新型コロナ・ウイルスへの教団としての対応(前編)日本同盟基督教団、在日大韓基督教会、日本バプテスト連盟

 

各地の教会では、新型コロナ・ウイルスの感染拡大をさせないため、礼拝や諸集会を休止したりするなどの対応に追われている。「緊急事態宣言」が全国に広げられ、ゴールデンウィークに入った中で、その動きはさらに加速している。現場の教役者や教会に連なる人々は想定外の事態に苦労しているが、それぞれの教団では加盟教会へどんな支援を考えているのだろうか。

福音派の代表的な教団である日本同盟基督教団の宗田信一(そうだ・しんいち)総主事は、新型コロナ・ウイルスへの対応について、「各教会の判断を尊重しつつ、聖書理解に立った冷静な対応を求めている」と答えた。同教団では6日、朝岡勝(あさおか・まさる)理事長を本部長とした新型コロナ・ウイルス感染症対策本部を設置し、資金の無利子貸し付けや、牧師が感染した教会に対する代理説教者費用の負担などの支援策を検討している。今は、オンライン礼拝のニーズなども含めて、どのような支援が必要なのか、声を汲み取っている段階だという。

また、同教団にとって大切な拠点である松原湖バイブルキャンプと浜名湖バイブルキャンプでは、春に予定されていたキャンプが中止になったことで多くの損失を被っており、現在、献金を呼びかけながら状況の回復を待っている。また、キャンプリーダーによるメッセージなどを動画にまとめたものが公開されている

同教団理事会の声明文(3月27日付)には、「公同礼拝に参加することは私たちにとって『不要不急』のことではなく『必要緊急』のことです」と書かれているが、礼拝をどのように行うか、あるいは休止するかという決断は教派を問わず難しい問題だ。声明文の中でも、近隣のコミュニティーへの配慮を「隣人愛の実践」と位置づけ、教団に連なる諸教会に配慮と工夫を取り入れた対応を求めている。

在日大韓基督教会の金柄鎬総幹事

在日大韓基督教会の金柄鎬(キム・ビョンホ)総幹事は、韓国で新興宗教の教会がクラスターになった直後から危機感を持ち、情報収集と対応の呼びかけに努めてきた。教会の規模やノウハウの有無によって、オンライン礼拝などの対策を取ることが難しいところもあり、礼拝の休止を余儀なくされている教会もある。また、礼拝の休止によって財政困難に陥っている教会への見舞い金なども検討しており、多くの対応に追われている。

同教団では4月末から5月初めにかけて、各地方会(教区)で定期総会が予定されていたが、現時点で開催は難しく、またいつまで延期するかも確定していない。この定期総会では、新しい牧師の按手(あんしゅ)、伝道師の認許の式典や、重要事項の話し合いが行われる予定だったが、現状としては書面やオンラインでの承認、事項によっては事後承認を求めるかたちとなっている。

金総幹事は、信徒の安全と地域への配慮を重視していると語る。

「韓国とのつながりも深い在日大韓基督教会では、私たちの教会からクラスターを出さないことがたいへん重要な課題です。幸い、加盟教会でのクラスター発生は報告されておらず、危惧されていたヘイト・スピーチの増加も現段階では深刻化していません」

日本バプテスト連盟の松藤一作宣教部長

「各個教会主義」が教派の柱の一つである日本バプテスト連盟では、各教会へ指示や命令をすることはない。ただ、「連盟としてできることは何か」と考えた時に、同連盟が発行している「新生讃美歌」についての案内を出し、また教会学校の教案誌「聖書教育」4~6月号の無料公開を決めた(そのほかの教派も含め、賛美歌の著作権についてはこの記事に詳しい)。連盟ではそのほかにも支援金の検討などが進められ、理事会からは全国の教会にメッセージが届けられている。

同連盟の松藤一作(まつふじ・いさく)宣教部長は言う。

「信徒⼀⼈ひとりが聖書に向き合うことを特に重視するバプテスト派の⽴場として、教会に集うことが難しいこの時でも、教会学校を大切にしたいと考え、『聖書教育』の無料公開に踏み切りました。

また、今回の事態によって祈りや礼拝が個人化し、共同体としての成り立ちが難しくなっています。私個人としても、『あの人の奏楽に合わせて、この人たちと歌う賛美』や『共にささげる祈り』といった経験がしにくくなり、寂しさを覚えています。オンライン礼拝などの対応を考える中で、そういった孤立化が深まってしまわないように留意しながら、連盟に連なる各教会を支援したいと思っています」

 






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