神さまが共におられる神秘(31)稲川圭三

「主が共におられる」という祝福を急いで告げよう

2015年12月20日 降誕節第4主日
(典礼歴C年に合わせ3年前の説教の再録)
主がおっしゃったことは必ず実現すると信じた方は、何と幸いでしょう。
ルカ1:39~45

待降節第4主日を迎えています。祭壇の前のアドベントのろうそくは4本とも火がともりました。そうすると、その週のうちにクリスマスがやって来ることになります。

救い主の誕生を待ち望む待降節第4主日、「主の降誕」の直前の日曜日に読まれた福音の箇所では、ついにイエスさまが登場しました。でも、母マリアのおなかの中というかたちでの登場です。

同じように、エリサベトのおなかの中には洗礼者ヨハネがいます。お母さんのお腹の中で、二人が出会っているのです。

「そのころ、マリアは出かけて、急いで山里に向かい、ユダの町に行った。そして、ザカリアの家に入ってエリサベトに挨拶(あいさつ)した」とあります(ルカ1:39~49)。

マリアのした挨拶とは、どんな挨拶だったのでしょうか。今日の箇所には特に書かれていません。でも、福音書の前後を読んでいくと、私たちにヒントを与えてくれることが書かれているのに気づきます。

「そのころ」とありますが、それは、天使ガブリエルがマリアのところに来て、「おめでとう、恵まれた方。主があなたと共におられる」(28節)と挨拶した時です。マリアはこの言葉に戸惑い、「いったいこの挨拶は何のことかと考え込んだ」(29節)。そういう出来事があった「そのころ、マリアは出かけて、急いで山里に向かい、ユダの町に行った」のです。

マリアがエリサベトにした「挨拶」とは、天使がマリアにしたのと同じ挨拶だったと考えていいのではないでしょうか。「おめでとう、恵まれた方。主があなたと共におられる」という挨拶をマリアは、「お言葉どおり、この身に成りますように」と受け取りました(38節)。そして、マリアは急いでエリサベトのところに行きました。いただいた挨拶を、今度は人に告げる者になっていったのです。

マリアが天使からお告げを受けた「ナザレというガリラヤの町」(26節)から「ユダの山里」までは100キロくらいの距離がありますから、3、4日はかかる道のりだったそうです。その道のりを急いだのです。

福音書の中には、ある人が「急いでいく」という場面がいくつも出てきます。いずれも、良い知らせを伝えるために急いでいます。

墓穴にイエスの遺体がなかったのを見つけた婦人たちは、天使たちに会い、弟子たちに知らせるために走りました(マタイ28:8参照)。またエマオの二人の弟子は、パンを裂いてくださった時に「イエスだと分かった」(ルカ24:31)。その時、「時を移さず出発して」(33節)、エルサレムの仲間のもとに戻りました。何とかしてこの良い知らせを告げなければならなかったからです。また、天使の知らせを受けた羊飼いたちも、幼子イエスのもとに「急いで行」きました(ルカ2:16)

マリアは、天使から挨拶を受けました。この挨拶は祝福と言ってよいものです。「おめでとう、恵まれた方。主があなたと共におられる」

この祝福をマリアは初め、「どうして、そのようなことがありえましょうか」と驚きました(34節)。しかし天使が、「聖霊があなたに降り、いと高き方の力があなたを包む。だから、生まれる子は聖なる者、神の子と呼ばれる。あなたの親類のエリサベトも、年をとっているが、男の子を身ごもっている。不妊の女と言われていたのに、もう六か月になっている。神にできないことは何一つない」と言った時(35~37節)、マリアは「お言葉どおり、この身に成りますように」と言って、その神の言葉を受け取ったのです。

「お言葉どおり、この身に成りますように」の「とおり」は、もともとのギリシア語では「カタ」という言葉が使われています。「~に下っていく」という、固有の方向性を持った言葉です。マリアは「神の言葉」の中に下っていき、そこで「この身に成りますように」と受け止め、ゆだねたということです。

「神が共におられる」という神の言葉の真実の中に下って、そこで生きる者となったマリアは急ぎます。いただいた祝福を、今度は人に告げるためです。

天使ガブリエルが告げた祝福は、マリアだけへの祝福ではありません。「主があなたと共におられる」という祝福は、全世界の人に告げられなければならない祝福です。

「主があなたと共におられる」。この祝福を受け取り、出会わせていただくならば、今度は私たちはそれを「告げる者」に変えられていきます。

イエス・キリストとは、人に祝福を告げる方です。その祝福の根源にあるのは「インマヌエル」、つまり「神は我々と共におられる」(マタイ1:23)という神さまからの真実です。この祝福を携えて、人に祝福を告げる者になっていくということです。ご一緒にお祈りしましょう。

Share

Related Posts

None found

  1. 9月1日は関東大震災が発生した日

  2. 【chiyoのGOD ONLY KNOWS!】第11回 ブラジルにて(後編)

  3. 2020年8月2日「わたしたちの戦いの武器は、神に由来する力」

  4. 大阪の陣でキリシタンたちが豊臣方についた理由

  5. 2020年11月25日「わたしは復活であり、命である」

  6. 2020年7月22日「憐れみを受けた者として」

  7. 11月16日は茨城キリスト教大学と青山学院大学の創立記念日

  8. 古代ローマ最強弁護士の名演説 〜キケロのカティリナ弾劾演説〜

  9. 【クリスチャンな日々】第31回 料理にはスパイスを、人生には聖書を MARO

  10. 9月16日は松山東雲学園の創立記念日

  11. 【聖書の不思議あれこれ!】第5回 「聖書」って何よ? その1 パダワン青木

  12. 誰もが知るあの童謡作家が、キリシタンたちに抱いた共鳴

  13. 【宗教リテラシー向上委員会】 女性ムスリムの服装に見る異文化の受容 小村明子 2020年8月1日

  14. 4月20日「神の怒りに任せなさい」

  15. 【トナリビトの怪】(6)ダニエル書における二つの謎 波勢邦生 『アーギュメンツ#3』

クリスチャンプレス をご支援ください

300円 1000円 5000円 10000円

※金額のご指定も可能です。

金額をご指定

リンク用バナーダウンロード

画像をダウンロードしてご利用ください。

リンクを張っていただいた場合は、ご連絡いただけると幸いです。