茨城キリスト教学園創設者の愛したコーヒーを再現

 

2017年に創立70周年を迎えた茨城キリスト教学園(茨城県日立市)とサザ・コーヒー(同ひたちなか市)が共同開発したコーヒーが、同大の生協売店とサザ・コーヒー本店で昨年12月から販売されている。同学園の創設者の一人、ローガン・ファックス氏が愛したコーヒーを再現したもので、その名も「ローガン・ファックス・コーヒー」。

ローガン・ファックス・コーヒー(写真:茨城キリスト教大学提供)

ファックス氏は1922年生まれで、現在、米国ワシントン州に在住だ。宣教師の息子として常陸太田(ひたちおおた)で育ち、茨城弁を話す生粋(きっすい)の「茨城っ子」だったという。戦中は米国に戻っていたが、49年、同大の前身であるシオン・カレッジを開校して初代短期大学学長に就任し、52~61年までは同学園総長も務めた。このように、今日、幼稚園から大学院までの一貫した教育機関となった同学園の礎を築くとともに、日本の短期大学制度確立と教育相談(カウンセリング)のパイオニアとしての多大な貢献から、99年には日立市の「特別名誉市民」にも選ばれている。

「ローガン・ファックス・コーヒー」を考案したのは、同校の卒業生で、ファックス氏の教え子でもある鈴木誉志男(すずき・よしお)サザ・コーヒー会長(77)。戦後間もない創立時に、米国西海岸で人気だったミディアム・ローストのコーヒーをファックス氏が取り寄せ、学生や教員に振る舞って語り合ったといい、そのコーヒーの味を再現したものだ。

ただ、創立70周年のときは記念品として粉末状のコーヒーを配布しただけだったが、今回、カップにのせてお湯を注ぐだけで手軽にコーヒーが淹(い)れられる「カップオン・タイプ」の新商品(5パック入り900円)として、デザインされた箱入りのかたちで発売されることになった。

サザ・コーヒー本店工場見学(写真:茨城キリスト教大学提供)

今回のコーヒー商品化の企画で中心となったのは、同大経営学部の3年生17人。指導を行った大久保隆弘(おおくぼ・たかひろ)教授に話を聞いた。

──今回の企画はどのような経緯でスタートしたのでしょうか。

地域社会への貢献をテーマに掲げた授業「地域マネジメント演習」の中で誕生したものです。学生たちには大学の歴史などの過去の資料を与え、さらにサザ・コーヒーの鈴木会長から、大学設立当初のことやファックス先生について説明を受けた上で企画を考えさせました。

また、オリジナルのコーヒーを作るにあたり、サザ・コーヒーの本社と工場へ行き、コーヒーの基礎知識をはじめ、焙煎(ばいせん)から梱包(こんぽう)まで、どのようにコーヒーが作られているのか、すべての工程を見学させていただきました。

こうした中で学生たちはアイデアを出し合い、パッケージ・デザインや商品に添える解説文などを考えていきました。パッケージの裏に、サザ・コーヒーで学んだコーヒーの知識、フォックス先生の生い立ちと功績などをつなぎ合わせたコーヒー誕生までのストーリーが載っているほか、元総長のジム・バットンによる英訳も添えられています。

──パッケージにはファックス先生のイラストが使われています。

若き日のファックス先生の写真をもとに、文学部教授の佃彰一郎(つくだ・しょういちろう)が線画を描きました。背面は、学園カラーのブルーに映える黄色に仕上げています。「神様の教え以上のルールはない」が先生の口癖で、また「no rules is our rule(規則のないことを私たちの規則にしよう)」が先生のモットーでもあったことから、先生がオートバイに乗って自由に学園を走る姿をデザインしました。郷愁を誘うデザインになったと思います。

サザ・コーヒー本店で鈴木会長からレクチャーを受けている様子(写真:茨城キリスト教大学提供)

──完成したコーヒーを飲んでみて、先生や学生の感想は?

最高級のグアテマラ・ブルボン種という豆を使っており、酸味がよく効いた特別な味で、高級な香りがします。「コーヒーはあまり飲めなかったが、このコーヒーは爽(さわ)やかで飲みやすい」、「家族で飲んで、とてもおいしかった」という声が学生たちからありました。

ちなみに、コーヒーが好きだったのは、ファックス先生というよりも奥さんだったようです。戦後間もない建学当初は、今のようにコーヒーが日本に流通していなかったので、ティー・パーティーで生徒たちに振る舞うため、わざわざ東京の立川や神奈川の座間にあった米軍基地から取り寄せていたといいます。

(問い合わせ)
サザ・コーヒー 電話029・274・1151

 






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