コラム

【毎週日曜連載】神さまが共におられる神秘(102)稲川圭三

キリストという門を通って生きる

2017年5月7日 復活節第4主日
(典礼歴A年に合わせ3年前の説教の再録)
私は羊の門である
ヨハネ10:1~10

今日の福音の中でイエスさまは「羊の囲い」と言われています(ヨハネ10:1)。それは、羊を夜の間に入れておく場所のことです。

通常、石だとか、茨(いばら)などの灌木(かんぼく)類で羊が飛び越えられない高さの囲いを作って、出入りのために門を設けました。昼間は羊飼いたちが羊に牧草を食べさせ、水を飲ませていますが、夕方になると、その羊を囲いの中に入れたのです。そして朝になると、複数の羊飼いが来て、自分の羊の名を呼んで連れ出し、先頭に立って羊を牧草のところに導いていくというのが今日の話の前提にあるものです。

「羊の囲いに入るのに、門を通らないでほかの所を乗り越えて来る者は、盗人であり、強盗である」(1節)。そして、「門から入る者が羊飼いである」と言っておられます(2節)。そういう説明をした後で、「よくよく言っておく。私は羊の門である」と言われるのです(7節)。

「私を通って入る者は救われ、また出入りして牧草を見つける」(9節)、「私が来たのは、羊が命を得るため、しかも豊かに得るためである」(10節)と言われます。

今日のイエスさまの話から私たちが受け取らせていただくことは二つあると思います。「門であるイエス・キリスト」を通って入ってくる方が「羊飼い」、つまり羊のいのちのために働いてくださる方だということです。もう一つは、「イエスという門」を通って私たちが救いにあずかるということです。

ところで、イエスさまという門はどこにあるのですか。イエス・キリストという「門」は復活のキリスト。そして、すべての人間の中に「神さまが共にいてくださる」という真実があり、その真実の中にイエス・キリストはすでに復活しておられます。これが私たちの福音です。

その「門」を通って入るとき、私たちは他の人々に対して羊飼いになります。つまり、その人に豊かにいのちを与えるようないのちになっていくということです。

そして、キリストという「門」を通って私たちのところに来る人であれば、私たちはその人の声を聞くことになります。

「門」であるキリストは、私たち一人ひとりの中に立っておられます。そして、そのことをご存じないすべての人の中にも立っておられます。亡くなられたすべての人のいのちにもキリストは立っておられます。

今日、復活のキリスト、「門」であるキリストが私たちの中に立ち上がってくださっています。「その門を通って入る者は救われ、また出入りして牧草を見つける」と言われるのです。

どうやってその門に入ったらいいのでしょうか。「門」であるキリストと「一緒に生きる」ということがその答えでしょう。

キリストは、人間の中に神が共におられるという目に見えない真実をはっきり見てくださいました。だから私たちも「門」であるキリストを通って、人の中に神さまが共にいてくださるその真実を認めて生きること。これが、「門」を通って救いにあずかるという歩みなのだと思います。

キリストという「門」を通って、人間の中にいてくださる神さまに目を向けて生きる。これがキリストという「門」を通って救われるという歩みだと思います。

反対に、「イエスという門を通らないで入ってくる者は盗人であり、強盗である」と言われています。今日、私たちがもしその門を通らないで人のところに行くなら、それは羊の囲いを乗り越えて入る盗人、盗賊になってしまうと言っていいと思います。私たちがイエスの眼差しで生きないなら、しょせん私たちは人を盗んだり、屠(ほふ)ったり、滅ぼしたりする者になってしまうという意味ではないでしょうか。

「盗む」というのは、人を自分のために利用するようなことです。

「屠る」というのは「殺す」という意味ですが、人間の中に神さまを見出さないならば、しょせん人間を滅びある者として殺してしまうことになります。そうであってはなりません。

「滅ぼす」という言葉は、ギリシア語で「アポリューミ」という単語ですが、この言葉は、「本来あるべきところから引き離して滅ぼしてしまう」という意味合いの言葉です。

人間の中に永遠のいのちの神がおられ、「あなたは神の子なのだよ」と告げないなら、神の子のいのちから引き離して、いつかは滅びある者にしてしまう。これが「滅ぼす」です。

だから今日、もうすでに復活してくださっているキリストに結ばれて、その「門」から入る。門から入ったならば、目の前にいる人の中に、神さまが共にいてくださるという真実を見、さらにその中にキリストが復活してくださっているという真実を見て生きる者になります。

ご一緒に「門」であるキリストを通って生きる歩みにあずからせていただきますよう、お互いに励まし合いながらこの感謝の祭儀をおささげし、祈りたいと思います。

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