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【インタビュー】ICU学長・岩切正一郎さん(1)大学にキャンパスがあるのは、同じ場所と時間を共有するため

日本で唯一本格的なリベラルアーツ教育を実践する国際基督教大学(ICU、東京都三鷹市)。今年4月、ICUの新学長として岩切正一郎(いわきり・しょういちろう)さんが就任した。

岩切さんは1959年生まれ、宮崎県出身。東京大学文学部仏文科卒、東京大学大学院人文科学研究科博士課程満期退学、パリ第7大学テクスト・資料科学科第三課程修了 (DEA)。96年、国際基督教大学教養学部助教授、2007年、同教授、11年、アドミッションズ・センター長、19年、同教養学部長を経て現職。08年には第15回湯浅芳子賞(翻訳・脚本部門)を受賞。専門は、フランス文学、演劇。

ICUは、1949年、日本の地に超教派のキリスト教大学を設立しようという日米のキリスト者らによって創設された。米国型リベラル・アーツ・カレッジの形式を踏襲し、専任教員一人あたりの学生数19人という少人数教育を献学時から貫いている。「国際性」「キリスト教」「学問」を使命とし、東京ドーム13個分ある広大な緑あふれるキャンパスには約3000人の学生が学ぶ。

そんなICUも、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、オンライン授業などこれまでにない措置が取られている。こういった現状を踏まえ、岩切学長に話を聞いた。

ICU学長・岩切正一郎さん

──着任早々から新型コロナウイルス感染拡大という思いもよらない事態となり、計画されていたことに影響があったのではないでしょうか。

どこにも行けなくなったということでしょうか。本来ならば、米国ニューヨークに拠点を置き本学の活動をサポートしている日本国際基督教大学財団(JICUF)の年次総会に出席し、いろいろ報告する予定でしたが、まずそれができなくなりました。またその時に、提携している大学へも訪問するつもりだったのですが、そちらもできなくなりました。でも、こういったことは結局オンラインですむことなので、特に支障はありません。

ただ、直接人と会って何かをするというのはできなくなりましたね。たとえば、学内にある教員住宅に学生を招待する「オープンハウス」というのがあって、学生たちとお茶を飲んだり、食事をしたりするのですが、そういったこともできなくなって残念に思っています。

──ICUの学長は教員住宅に住まわれるのですか。

必ずということではありませんが、学内に住んだほうがいいかなと思って、教員住宅を借りて住んでいます。前学長もそうされていました。

──日本の大学としては特殊な感じがしますが。

ICUの学内には教員用住宅が整備されていて、家族と一緒に住んでいる先生方もいます。また、学生寮も全学生の約30%にあたる900人が入れるようになっています。基本的にはキャンパスに教員も学生も住んで、一緒に暮らしてコミュニティーを作るというのが創立当初からの考えです。

──コロナ禍で大学に行けず、孤独に苛(さいな)まれている学生の話を耳にしますが、ICUはどうでしょうか。

コロナ以前から、最近の若者の傾向として、学内のカウセリングセンターに相談に行く学生は一定数います。確かに同じ部屋にずっとこもって落ち込む人もいますが、もともと人と接するのが苦手な人は、自分の家からオンラインで授業に参加できるということで、楽な気持ちになった人もいるようです。ICUの授業は、オンラインであろうと対面であろうと、先生が学生をグループでディスカッションさせるなど、双方向が基本ですので、課題を出して、あとは自分で、みたいな授業はあり得ません。そういう意味では、ICUではオンライン授業だから孤独というのは少ないように思います。

──少しずつ対面授業が始まっているようですが、現状はいかがですか。

61人以上の大きなクラスは基本的にはオンラインで、60人以下の授業は対面とオンラインのハイブリットにしています。ただ、20人くらいの授業でも、さまざまな事情でオンラインを希望する学生も結構います。

──対面授業だけをみんなが求めているわけではないということでしょうか。

春学期の終わりにアンケートを取ったのですが、オンラインでも大丈夫と答えた人が多かったですね。ただ、これは大学がなぜキャンパスを持っているかということになりますが、オンラインでは、パソコンを閉じると自分の部屋ですから、同じ時間・場所を共有して、授業が終わった後に話ができるとか、帰りにどこかでお茶を飲むとか、そういう人間関係が持ちづらいところがあります。そこはやはり注意が必要で、学び、知識を蓄え、ディスカッションをしていく上では仮想空間でも大丈夫なんでしょうけれど、人間関係を作るということでは対面がいいと思っています。

──そこのところを今度どうするかが課題ということでしょうか。

コロナの終息が待たれるところですが、それでもキャンパスは開放しているので、授業以外でも来たい人は誰でも来ることはできます。地方に帰っていたり、キャパスに来られなかったりする人にとっては難しいのすが、そこをなんとかしたいですね。

(2)に続く

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