カトリック東京大司教区、21日から公開ミサを再開 入堂人数の制限と高齢者などの自宅待機の条件のもと

 

カトリック東京大司教区の菊地功(きくち・いさお)大司教は10日、「教会活動の再開に向けて」という文書を発表し、「6月21日から、教会活動を段階的に再開します」と通知した。2月17日の灰の水曜日の翌日から公開ミサを中止していたが、4カ月ぶりに東京大司教区でも公開のミサに集まれるようになる。

東京カテドラル・カトリック関口教会(写真:Daderot)

ただし、「状況に応じた四つのステージ(段階)で対応します」として、現在をステージ4として、21日からステージ3に移行するという。その時の「最低限必要な条件」として、①入堂人数の制限をすること、②高齢者や持病(基礎疾患)のある人は自宅で祈ることの2点を守るように伝えた。

それ以外の点では、聖歌を全員で一緒に歌うのを控えることなどがあるが、「地域や小教区で状況は異なりますので、実状に応じて柔軟でふさわしい対応をお願いいたします」としている。

5月26日付の文書では、前日、全国的に「緊急事態宣言」が解除されたが、「しばらくは、原則として現状を維持します」と通知していた。また同日の菊地大司教のブログでは、同教区の公開ミサの再開について「どんなに早くても6月半ば頃までは、現状を維持せざるを得ません」と述べていた。

同教区の管轄区域は東京都と千葉県で、東京都では新型コロナ・ウイルスの感染者が5408人、千葉県は907人確認されている(9日現在)。

教会活動の再開に向けて」の全文は以下のとおり。

緊急事態宣言が5月25日に解除されて以降、東京都や千葉県でも公立学校が再開され、小規模な集会も感染対策の上で実施が可能となる見通しが立ってきました。

灰の水曜日翌日以降、ミサの公開を控えておりましたが、霊的渇きの中、いのちを守るために耐え忍びながらご協力いただいたみなさまに、感謝申し上げます。これからもウイルスと共生する中で、新しい教会のあり方を模索しなくてはなりません。さらなるご理解と協力を、お願いいたします。

6月21日から、教会活動を段階的に再開します。

感染には波があり再び感染が拡大する可能性も指摘されています。慎重かつ柔軟な対応が必要です。そこで別添のように、状況に応じた四つのステージ(段階)で対応します。

現在は「ステージ4」ですが、6月21日から、「ステージ3」に移行します。

各ステージの条件は別添資料の通りです。ただしこれは原則であり、地域や小教区で状況は異なりますので、実状に応じて柔軟でふさわしい対応をお願いいたします。

なお、「ステージ3」において次の二点は、「最低限必要な条件」です。

1:聖堂内で、互いに1・5から2メートルほどの距離を保つため、入堂人数の制限をします。それが不可能な場合は、聖堂を典礼に使うことはできません。

2:高齢の方・持病(基礎疾患)のある方には、大変申し訳ないのですが、いのちを守ることを優先して、このステージ3の期間は、どうか自宅でお祈りくださるようお願いします。

こういった条件や以下に掲げるお願いに協力頂くことが難しい場合には、当該小教区の教会活動再開を、当分の間、断念せざるを得ない場合も出てまいります。お互いのいのちを守るために必要な行動です。どうかご理解と、ご協力をお願いします。

次に、ステージ3の主な条件をまとめました。本文の後に四段階すべてをまとめた別添資料があります。その後に、参考が二項目あります。

 

6月21日以降しばらくの間、教会活動の主な条件(ステージ3)

1:聖堂内で、互いに1・5から2メートルほどの距離を保つため、入堂人数の制限をします。それが不可能な場合は、聖堂を典礼に使うことはできません。

聖堂内で距離を確保するための具体的な方法について、主任司祭の指示に従ってください。人数制限をお守りください。また、ミサのある教会を求めて、移動することをお控えください。ご自分の所属教会、または共同体の一員となっている教会の指示に従ってください。

