「和解をもたらすことがミッション」イエズス会のアルトゥーロ・ソーサ総長が上智大学で特別講話・対談

 

イエズス会のアルトゥーロ・ソーサ総長の特別講話・対談が7月31日、上智大学(東京都千代田区)で開催された。イエズス会総長の来日は11年ぶり。会場には、上智大学の関係者など約350人が集まった。

イエズス会のアルトゥロ・ソーサ総長

ソーサ氏は欧州出身者ではない初めての総長。1948年、ベネズエラに生まれ、66年にイエズス会に入会、77年に司祭叙階。ベネズエラ中央大学で政治学の博士号を取得。96年から2004年までベネズエラ管区長、14年から総長顧問とローマのインターナショナル・ハウスの代表を務め、2016年、第31代総長に選出された。

講和では3つのことが語られた。まず、イエズス会大学の役割について。イエズス会は教育活動に熱心な修道会として知られ、全世界に約290万人の在学生を持つ世界最大の教育機関でもある。

「イエズス会大学は、知識とともに和解と正義を伝える人間教育の場です。個々人を大事にすると同時に、自分の殻(から)を飛び出して他者のために働く者となるための共同体です。もし個人の利益しか考えない者が出たとしたら、どこかが間違えているということです。愛のある眼差しが人間生活を豊かにし、人間の価値を正しく伝えることが貧しい人たちを救うことになるのです」

上智大学の学生から花束を受け取るソーサ総長

次に、イエズス会における知的使徒職について。知的使徒職とは、イエズス会が創立当初から大切にしてきた学問分野に携わる働きのこと。神学や哲学だけでなく、数学、天文学、地理学、言語学など、海外宣教の必要性から取り組んだ学問も大事にされた。「知的使徒職の目的は、ソフィア(Sophia=上智)そのもの。福音を宣べ伝え、神の存在を広め、人間の解放に貢献する知的使徒職は、イエズス会において最も重要なミッション」と話した。

3つめは、イエズス会における社会的関与の重要性について。

「大学は、多様な環境のもとで知識を深め、人間の自由を満喫できる、ある意味では特権の場です。その中でイエズス会大学は、福音をもって不確実性の時代を乗り越え、日常生活において希望を持ち、複雑なミッションを分かち合う共同体です。目指しているのは、有能な人を養成することですが、それはマーケティングの社会で1位になるような人ではありません。私たちはそれ以上のことを目指しているのです」

左から、進行役のサリ・アガスティン総務担当理事、ソーサ総長、佐久間勤上智学院理事長、曄道佳明同大学長

後半は、ソーサ総長、佐久間勤(さくま・つとむ)上智学院理事長、曄道佳明(てるみち・よしあき)同大学長による対談が行われた。

最初に佐久間氏が、日本の大学のミッションに対する感想を聞くと、ソーサ総長は次のように述べた。

「現在、イエズス会傘下にある約200の大学が国際ネットワークでつながっており、それぞれが孤立せずに共同でやっていくことが大切です。カトリック教育は人間のための教育であり、あるグループだけのものではありません」

続いて、日本のクリスチャンが1%であることについて聞くと、「少数派であるのは選択の結果。それは自らの信仰を示すチャンスでもあります。より多くの人に奉仕し、証しを立てることができます」と励ました。

曄道氏は、大学が抱える不安として、少子化やグローバル化への立ち遅れ、デジタル社会への対応の遅れの3つを挙げたのに対し、ソーサ総長はこう答えた。

「公的教育をより良いところに使ってほしい。大学は、自分の専門分野だけではなく、幅広い観点を持って働く場です。学生も含め、全員が教育者として成長する必要があります。また、大学は平和のための多文化を形成できる場であり、だからこそネットワークが必要なのです」

対談後には、会場からの質問にも応じた。

続いて佐久間氏が、「若い人たちと共に歩むために、彼らの心をどう理解し、声を上げるのを助ければいいか」と質問すると、次のようなアドバイスが返ってきた。

「若い人を助けるのではなく、自らを助けてもらうという気持ちを持ちましょう。また、責任を持ち合うようにし、経験が積めるチャンスを与えなければなりません。首尾一貫性を持ち、有言実行で、寄り添って一緒にやっていくことが大切です。若い人たちと共に歩むためには、自分の人生で培ってきたマインドを変えるところから始めなければなりません」

最後に曄道氏が、「大学が和解の場になることについては、大学の教職員が人生をかけて考えていかなければならない問題。若い人たちにそのことを理解してもらうには何が効果的か」と問いかけると、ソーサ総長はこのように伝えた。

「世界が分断される中で、多文化やマイノリティーを尊重することが重要です。神は、多様性のある人間を創(つく)りました。そのすべての人の中に和解を提供するのがイエズス会のミッションです。大学は常に多元的な空間です。その中では違いがあってよく、違いが分かった上で共存していく。それは世界全体の貢献となるはずです」

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