日本キリスト教会、各教会ごとに礼拝をどうするか判断を託す

 

日本キリスト教会は27日、久野真一郎(ひさの・しんいちろう)大会議長(札幌琴似教会牧師)名義で「新型コロナ・ウイルス感染に関して」という書簡を「日本キリスト教会各中会、各教会・伝道所の皆様へ」宛てて送った。さまざまな教会で、新型コロナ・ウイルスの感染リスクの高い礼拝をどうすべきか決断が迫られている中で、「主日礼拝についての諸々の判断は、各教会(小会、委員会)にお委(ゆだ)ねいたします」とした。

久野真一郎大会議長(札幌琴似教会のホームページから)

「教会にとって主日の礼拝は生命線であり、取りやめることは出来ません」としながらも、「一定時間会衆が集うという意味で、感染リスクが高い環境であることは確かでありましょう」とも認めた。こうしたジレンマの中にありつつ、「この事態に対処するため、大会議長の責任で、次のことを皆様にお願いしたいと思います」として、「主日礼拝についての諸々の判断は、各教会(小会、委員会)にお委ねいたします」と、各教会ごとに礼拝をどうするか判断を託すかたちをとった。

日本キリスト教会は改革長老系の教団で、1872年に設立された日本最初のプロテスタント教会、日本基督公会(現在の横浜海岸教会)の流れを汲み、「日本基督一致教会」(77年)、「日本基督教会」(90年)を経て、戦時中、日本基督教団に合同したが、1951年に一部の人々が離脱して「日本基督教会」として再出発。95年、「日本基督教会」から「日本キリスト教会」に改称した。

「新型コロナ・ウイルス感染に関して」の全文は次のとおり。

新型コロナ・ウイルスによる感染が拡大し、国や都道府県からも特に集会等の責任者に対して、感染のリスクを抑えるための十分な方策を採るよう要請がなされています。皆様におかれましても、すでに対策を取られていることと思います。教会にとって主日の礼拝は生命線であり、取りやめることは出来ませんが、一定時間会衆が集うという意味で、感染リスクが高い環境であることは確かでありましょう。この事態に対処するため、大会議長の責任で、次のことを皆様にお願いしたいと思います。

〇主日礼拝についての諸々の判断は、各教会(小会、委員会)にお委ねいたします。

注意事項としては

①体調不良の場合は無理をしないこと
②礼拝堂入り口に手指消毒用アルコールを設置すること
③マスクの着用を勧めること
④聖餐式の準備と陪餐後の手洗い・消毒を徹底すること
⑤教会諸集会での食事の提供を可能な限り控えること(食品や食器の使用への入念な配慮)
⑥会議等の開催時間(30分以上は濃厚接触リスクが高まる)と換気に留意すること等です。

〇中会の会議、諸委員会・理事会主催の集会等についての諸々の判断は、各中会に委ねたいと思います。十分な検討と配慮とをお願いいたします。

今後につきましては推移を見守ることとなりますが、この度(たび)の感染拡大という非常事態が少しでも早く収まることを切に願っています。とりわけ愛する人を失い悲しんでいる人たちに上よりの慰めを祈り求めます。この事態と向き合い、苦闘している人たちのために、わたしたちも祈りをささげたいと思います。

皆様の上に、主の慰めと平安が注がれますよう、心から祈ります。

それに先立ち、最も感染者が増えている東京都に多くの所属教会を持つ日本キリスト教会東京中会(ほかに神奈川県、埼玉県、千葉県、茨城県、栃木県、静岡県、群馬県、宮城県、福島県、秋田県)は25日、冨永憲司(とみなが・けんじ)中会議長(柏木教会牧師)名義で、「新型ウイルス爆発的感染の重大局面に直面して」という議長書簡を送った。

冨永憲司中会議長(柏木教会のホームページから)

同日夜、小池百合子東京都知事が都庁で緊急の記者会見を開き、「感染爆発の重大局面だ」と述べた上で、週末は当面の間、不要不急の外出を控えるよう都民らに求めたことを受けたかたちだ。

