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『キリスト教年鑑2020』を使ってみた 便利帳であり日本キリスト教宣教史の記録

キリスト教年鑑編集委員会編著『キリスト教年鑑2020』(キリスト新聞社)が発売中だ。1948年に創刊して以来、今年で通巻63巻となる。プロテスタントからカトリック、無教会までを偏ることなく、毎年、調査を行い(個々の教会の調査は隔年)、その回答を反映して情報をどんどん更新しているので、できれば最新版を買っておきたい。

『キリスト教年鑑2020』(キリスト新聞社)

皆さんの教会にも、必ず備えつけられているのではないだろうか。たとえば、教会員が県外に引っ越しをしたり、高校生が都会の大学に進学したりする場合、本棚から引っ張り出される。

「先生、来年の春、東京の国立市に引っ越すんですが、そちらで通う教会を紹介してください」

そう尋ねられて、牧師は年鑑をおもむろに開く。同じ教団の教会が国立市付近にあればいいが、なければ近い立場の教団のページをいくつか開いて、近場の教会を検討することになる。

こういう場合、1145ページから「地区別教会索引」があるので、国立市のある箇所(1168ページ)を開いて見る。すると、国立市にはいろいろな教派の教会が10あることが分かる。日本基督教団の教会に行っているなら、同教団の国立教会がある。

それから、年鑑のメインとなる「教会──教派索引・教派略称索引付き」(71~453ページ)に行き、国立教会の情報が載っている217ページを開くと、次のようにある。

325名というのは教会員数で(現住陪餐会員数などと特定はしていない)、1946年の創設だから、規模が大きく、昔からの信徒も多い教会だと分かる。住所と電話番号、教会によってはメールアドレスがあるので、地図検索をして場所を確かめ、先方の教会に連絡することもできる。

2020年版からの変更点として、それまで教会名の左に牧師名が入っていたのが、なくなっている。牧師名は、異動が多いために掲載を見送ったという。今ではホームページを持っている教会も多いので、基本情報は年鑑で押さえて、それからパソコンで調べるのがいいだろう。

「教会──教派索引・教派略称索引付き」には、各教団・教派の冒頭に、本部の連絡先や現行の役員名簿、それから沿革や教義が載っているので、日本のさまざまな教団・教派に興味がある人は、読み比べてみるといい。ただ自己申告による記述なので、もっと客観的に比較したい人は『日本キリスト教歴史大事典』(教文館)などで調べるのがいいだろう。

また、筆者はキリスト教出版社に身を置いて、さまざまな牧師などの執筆者に連絡をしてきた。その時にも年鑑は欠かせない。こういう場合、もう一つのメインである「人名──国内人名」欄(727~1024ページ)を使う。すると、以下のことが分かる。名前の読み、生年月日、出身地、最終出身校、所属教派、所属教会、教職位、受按年、役職、学位、著書、住所、電話やファックス番号、ホームページアドレスやメールアドレス。ただし、最近は個人情報を気にかける人が多くなったことなどもあり、載っていない場合も多いが、教職・信徒約8000人を掲載しているものは他にはない。

このように年鑑は常日頃から使うものであり、便利帳的な役割がある。そしてもう一つ、過去の年鑑を取っておくと、その教会の牧師がどう変わったのかを辿れるなど、日本キリスト教宣教史としての記録という役割もある。

個人で持てば、さまざまな付録も役立つだろう。6ページにはカトリックと聖公会、プロテスタントの日本基督教団、正教会の教会暦と行事、そして1962年から2026年までのイースターの日付が載っている(たとえば、ある人物を調べるとき、その重要な日がイースターであることなどが分かる)。1025ページにも、1900年から2094年の灰の水曜日(受難節の開始)とイースターの日付が分かるようになっている。

7ページからは「記録」。1年間のキリスト教界の出来事をコンパクトな記事で振り返ることができる。459ページからの「団体」には、伝道や教育、政治や社会福祉などの団体が掲載されている。531ページからの「学園──学園、神学校、専修学校・各種学校」は進学先の検討などに使える。659ページからの「ガイド」には、キリスト教関係の社会福祉施設や高齢者福祉施設、病院、出版社、書店、集会宿泊施設を利用する時に役立つ。

1038ページからの「逝去者」欄は、おととしから今年4月までに亡くなった人が掲載されている。一人一人たどっていくと、お世話になった方々がずいぶん天に召されていることを改めて実感する。

1047ページからの「教勢」では、各教団・教派の教会数、教職数、信徒数、集会や教会学校の状況、どの教派の受洗者が何人かなども記され、過去の年鑑の数字と比べてみれば推移も分かり、キリスト教界の現状を把握できる。

その他、世界宗教分布図や最近のキリスト教功労者、日本福音功労賞の受賞者なども興味深い。

『基督教年鑑』第1号、右ページ上段に設立間もない国立教会がある

キリスト新聞社が『基督教年鑑』第1号を発行したのは、戦後間もなくの1948年のことで、その編集には非常な困難が伴ったという。大戦後の混乱のため、教職や信徒はちりぢりになり、どこに誰がいるのか、どの会堂が焼け残ったのかが分からない時代に、調査、集計、編集して、まっさらな状態から年鑑を作ったのだ。しかし、そうすることで、戦後初めてキリスト教界の情勢が明らかになり、教会や教職、信徒間のキリストにある交わりを促進することに貢献した。

それ以来、隔年ごとに発行してきたが、1960年版(プロテスタント宣教百年記念特集号)から内容を豊富にし、判型もB6判から現形のB5判の大型に。さらに、記載内容の対象が絶えず変化しているため、68年版からは文字どおり年鑑とすべく、毎年発行に踏み切った。そして79年版からはタイトルを『キリスト教年鑑』と変更するなど、全面的に改訂した。

キリスト教年鑑編集委員会編著
キリスト教年鑑2020
2020年6月25日発行
キリスト新聞社
B5判 1230頁
1万7000円(税別)

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