2:高齢の方・持病(基礎疾患)のある方には、大変申し訳ないのですが、いのちを守ることを優先して、このステージ3の期間は、どうか自宅にとどまってくださるようお願いします。

法的に高齢者とは、65歳(前期高齢者)以上の方です。今の段階ステージ3では、特に75歳以上の方にあっては、持病がないとしても、もうしばらくの間は、自宅でお祈りください。これから暑くなりますから、熱中症対策のことも念頭に置かれますようにお願いします。

65歳以上の方にあっては、互いのリスクを考えてご判断をお願いします。

なお、主日ミサにあずかる義務は、教区内のすべての方を対象に免除します。

3:1月31日以降の当初から行われてきた手指消毒など感染症対策を充分に行い、換気を保ち、しばらくの間は全員マスクを着用してください。

4:ばらくの間、ミサや集会などで、聖歌を「全員で一緒に歌う」ことを控えてください。オルガン独奏や、距離をあけての独唱などは可能です。

5:しばらくの間、ミサでの奉納も行いません。またしばらくの間、口(舌)での聖体拝領を控えてください。

6:ミサ以外の会議などは、20名程度までであれば、上記3のような対策をした上で、互いの距離をとり、時間をなるべく短くして行ってください。

付記:75歳以上の司祭にあっては、ミサの司式にあたり、感染を避けるため、聖体授与に携わらないよう指示をしました。信徒の方に「聖体授与の臨時の奉仕者」をお願いすることになります。信徒のみなさまの感染防止と共に、司祭の感染防止のための、通常とは異なる典礼での措置にも、ご理解ください

 

別添資料:教会活動の四つの段階(ステージ)(2020年6月版)

ステージ1:通常のミサ(公開ミサ)と教会活動

新型コロナ・ウイルス感染症が発生する以前に行っていた、平常どおりのミサと活動。

ステージ2:感染対策をとった上での公開ミサと活動

対策:咳(せき)エチケット・手洗いの徹底・施設入口の消毒用アルコールの設置

施設(聖堂を含む)のドアの開放・聖水盤使用の中止・十分な換気

ミサ:必要に応じて人数制限・奉納(パンとぶどう酒)なし・接触なしの平和のあいさつ・手での聖体拝領

体調不良の人のミサ参加の自粛・マスク着用許可(会衆・奉仕者・司祭)

健康に不安のある人の主日ミサに与(あずか)る義務の免除

秘跡:感染対策をとった上で行う(洗礼・結婚・ゆるし・病者の塗油)

活動:密閉、密集、密接を避け、なるべく短時間で行う

ステージ3:条件付きでの公開ミサと活動

ミサ:人数制限をする・十分な換気・手指の消毒・聖歌なし・短い説教あり

奉納(献金含む)なし・接触なしの平和のあいさつ・手での聖体拝領

参加者全員マスク着用(会衆・奉仕者・司祭)

時間短縮に配慮したミサ(可能であれば複数回)

状況に応じて、基礎疾患を有する信徒と高齢の信徒の参加は不可

東京教区のすべての信徒に主日のミサに与る義務の免除

秘跡:洗礼・少人数の「洗礼のための個別のミサ」の中で行う

結婚・基本的に延期(感染対策をとった上で行うこともできる)

ゆるし・感染対策をとって、距離をとって行う

病者の塗油・十分な感染対策をとった上で行う

葬儀:遺族と話し合い、十分な感染対策をとった上で行う

活動:小規模で、密閉、密集、密接を避けて短時間で行う

ステージ4:公開ミサと活動の中止

ミサ:公開ミサは行わない(非公開ミサは行うことができる)

東京教区すべての信徒に主日のミサに与る義務の免除

秘跡:洗礼・延期

結婚・延期

ゆるし・延期

病者の塗油・十分な感染対策をとった上で行う

葬儀:遺族と話し合い、十分な感染対策をとった上で行うことができる

※火葬を済ませ、後日に葬儀ミサという可能性もあり

活動:いかなるものも行わない

 