「この事態を受けて、首都圏のそれぞれの教会では、礼拝や祈祷会の休止も含めて、対応を真剣に協議しておられることと思います」としつつ、「地域性にもよる多様な対応が求められますので、何か一律的な対応を求めるものではありません」と断った上で、「たとえ公同礼拝や祈祷会休止を決断したとしても、神さまを礼拝したり、祈りの生活を休止するのではないことは言うまでもありません。それぞれのご家庭による礼拝と祈りの生活を欠かさないようにご指導ください」と、公同礼拝の休止を認めた。

議長書簡「新型ウイルス爆発的感染の重大局面に直面して」の全文は以下のとおり。

新型コロナ・ウイルス感染拡大が続いていますが、専門家たちは近く「爆発的感染(オーバーシュート)の重大局面」を迎えるようになると警告しています。

それに関連して、東京都知事は24日の時点で、「このまま(感染者統計)の推移が続けば、ロックダウン(都市の封鎖)を招いてしまう」として「感染拡大の重大局面」を宣言しましたが、それに引き続いて25日夜、今週末の外出自粛というかなり重い要請を都民に出しました。オリンピック延期が決定した途端のこの迅速な動きは、かえって事態がいかに危機的な状況にあるのかを物語っているようにも思えます。

この事態を受けて、首都圏のそれぞれの教会では、礼拝や祈祷会の休止も含めて、対応を真剣に協議しておられることと思いますが、改めて中会の諸教会・伝道所の長老や委員におかれましては、この事態に対して賢明な対処をしていただきたいと願っています。

地域性にもよる多様な対応が求められますので、何か一律的な対応を求めるものではありませんが、以下にお願いすることに特に留意していただきたいと思います。

1 主なる神は、愛する者たちを「暗黒の中を行く疫病」や「真昼に襲う病魔」からお守りくださる御方です(詩編91編6節)。ですから、常に主の御前に「落ち着いて、静かにしていなさい。恐れることはない」(イザヤ書7章4節)、「安らかに信頼していることにこそ力がある」(イザヤ書30章15節)とおっしゃいます。この世の何者もわたしたちを「キリストの愛から引き離すことなどできない」(ローマ8章35節)という信仰を、この事態の中で新たにして参りましょう。

2 同時に、心に刻んでいただきたいのは、自分たちの信仰を確かにするとともに、隣人も含め、教会員すべてのいのちを守るための愛の配慮です。教会に出席するために不特定多数の方々との接触を余儀なくされる教会員やその影響をすぐに受ける可能性があるご家族のことや、またそれぞれの置かれた地域での社会的責任も考慮しながら、この事態に対処してください。

3 その際、たとえ公同礼拝や祈祷会休止を決断したとしても、神さまを礼拝したり、祈りの生活を休止するのではないことは言うまでもありません。それぞれのご家庭による礼拝と祈りの生活を欠かさないようにご指導ください。このような教会訓練により、わたしたちは一つの信仰によってお互いが強く結ばれているという意識を共有し、この危機の中で教会共同体の絆を深めていかねばならないと思います。

4 何よりも、全てのものの支配者である主なる神の導きをご一緒に祈るとともに、人類の英知を集めてこの感染問題に取り組むことができるよう、それぞれの教会・伝道所でも、公同的に、また個人的に、嘆願と執りなしの祈りを共に祈っていただきたいと思います。

5 感染者に対するバッシングや特に中国や韓国の人々のコミュニティーに対するヘイト的言動が起こっています。教会員や日曜学校の子供たちには、それらの動きに対して注意を喚起し、病者やこの世の旅人、寄留者たちを愛してくださった主イエスに従い歩むようにお教えください。(マルコ1章41節、7章24節、1ペトロ2章11節、参照)

6 最後に、牧師とそのご家族のことに特別なご配慮をお願いしたいと思います。イタリアの教職者たちの死者数が医者の死者数よりも多くなったというニュースが届きました。牧師たちは、この事態に心が休まることなく、教会と教会員のためにお仕えしています。そのような時に、例えば「最後の看取りと葬儀」が重なると、牧師たちはさらに奔走して心身が疲弊、磨耗するようになるでしょう。万が一、牧師が倒れると、教会は多大な影響を受けます。そのような事態にならないように、長老たちや委員たちは、教会や伝道所としての適切な対処の仕方をご協議くださいますように、お願い申しあげます。

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