美術

ブリヂストン美術館からアーティゾン美術館へ 開館記念展「見えてくる光景 コレクションの現在地」でルオーなどに新しい光

投稿日:2020年1月25日 更新日: -

 

アーティゾン美術館(東京都中央区)が18日、開館した。東京駅から徒歩で行け、ジョルジュ・ルオー「郊外のキリスト」など、クリスチャンにも人気がある名画を見られたブリヂストン美術館を前身にして、新しい美術館としてオープンした。現在、およそ2800点ある石橋財団コレクションの中から選(よ)りすぐりの206点による開館記念展「見えてくる光景 コレクションの現在地」が開催されている。3月31日まで。

(写真:アーティゾン美術館提供)

ビルの建て替えに伴う新築工事のため、2015年より長期休館していたが、昨年、新たに高層ビル「ミュージアムタワー京橋」が竣工し、その1~6階に、延べ床面積6715平方メートル、展示室の総面積約2100平方メートルを誇る美術館が入ることになった。ブリヂストン美術館の約2倍の展示面積に加え、1~2階が吹き抜けとなっており、高さ8メートルもある高透過大型ガラスによって明るく開放的な空間が広がる。さらに、最新機能の設備を備え、現代的であたたかみのあるデザインを採用したという。展示室は4~6階で、順路は6階から下りていくことになる。

ピエール=オーギュスト・ルノワール「すわるジョルジェット・シャルパンティエ嬢」(1876年、油彩・カンヴァス、石橋財団アーティゾン美術館蔵)

そもそも、ブリヂストンの創業者である石橋正二郎(いしばし・しょうじろう)が、個人で集めたコレクションを秘蔵・死蔵することなく、広く社会に共有しようと考えたことから、1952年、新築したばかりのブリヂストン・ビル内に、日本で初めてとなるオフィス・ビルにある美術館として開館。それから68年の時を経て、現代的な美術館として再び姿を現した。

エドゥアール・マネ「自画像」(1878~79年、油彩・カンヴァス、石橋財団アーティゾン美術館蔵)

記念展は2部構成。「アートをひろげる」と題した第1部では、近代から現代までの所蔵作品の中から選り抜かれた74作が6階の巨大な展示室に並ぶ。1870年代のマネの作品から、2000年代のスーラージュや、水玉模様でお馴染みの草間彌生(くさま・やよい)まで、美術家たちによる果敢な実験や試行の連続によって美術の概念が次々に拡大していった歴史が一望できる。

第2部は「アートをさぐる」。古今東西の美術を、「装飾」「古典」「原始」「異界」「聖俗」「記録」「幸福」といった7つのテーマで掘り下げ、古代から現代までの人間の創造の軌跡をたどる。

ヴァシリー・カンディンスキー「自らが輝く」(1924年、油彩・カンヴァス、石橋財団アーティゾン美術館蔵)

こうした二つの異なる視点により、ブリヂストン美術館で長らく愛されてきたセザンヌ、モディアーニ、ルオー、ルノワール、ピカソなどのコレクションに新たな光が当てられる。「聖俗」のコーナーでは、ルオーの「郊外のキリスト」や「ピエロ」も見ることができる。

「郊外のキリスト」は、伝統的な宗教主題を近代や現代に置き換えてキリストの物語を展開したもので、哀れな人々を救済するために現れたキリストの姿を、当時のパリの下町(ルオーが生まれたベルヴィル)を背景に描かれている。もともとは1920年代にパリに在住していた美術評論家、福島繁太郎(ふくしま・しげたろう)の旧蔵品。福島はルオーから「場末の町の貧しい親子を描いた」と説明されたというが、敬虔なカトリック信徒であったルオーにとっては、彼らはキリストと弟子でもあり、キリストの救済を待っている貧しい親子でもあった。ブリヂストン美術館時代から多くのルオー・ファンを魅了してきた作品だ。

(写真:アーティゾン美術館提供)

そのほかにも、生涯に2点しか制作しなかったマネの自画像のうちの1点「自画像」、1887年の第3回印象派展に出品したルノワールの「すわるジョルジェット・シャルパンティエ嬢」、さらに重要文化財である藤島武二(ふじしま・たけじ)の「天平の面影」や同じく青木繁(あおき・しげる)の「海の幸」と「わだつみのいろこの宮」なども久しぶりに見ることができる。さらに、休館中に収集したモリゾ、カサット、ボッチョーニ、カンディンスキー、ジャコメッティ、松本竣介(まつもと・しゅんすけ)などの作品約31点を初公開。これら新しい収蔵品を見られることも同展の見どころの一つだ。

開館時間は午前10時〜午後6時(毎週金曜日は午後8時まで。ただし3月20日は除く)※閉館は開館の30分前まで。休館日は月曜日(2月24日は開館)、2月25日(火)。注意したいのがチケットの購入方法で、混雑緩和のため、同館では日時指定予約制が導入されている。ウェブ予約チケットが完売していない場合のみ当日券もあるが、あらかじめ購入したほうがいい。料金は、ウェブ予約チケット1100円と窓口販売の当日チケット1500円がある。詳細はホームページまで。

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