(参考1)高齢の方々に、しばらく自宅でお祈りいただく理由

緊急事態宣言が解除されて、教会も、四旬節から続いた公開ミサの中止を解除し、段階的に通常の典礼に戻していこうとしています。

その中で当初の段階にあっては、いわゆる高齢の方、また基礎疾患のある方には、ミサへの参加をご遠慮いただくことにしています。

ご自分は健康なので、大丈夫だろうというご意見をいただいていますが、以下に、特に高齢の方にしばらくご遠慮いただく理由を記します。

なお判断の基準は、選択肢がある場合、どちらがより「いのちを守るため」という基準に近いかどうかです。また社会にある組織として、共通善のために果たすべき責任も考慮しなければなりません。

1:厚生労働省の専門家会議の見解に以下のようにあります。

「罹患しても約8割の方は軽症で経過し、治癒する例も多いことが報告されています。一方、重症度は、季節性インフルエンザと比べて死亡リスクが高いことが報告されています。特に、高齢者や基礎疾患のある方では重症化するリスクが高いことも報告されています。」

2:同じく見解には、感染について次のように記されています。

「一般的には飛沫感染、接触感染で感染します。閉鎖した空間で、近距離で多くの人と会話するなどの環境では、咳やくしゃみなどの症状がなくても感染を拡大させるリスクがあるとされています。」

3:政府の基本的対処方針にも次のように指摘されています。

「新型コロナ・ウイルス感染症における致死率及び肺炎の割合は、季節性インフルエンザに比べて、相当程度高いと考えられる。また、特に、高齢者・基礎疾患を有する者では重症化するリスクが高いことも報告されており、医療機関や介護施設等での院内感染対策、施設内感染対策が重要となる。上記の中国における報告では、年齢ごとの死亡者の割合は、60歳以上の者では6%であったのに対して、30歳未満の者では0・2%であったとされている。

また、日本における報告(令和2年4月30日公表)では、症例の大部分は20歳以上、重症化の割合は7・7%、致死率は2・5%であり、60歳以上の者及び男性における重症化する割合及び致死率が高いと報告されている」

上記のような公的機関の情報と医療専門家の意見を勘案して、公開ミサを再開した場合には、当初の数週間は、高齢の方々と基礎疾患のある方には、ご自分が感染するリスクと、知らないうちに他者を感染させるリスクの両方を避けるため、しばらく待っていただくことのほうが良いと判断しました。

いつまでもこの状態が続くわけではありません。地域社会全体の感染状況や、行政の対応を見極めながら、徐々に、すべての方々に参加していただけるように、段階を進めてまいりますので、ここは状況をご理解の上、しばらくご辛抱いただければと思います。

まず最初は、小さな規模からはじめて、徐々に参加者を増やす方向ですので、ご理解とご協力をお願いいたします。

 

(参考2)これまでの手指消毒など感染症対策のまとめ

1:一般的な衛生対策として、咳エチケットに配慮し、手洗いを心がけましょう。聖堂や信徒会館の入り口に、手指消毒用のアルコールを設置しましょう。

2:ドアノブを介した接触感染を防ぐため、入り口が自動ドアではない場合、ミサ開始前の適切な時からミサ開始までと、ミサ終了後に信徒が退去するまでの時間は、教会の入口から聖堂内までの通路のドアは開放することを勧めます。

3:聖堂入り口などに用意された聖水盤は、接触感染を防ぐため、使用を控えます。

4:司祭や臨時の聖体奉仕者をはじめ、信徒の方も、必ずミサ前に充分に手を洗ってください。

5:ミサ中のホスチアや葡萄酒と水の奉納を、当分の間取りやめます。ミサのためのホスチアは、ミサ前に別途用意し、祭壇近くに備えておくようにします。

6:献金も、ミサ中には行わず、他の場所を設けて、随時行うようにします。

7:濃厚な身体的接触を避けるため、平和の挨拶などで握手や、抱擁を取り入れている場合は、それらを避けるようにいたします。

 






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