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悩み苦しむ牧師に、ゲツセマネの天使になろう

投稿日:2018年9月13日 更新日:

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二人のブラジル人牧師が自死してからまだ1年にもならないうちに、またもや悲劇に直面させられた。8月25日、米カリフォルニアのインランドヒルズ教会のアンドリュー・ストークレイン牧師が自ら命を絶ったのだ。30歳の若さだった。うつ病や不安にさいなまれて数年、妻と3人の子ども、そして財産を残して、自分から死を選んだ。

アンドリュー・ストークレイン牧師と家族(写真:インランドヒルズ教会のフェイスブックより)

「なぜ『神の人たち』が自ら命を絶つのか」と多くの人は問いかける。しかし、自死は決して偶然に起きるものではない。通常、孤独やフラストレーション、拒絶、裏切り、そしてプレッシャーなどが原因となる。治療が困難な、きわめて複雑なネガティブ感情によってうつ病や燃え尽き症候群を発症し、自死が避けられない事態につながる。

エクスパスターズ(元牧師)・ミニストリー、元牧師、そして教会リーダーが2016年9月から17年3月までの半年間、577人のクリスチャン・リーダーに対してネットによるアンケートを実施した。その結果、86%が、「求められている任務を遂行するには、自分は資質に欠けていると感じる」と回答した。また77%は、「自分やその家族には、現実的でない無理なことが求められていると感じている」と答えた。

「牧師としての働きを辞めることを考えたことがあるか」との質問に対して、85%は「はい」と回答し、64%が「牧師への召命に対して疑問を抱いた」と答えている。そして58%は、教会から辞職を要請されたり、自身で辞職を決断したりした際に傷つき、62%は孤独と戦い、65%は不安に悩まされ、39%が「うつ症状になっている」と答え、29%が希死念慮(きしねんりょ)に悩まされているという結果が明らかになった。

この衝撃的な結果は、米フラー・インスティテューション、調査機関ジョージ・バーナ、パストラルケア協会の調査でも同様に見受けられる。

90%の米国人牧師は、「この働きは以前考えていたものとは完全に違っていた」とし、70%は自己卑下に苦しみ、40%は「1カ月に少なくとも1回は教会メンバーと衝突する」と回答し、さらに85%は、「問題行動のある人々、そして長老、執事、賛美チーム、その他リーダーなど、不満を抱える人々との関わりに疲れているのが最大の課題」と答えている。それだけではない。40%は「3カ月以内に辞職する」と答え、70%は「親しい友人がいない」、50%は「5年以上は継続困難」、そして50%は、「牧師を辞めたいけれど、ほかに生きていく術(すべ)がない」、45・5%は「うつ状態もしくは燃え尽き症候群によるドクターストップ状態」とそれぞれ回答している。

このように、燃え尽き症候群や心の病が牧師の働きに深刻な影響を及ぼしている現実が浮き彫りになった。燃え尽き症候群とは、うつ的な心理障害で、体力や精神へのダメージを伴う。それは牧師の仕事と密接に関係している。短期間での過重労働や、回復のためのインターバルの不足によってもたらされ、また牧師の働きへの無理解が原因であることが多い。

人々の健全で健康的な生活のための働き人である彼らは、悩める人々と毎日のように関わり、配慮やサポートを強いられる傾向にある。それは、風邪を引いている人から、エイズ、そしてがん患者へのお見舞い、経済的問題のある人々、悲しみの中にある人々、離婚係争中の夫婦、精神的病いに悩む人々、薬物中毒の若者、ドメスティック・バイオレンス、争いの仲裁へのサポートにまで及ぶ。結局、現代の牧師業とは、毎週の礼拝でのメッセージだけではなく、非常に多くの活動への関わりを求められている職業といえる。

牧師を取り巻く状況は、以前に増して、より多くの重い決断を求められ、人々の絶え間ない欲求への強制的なコミットによって、まさに牧師の生活は「満身創痍(そうい)」であり、過剰なストレスによって生死を分けるようなレベルにまで心身のバランスを崩している。

燃え尽き症候群の症状とは?

