イースター・メッセージ「恐れながらも大喜びで」──死者2万人に迫るイタリアから 内村伸之(ミラノ賛美教会牧師)

 

マタイ28:8 女たちは、恐れながらも大喜びで、急いで墓を立ち去り、弟子たちに知らせるために走って行った。

28:9 すると、イエスが行く手に立っていて、「おはよう」と言われたので、女たちは近寄り、イエスの足を抱き、その前にひれ伏した。

28:10 イエスは言われた。「恐れることはない。行って、きょうだいたちにガリラヤへ行くように告げなさい。そこで私に会えるだろう。」

皆さん、イースターおめでとうございます。

イエス・キリストの十字架での「死」は、イエスを愛した人々のすべての希望を目の前で打ち砕くような絶望でした。

十字架刑というのは、歴史上、最も残酷で、最も忌(い)むべき刑罰です。その場に立ち会った証人は、ガリラヤからずっとイエスについてきた女性たちです。男性の弟子たちは、イエスが捕らえられた時点で怯(おび)え、逃げまどい、散り散りになってしまいました。

鞭(むち)を打たれて血を流し、ゴルゴタの丘への道でののしられ、十字架の上で呻(うめ)きながら死んでいったイエスを、女性たちは見届けました。人は、愛する人の死に立ち会った時に、何もできない自分を知ります。

現在のミラノ、大聖堂からの風景(写真:内村伸之)

私の暮らしているイタリアをはじめ、いま世界は同じような悲しみに包まれています。

イタリアでは、新型コロナ・ウイルスによる死者は2万人に迫っています。3月下旬からは毎日500人以上の方が亡くなっています。

2分に1人のペースで、誰かにとって大切でかけがえのない人がウイルスによって命を奪われているのです。

これらの方は葬儀も許されず、軍のトラックに棺(ひつぎ)が積まれ、火葬場に向かっていきます。世界はまさに今、恐れと悲しみに包まれています。

ですが、このイースターの時、皆さんと一緒に注目し、受け止めたい言葉があります。それは「恐れながらも大喜びで」(8節)という不思議な言葉です。

「恐れ」と「喜び」という二つの感情が一つにされています。

これが、復活を知った人間の反応です。人間が計画したことではないのです。人間が作った話でもありません。恐ろしいことだったのです。

ただ、女たちは同時に大喜びしました。そして、急いで墓を離れていきました。

復活のメッセージを聞いたとき、人は墓を離れるのです。もう墓の前で泣く必要はないからです。女たちは墓を離れて、弟子たちに知らせるために走り出しました。

すると、イエスが女たちに現れます。なんと「おはよう」と言われたのです。

そして、イエスは次のように言われました。

「恐れることはない。行って、きょうだいたちにガリラヤへ行くように告げなさい。そこで私に会えるだろう」(10節)

復活の後、イエスは、ご自分が「友」と呼んだ人、「きょうだい」と呼んだ人と朝ごはんを食べました(ヨハネ21:13)。日常生活の中にある大切なことを示されたのです。私たちもしばらくは困難の中を通ると思いますが、同時に日常を大切にしたいと願わされます。

イエス・キリストが復活されて最初に言われた言葉は「おはよう」でした。私たちがこのような困難な時代に、互いに「おはよう」と挨拶(あいさつ)を交わすことができることは本当に素晴らしいことです。

そしてイエス・キリストは「恐れることはない」と私たちに語られました。なぜ私たちは恐れる必要がないのでしょうか。

それは、もうこのお方が私たちの代わりに十字架の上ですべての罪を処分して、私たちを死から命へと移してくださったからです。

十字架の道がそうであったように、どんな苦難の道も、イエス・キリストが与えてくださった永遠の命へと続いています。

そして、このお方がいつも私たちと共にいてくださることを覚えて、イエス・キリストという復活の命を伝えていく私たちとさせていただきましょう。

内村伸之牧師

内村伸之(うちむら・のぶゆき) 1969年、東京都福生市生まれ。多摩美術大学卒業後、小笠原諸島父島へ移住。その後、東京都総合技術センター研究員を経て、東京都立芸術高校美術科主任教諭。2003年、イタリア教会連盟より招聘(しょうへい)を受け、イタリアで日本人初の宣教師認定を受ける。現在はミラノをベースにしつつ、欧州と世界を飛び回る日々を送っている。

ミラノ賛美教会は、ミラノの中心にあるドゥオーモ(ミラノ大聖堂)にほど近いところに位置する。1990年代終わりに、ミラノ韓国賛美教会の礼拝に日本人留学生が出席したのをきっかけに、日本語による宣教を開始。2003年、内村伸之・まり子夫妻が日本人宣教師として宣教活動をスタートした。毎週日曜日の午後3時から、日本語と韓国語、イタリア語の3カ国語で礼拝がささげられ、日本人牧師がメッセージをする日と、韓国人牧師がメッセージをして日本語の同時通訳をする日があるという。

 

 






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