コラム

神さまが共におられる神秘(43)稲川圭三

どうしていいか分からない時、信頼へと導く励まし

2016年2月21日 四旬節第二主日
(典礼歴C年に合わせ3年前の説教の再録)
祈っておられるうちに、イエスの顔の様子が変わった
ルカ9:28b~36

イエスがペトロ、ヨハネ、ヤコブだけを連れて祈るために山に登り、そこで一瞬の栄光を現されました。

私たちも日々の生活の中で時々、「なぜこんな出来事があるのか」と身動きがとれなくなってしまう時があるかもしれません。そんな時に一歩前に歩み出させていただく励ましが、今日の「ご変容」という出来事だったと考えられます。

では、そのとき弟子たちにとってどんな問題があったのでしょうか。実はこの8日ほど前に、イエスが弟子たちにご自分の死と復活の予告をするという出来事がありました(ルカ9:22)。

弟子たちにとってイエスが苦しみを受けるなんて考えられない。ましてや、死ぬなんて考えることができない。それで弟子たちは動けなくなってしまいました。

私たちも、自分の人生の歩みの計画が崩れ去った時、動けなくなってしまうことがあると思います。弟子たちもそのようでした。

そして、イエスさまは言われました。

「わたしについて来たい者は、自分を捨て、日々、自分の十字架を背負って、わたしに従いなさい。……人は、たとえ全世界を手に入れても、自分の身を滅ぼしたり、失ったりしては、何の得があろうか」(23、25節)

けれども、弟子たちは意味が分かりませんでした。

その弟子たちに神さまは、イエスの山上での一瞬の栄光を現すことによって、また「これに聞け」という言葉によって励ましました。弟子たちは、イエスさまが言われたことについて理解が深まったわけではないけれども、「このお方に従うのだ」という歩みをいただいた。ご変容とは、そういう励ましの出来事でした。

さて、今日の第1朗読(創世記15:5~12、17~18)ですが、不思議な内容だったと思いませんか。主である神さまが「あなたにこの土地を与える」と言われると、アブラムが「何によって私はそれを知ることができますか」と尋ねました。すると、神さまからの答えがありました。「三歳の雌牛と、三歳の雌山羊と、三歳の雄羊と、山鳩と、鳩の雛とをわたしのもとに持って来なさい」。アブラムはそれらのものをみな持ってきて、真っ二つに切り裂き、それぞれを互いに向かい合わせて置きました。

これはいったい何のことでしょうか。雌牛を真っ二つに裂いたら、たくさんの血が流れます。そして、おそらく裂いた時、真っ白な骨も見えたでしょう。赤い血、赤い肉、真っ白な骨。おびただしい血も流れたでしょう。それらの動物を「互いに向かい合せて置いた」とあります。

また、「日が沈みかけたころ、アブラムは深い眠りに襲われた。すると、恐ろしい大いなる暗黒が彼に臨んだ。……日が沈み、暗闇に覆われたころ、突然、煙を吐く炉と燃える松明(たいまつ)が二つに裂かれた動物の間を通り過ぎた」(創世記15:12、17)。これはいったい何のことでしょうか。

当時、人が契約を結ぶ時、このようなことをしたのだそうです。もしどちらかが約束を破ったら、この動物のように真っ二つに切り裂かれても、お互い文句は言えない。そういう約束を交わして、二人でその中を通ったのです。たぶん、すごく生々しい、強烈なイメージが残ったと思います。だから、絶対に約束を破ってはならない。そういうことを確認し合う行為だったのだそうです。

ここで私たちがびっくりして知らなければならないことがあります。それは、そこを神さまだけがお通りになったということです。

「煙を吐く炉と燃える松明」とは、神さまの象徴です。本当だったら、その中を神さまと人が一緒に通るべきでしょう。けれども、そこを通ったのは、煙を吐く炉と燃える松明だけでした。人間には通らせないで、神さまだけがお通りになった。これが、神さまが結ばれた、人間との契約という絆(きずな)なのです。

アブラムは「何によって知ることができるか」と問いましたが、神さまは、自分が言ったことは必ず守るという誠実をお示しになられました。アブラムはただただ神さまからの誠実を示され、信じるという歩みに入れていただいたのです。

私たちも今日、具体的な毎日の生活の中で、さまざまな問題、悩み、心配を抱えて生きています。「どのようにして」という理解や答えを求めたい心もあると思います。けれども、私たちの理解や納得を超えて、神さまが共にいてくださいます。

たとえ私たちが神さまから離れても、神さまは決して私たちから離れることのない誠実なお方です。私たちがそのお方に信頼を置いて生きる者になりますように。そういう新しい歩みにまた入りますように、ご一緒にお祈りをしたいと思います。たとえ理解が伴わなくても、「これに聞け」と言われるお方の誠実さそのものに信頼を置いて生きることができますように。

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