聖心女子大学で「東アフリカ地域における難民・移住者」講演会 難民を助けるのはウルトラマンではなくドラえもん

 

「カリタス・ウガンダ講演会──東アフリカ地域における難民・移住者」(カリタス・ジャパン、聖心女子大学グローバル共生研究所共催)が6日、聖心女子大学(東京都渋谷区)で開催された。

菊地功・東京大司教=6日、聖心女子大学(東京都渋谷区)で

まず、カリタス・ジャパンの責任司教である菊地功・東京大司教が、国際カリタスおよびカリタス・ジャパンの働きについて語った。

「ウルトラマンは、怪獣が暴れたらやって来て、3分で帰ってしまいます。そうではなく、私たちはドラえもんのようになりたい。ドラえもんは、のび太君たちとずっと一緒にいて、一緒に悩んで、解決を見出し、常に一緒に暮らしている。それが私たちあるべき姿。派手なことはしていないが、互いに助け合って、より良い世界を作ることを目指す組織です」

国際カリタスは、カトリック教会における救援活動団体で、国連経済社会理事会総合諮問資格を有する国際NGO組織。加盟国は165カ国で、カリタス・ジャパンもその一つ。国際カリタスなどと密接な連絡を保ちながら、国内外への援助活動、募金、啓発活動などを行っている。

カリタス・ウガンダ責任者のフランシス・ンダミラさん=6日、聖心女子大学(東京都渋谷区)で

続いて、カリタス・ウガンダ責任者のフランシス・ンダミラさん(76)が講演を行った。ンダミラさんは、東アフリカ内陸部にあるウガンダ共和国のカバレ県生まれ。米国ニューヨーク大学で社会学・開発学の博士号を取得。その後、カトリックのカバレ教区司祭として叙階された。教区シノドス事務局長、司教総代理を歴任。1998年から現在までカリタス・ウガンダの責任者を務め、同時にカリタス・アフリカ、カリタス東アフリカ地域、国際カリタスにおいても代表や責任者、コーディネーターとして活躍する。

2016年7月に隣国の南スーダンで起きた内紛により、多くの避難民が国境を超えてきた時、ウガンダは積極的に彼らを受け入れた。

「カリタス・ウガンダも、消防車のように緊急時にだけ来て、消火を終えたら戻るのではなく、一緒に建物を建て、そこに留まり、一緒に問題解決をしていくことを目指しています。

難民一人ひとりの可能性を尊重しながら、その支援が彼らの自立を促すようにしています。今の土地でしばらく生活するためのスキル・トレーニングを導入し、生活を向上させるのです。それは、健康な生活を送るための習慣・環境作りと、所得を創出するための技術を伝える総合的なトレーニングです。

この新たなかたちの支援は5万人以上の人々に届きました。自分たちの力で生きていく基盤を作ることで、わずかながらでも難民の人たちに活力と希望を作り出しているのです」

会場は聖心女子大学初代学長マザーブリットの名を冠したブリット記念ホール。約80人が集まった=6日、聖心女子大学(東京都渋谷区)で

ンダミラさんは、カリタス・ジャパンと共同で行っている活動についても説明した。これは、2006年から20年までに2700世帯を支援するというもので、具体的には、食料の確保、就労支援、環境保護と保全、気候変動への対応など。それぞれに孤立している世帯をグループにすることで発展させ、貧困からの脱出を目指している。

「貧困とは、お金がないことではなく、情報や知識がないこと。それらを提供し、意識を変えていくことが大事なのです。そのために我々は、ワークショップやセミナーによって意識の変革をはかろうとしています」

最後にンダミラさんはこう語って講演を締めくくった。

「カトリックには3つの柱があります。それは、神の言葉を伝えること、祈ること、そして実際に行動することです。私たちが実際、何をしたのかが問われているのです」

 






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