイドライン(平成22年12月17日改定)で定める『第三者委員会』には該当しないが、可能な限り、上記ガイドラインに準拠して中立・公正な立場で調査を開始した。

その調査結果は以下のとおり。

1番目は、推薦状の受領について。

X氏夫妻は、本学校法人としては推薦状を受領しないにも係わらず、堀田理事長、山本院長はこれを隠して推薦状を受領したなどと主張している。

調査報告書によれば、本学校法人の方針は、初等部では受験に当たって紹介状や推薦状は受け取らないというものである。しかし、本学校法人においては、過去において、推薦状を初等部に持参する例があったため、このような事態を防止するために院長が預かり、初等部には渡さないことにしているものであり、本件でも初等部には渡していない。このような本学校法人の方針は、初等部に推薦状が持ち込まれて混乱することを防止するという相当な目的に基づくものであるから是認しうるものである。従って、堀田理事長及び山本院長が推薦状を受け取ることに問題はなく、X氏夫妻の批判は当たらない。

2番目は、接待について。

X氏夫妻は堀田理事長に対し、平成29年7月(M県関係者を囲む会)、同年12月(M県出身者の会)、平成30年5月(理事長再任、院長就任を祝う会)、同年7月(某を囲む会)の4回にわたり酒席を設営し、平成30年1月の大相撲の枡席を進呈したと主張している。

調査報告書によれば、平成29年7月及び平成30年7月は、一人1万円の会費制であったことが認められ、X氏夫妻との間で精算する必要はない。平成29年12月についてはA氏が飲食代金を支払っているので、X氏夫妻との間で精算する必要はない。平成30年5月についてはB氏が飲食代金を支払っているが、同氏はお祝いの会であるから精算は不要であると述べており、精算の必要はない。また、堀田理事長は、X氏夫妻ではなくA氏から枡席を進呈された事実が認められる。以上のとおり、堀田理事長がX氏夫妻から接待を受けた事実はない。

X氏夫妻は山本院長に対し、平成30年5月の酒席を設営し、平成30年1月、同年5月の2回にわたり大相撲の枡席を進呈したと主張しているが、平成30年5月については、前述のとおりB氏が飲食代金を支払っているので、精算の必要はない。また、山本院長は、X氏夫妻ではなくA氏から枡席を進呈された事実が認められる。以上のとおり、山本院長がX氏夫妻から接待を受けた事実はない。

3番目は、X氏夫妻による寄付について。

X氏夫妻は、本学校法人は受験前には寄付を受けることを認めていないにも係わらず、堀田理事長、山本院長はこれを隠して寄付をさせたと主張している。

調査報告書によれば、X氏夫妻は本学校法人に対し、カシオG-SHOCK(駅伝記念バ-ジョン)、シチズン時計(駅伝記念バ-ジョン)等を贈呈する寄付に応じて合計300万円を寄付した事実は認められるが、X氏夫妻は、受験に当たって寄付金、入学予約金を受け取らないという本学校法人の方針を無視して、自らの判断で寄付した事実が認められ、その際、堀田理事長、山本院長がことさら本学校法人の方針を隠したことも、寄付を要請した事実も認められず、堀田理事長及び山本院長に責任は認められない。

なお、本学校法人では、寄付金を受け入れるに当たり、その寄付者が受験者の関係者であることを知ることはできなかったものであるが、寄付者であるX氏夫妻が返還を求めている以上、本学校法人はX氏夫妻に対し、カシオG-SHOCK50個等の返還と引き換えに寄付金300万円を返還する必要がある。また、X氏夫妻においてこれらの返還が困難な場合には、これらの価格を精算して返還すべきである。

4番目は、D氏の処遇について。

本学校法人はD氏との間で、学校法人運営に関するアドバイス等を無報酬で委嘱しているものであるが、D氏は本学校法人の教職員でも役職者でもない委嘱先の第三者であるから、本学校法人がD氏に対し、進退等の判断をする立場にはない。

上記のことを踏まえて、最後に青山学院の見解が述べられている。

1 本学校法人の堀田理事長及び山本院長が初等部入試に関する推薦状を受け取ったことは、初等部に推薦状が持ち込まれて混乱することを防止するという相当な目的に基づくものであり、受け取ることに問題はありません。

2 本学校法人の堀田理事長及び山本院長がX氏夫妻から接待を受けた事実はありません。

3 X氏夫妻が返還を求めている以上、本学校法人はX氏夫妻に対し、カシオG-SHOCK50個等の返還と引き換えに寄付金300万円を返還します。また、X氏夫妻においてこれらの返還が困難な場合には、これらの価格を精算して返還します。

 






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