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安藤忠雄氏設計の「光の教会」に被害も「光の十字架」は守られる 大阪北部地震

 

18日の大阪北部地震で、最強の震度6弱を記録した大阪府茨木市。そこにある「光の教会」で、窓ガラスが割れ、パイプオルガンの音が出なくなるなどの被害が出た。

光の十字架(写真:Bergmann)

「光の教会」は、日本基督教団・茨木春日丘教会の礼拝堂として、日本を代表する建築家・安藤忠雄氏が設計し、1989年に完成した。壁一面にある十字架状のスリットから差し込む光の様子から、「光の教会」と呼ばれる。安藤建築の代表作の一つであり、国内外の建築ファンが訪れることでも知られる世界的に有名な礼拝堂だ。

割れたガラスの破片が飛び散った礼拝堂の座席(写真:茨木春日丘教会提供)

同教会によると、高さ6メートルもあるガラスが6枚割れ、フレームの変形が生じているという。ちなみに、95年の阪神大震災で割れたガラスは1、2枚だった。また、パイプオルガンも、大きな揺れで空気漏れを起こし、音が出ない鍵盤や音程ずれも複数、観察されている。

しかし、シンボルとなっている「光の十字架」は、礼拝堂の中で唯一無事だった。ほかのガラス部分と違い、構造と一体化していたため、十字のスリットに上から下まで亀裂はまったく入っていなかったのだ。

礼拝堂の外壁に組まれた足場(写真:茨木春日丘教会提供)

同教会では現在、足場が組まれ、急ピッチで修繕が進められている。しかし、デザイン的な建物であるため、既製品を使うことができず、通常以上のコストが懸念される。ガラス1枚で数十万円、全体を軽く見積もっても400〜500万円はかかるという。同教会牧師の大石健一氏は、今回の状況を受けて次のように話す。

「教会の信仰を体現するような美的な教会建築を否定はしませんが、個人的には、教会の建物はプレハブでもいいと思っています。このような私が『光の教会』の牧師でいることは皮肉にも感じますが、この現実的な感覚こそ、デザイナーズ建築でも必要となってくると考えています。

というのも、建築家による設計で教会建築を行う場合、災害時ばかりでなく、日頃のメンテナンスについても、通常以上の費用が発生します。したがって、そのような建築を行う段階で、将来的なランニングコスト、そして、今回のような災害時に発生するコストを想定して、建築計画を練っておく必要があります。また、それだけのコストに見合う目的が本当にあるのかどうか、冷静に考えることが必要でしょう」

十字架のスリットのガラスは、安藤氏は最初、入れないつもりだったが、信徒たちがそれに反対し、結局、はめ込むことになった。このガラスの損傷がなかったという象徴的な出来事について、大石氏は次のように述べる。

「安藤さんの建築家としてのポリシーを尊重し、依頼した以上は、安藤さんから強い要望を受けることも覚悟しなければならない。私たちがすべきことは、安藤さんが提案した設計を徹底的に精査し、こちらの考え、利便性、信仰等を固めて武装して、合わない点があるならば、一歩も引かぬ決意で彼と闘うことです。今後の修理やメンテナンスを継続していく上で、自分たちのビジョンを明らかにし、正面から安藤さんや安藤事務所にぶつかっていくことが、私の仕事と心得ています。

十字のスリットは、そういうお互いががっぷり四つに組むところの闘いの象徴です。その象徴が今回守られたことは、信徒の方々が快適に過ごせることを最優先にしている私の考えが神によって支持されたように感じています」

足場が組まれた礼拝堂内部と大石健一氏(写真:茨木春日丘教会提供)

同教会では、今回の地震に限らず、有名な教会であるがゆえに、礼拝を襲う「脅威」とも闘ってきたという。「観光客の増加によって、これまで幾度となく礼拝の場が崩壊状態となり、教会員が傷ついてきました。そこで、教会員を守るため、見学管理システムを構築したのです」と大石氏。

今回の地震では、21日までに計2500棟以上の建物被害が確認されている。震災による被害は、いかなる教会も例外ではない。大石氏は、現在の気持ちをこう語る。

「『今日も礼拝が無事に行えるとは限らない』という緊張感が、これからの『まさか』の事態に対する備えとなる思い。加えて、『今日は無事に礼拝をささげることができた』という感謝の念を呼び起こすことも事実と実感しています。どちらの教会にあっても、『今日、礼拝をささげられるのは当然のことではない』ことを胸に刻んだらよろしいのではないでしょうか」

今後、修復には2週間以上かかる見通しだが、礼拝は今日(24日)から再開する。

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