【身体的な症状】
疲労困憊(こんぱい、一時的な場合も)、頭痛、全身の痛み、消化器官の変調、不眠、精力減退、アレルギー、筋肉や首や胃などの痛み、下痢、動悸、高血圧がある。女性の場合は生理不順の場合もある。

【精神的症状】
うつ、怒りっぽい、不安、情緒不安定、やる気の喪失、人間不信や社会不信

【行動や振る舞いに表れる兆候】
教会関係者や社会とのコンタクトを避ける、批判する、不平不満、軽蔑、責任転嫁、自暴自棄、アルコール依存、ポルノやゲーム、ネットへの依存などによる現実逃避、他人からのサポートの拒絶など

どう対処するか

このような症状は罪ではない。牧師は決して聖人ではないからだ。多くの問題に取り囲まれている普通の人間と同じなのだ。

キリストの苦しみのピークはゲツセマネで起こった。キリストは血のような汗を流し、父なる神もキリストへの助けが必要だと実感した。キリストが、「父よ、御心なら、この杯をわたしから取りのけてください」と祈った時、天使を遣わされた(ルカ22:42~43)。イエス・キリストは虐げられ、精神的な極限に陥り、とっさに祈ったのだが、父なる神は人間としてのイエスがその重圧に耐えられないことをよく知っておられた。

キリストでもできないのだから、私たちが苦しみに耐えられないことに罪悪感を覚える必要はない。

牧師の皆さんは、霊的そして心身の健康をいたわってほしい。可能な限り休暇をとろう。牧会の働きの場からできるだけ遠くに出かけてリフレッシュしよう。そして、家族やプライベートを優先させよう。家族も苦しんでいる場合が多いからだ。楽しいことや喜びを感じることに投資しよう。楽しむことは決して罪ではない。運動しよう。

あなたの働きを「量」から「質」へ転換しよう。量を追い求めると、結果的に健康や家族、教会までも犠牲にすることになる。質を求めることが、長期的で効率的な主の働きにつながる。

教会の兄弟姉妹の皆さん、ぜひ「神さまからの天使」になろう。サポートする人を、サポートしていこう。

執筆:ラスカラ・コヘア
23歳、ルアン・タバレス牧師の妻、心理学者、ブラジル保守バプテスト・コンベンション所属。神の召命に生きるしもべ。

本記事はブラジルのキリスト教メディア「ゴスペル・プライム」に掲載された記事より翻訳、転載しました。

出典URL:https://artigos.gospelprime.com.br/e-preciso-cuidar-de-quem-cuida/

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翻訳者・吉田暁(よしだ・さとし)

1971年、兵庫県西宮市生まれ、静岡県浜松市育ち。大阪府堺市在住。10代の頃、2年ほどブラジルに滞在する。現在、キリスト教式散骨事業を行う「海洋散骨シャロームセレモニー」代表および全国通訳案内士(ポルトガル語)。チャペル・こひつじ会員。

2018年11月17日 患難との戦い(フィリピの信徒への手紙 1:12-20)
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兄弟たち、わたしの身に起こったことが、かえって福音の前進に役立ったと知ってほしい。

つまり、わたしが監禁されているのはキリストのためであると、兵営全体、その他のすべての人々に知れ渡り、

主に結ばれた兄弟たちの中で多くの者が、わたしの捕らわれているのを見て確信を得、恐れることなくますます勇敢に、御言葉を語るようになったのです。

キリストを宣べ伝えるのに、ねたみと争いの念にかられてする者もいれば、善意でする者もいます。

一方は、わたしが福音を弁明するために捕らわれているのを知って、愛の動機からそうするのですが、

他方は、自分の利益を求めて、獄中のわたしをいっそう苦しめようという不純な動機からキリストを告げ知らせているのです。

だが、それがなんであろう。口実であれ、真実であれ、とにかく、キリストが告げ知らされているのですから、わたしはそれを喜んでいます。これからも喜びます。

というのは、あなたがたの祈りと、イエス・キリストの霊の助けとによって、このことがわたしの救いになると知っているからです。

そして、どんなことにも恥をかかず、これまでのように今も、生きるにも死ぬにも、わたしの身によってキリストが公然とあがめられるようにと切に願い、希望しています。

(フィリピの信徒への手紙 1:12-20)

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