神さまが共におられる神秘(36)稲川圭三

わたしたちの間で実現した事柄が見えますか

2016年1月24日 年間第3主日
(典礼歴C年に合わせ3年前の説教の再録)
この聖書の言葉は、今日、実現した。
ルカ1:1~4、4:14~21

今日はルカの福音書の書き出しの言葉を読みました。「わたしたちの間で実現した事柄」とあります。それは、イエスさまが死んで、復活し、今日私たちと一緒に生きておられることです。

次に、「最初から目撃して御言葉のために働いた人々」とあります。イエスさまの洗礼の時から始まって、宣教生活、十字架の死、復活、そして聖霊が注がれて弟子の中にイエスが生きて立ち現れるのを目撃した人たちで、その出来事を宣べ伝えるために働いた人々のことです。

「(その)人々がわたしたちに伝えたとおりに、物語を書き連ねようと、多くの人々が既に手を着けています」とあります。

イエスさまが亡くなられたのは紀元30年くらいで、ルカの福音書が書かれたのは70~80年です。その間、「最初から目撃して御言葉のために働いた人々」が口で宣べ伝えていました。そういう人たちが亡くなっていく時期に、このことを「物語に書き連ねなければならない」という必要が生じてきたのです。

「御言葉のために働いた人々」は、「わたしたちの間で実現した事柄」について宣べ伝えました。みんなが知っているあのイエス、十字架上で亡くなったあのイエスが、私たちの間に今おられることをまず話したと思います。その上で、「そのイエスはこういう方です」、「このように教えました」、「こんな最期を遂げました」という順序で話したのではないでしょうか。

このルカが書いてくれた福音を、2000年後の今、私たちは読んでいます。この福音を読む時に、私たちが大切にしなくてはならない読み方があります。それは、最初に「わたしたちの間で実現した事柄」があるということです。あのイエスが今私たちと共にいて生きておられることがすべての始まりです。そこに立って私たちは福音を読んでいくのです。

「イエスは“霊”の力に満ちてガリラヤに帰られた」とあります(4:14)。その前にあったのは「イエスの洗礼」です。その時、「聖霊が鳩のように目に見える姿でイエスの上に降って来た。すると、『あなたはわたしの愛する子、わたしの心に適う者』という声が、天から聞こえた」とあります(3:22)。父である神が霊を注がれたのです。

霊の力に満ちてガリラヤに帰り、お育ちになったナザレの会堂で預言者イザヤの巻物を開いた時、「次のように書いてある個所が目に留まった」とあります(4:17)。イエスさまはご自分のことが書かれているとお分かりになったのだと思います。それで、「この聖書の言葉は、今日、あなたがたが耳にしたとき、実現した」と話し始められたのです(21節)。

イエスさまは、父である神がご自分に“霊”を注がれ、「あなたはわたしの愛する子」という声をかけられた時、「ああ、遣わされるために注がれた“霊”なのだ」と分かったと思います。「貧しい人に福音を告げ知らせるために、……捕らわれている人に解放を、目の見えない人に視力の回復を告げ、圧迫されている人を自由にし、主の恵みの年を告げるため」に遣わされたのだと。

「目が見えるようになれ」と口で言われても、私たちは見えるようにはなりません。でも、イエスさまは私たちの視力を回復するために何をなさったか。十字架で死に、復活し、聖霊を注ぐことによって、神のいのちを見る眼差しといのちを私たちに注いでくださったんです。これが洗礼を通していただく「聖霊」という出会いです。

すると、「わたしたちの間で実現した事柄」が確かに私たちの内に実現し、今度は私たちがイエスさまの心と体と眼差しで人を見る者となって派遣されます。

私たちは、イエスさまと一緒の向きで生きるために聖霊を注がれたのです。しまっておくためではないし、何かバッチや勲章みたいにつけておくためにいただいたのでもありません。派遣されてイエスさまと一緒の向きで生きるためです。出会う先で、「あなたは神さまの子どもです」、「あなたの中にあるのは神さまのいのちですよ」、それを第1番にして生きるいのちとなって派遣されることになります。

もし人の中に神のいのちがあることを2番、3番にしているなら、私たちは目が見えていない者です。イエスさまの目を入れてもらう必要があります。

洗礼を受けてイエスさまの目をもらっているならば、その目で見なければならない。しまっておくための目ではなく、見るための目ですから。

弱い私たちが奮起して、また新たに生きることができるように、イエスさまは「キリストの体、これは私の体」と言って、ご自分の体をまた今日もくださいます。そのことを思い出して、人間の中に神のいのちがあることを第1番に見て、祈って生きるいのちになりますようにお祈りをしたいと思います。

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