神さまが共におられる神秘(54)稲川圭三

罪の赦(ゆる)しを得させる悔い改め

2016年5月8日 主の昇天
(典礼歴C年に合わせ3年前の説教の再録)
イエスは祝福しながら彼らを離れ、天に上げられた。
ルカ24:46~53

イエスさまは去っていくにあたり、弟子たちに言葉を残されました。「あなたがたはこれらのことの証人となる」(24:48)

証人になれるのは、「(イエスさまが)父が約束されたものをあなたがたに送る。高い所からの力に覆われる」からです(49節)。つまり、聖霊を送り、その力に覆われるから、「あなたがたはこれらのことの証人となる」のです。

「これらのこと」とは、「メシアは苦しみを受け、三日目に死者の中から復活する」ことです(46節)。苦しみがあっても、それを超えた「救い」につながっていることを私たちに教えるために、イエスさまは死んで、3日目に復活されました。つまり、人間は最終的に「苦しみ」ではなく「復活」につながっている存在なのだということの証し人になるということです。

私たちは苦しみがある時、自分には救いがないと考え、その思いに捕らわれてしまいます。しかし、たとえ苦しみがあっても、天地万物の創り主である神さまが私たちから決して離れることがないという真実を、私たちはイエスさまから教わっています。

「罪の赦(ゆる)しを得させる悔い改めが、その名によってあらゆる国の人々に宣べ伝えられる」(47節)

「その名」とはイエス・キリストの名です。「罪」とは「的外れ」という意味です。私たちの中に神さまが共にいてくださるのに、その真実よりも、自分や人の良くないところ、駄目なところ、足りないところばかりに目が向かってしまうのが「的外れ」です。

私たちはその「的外れ」に縛られていますが、そこから解放するのが「罪の赦(ゆる)し」です。「悔い改め」とは「方向転換」です。「的外れ」に縛られてしまっている者を、的に向かって向け直す方向転換を「悔い改め」といいます。

人間の滅びある外側の欠点に向かってしまう的外れを、「方向転換」によって、向かうべきところに向け直させていただくことが「罪の赦(ゆる)しを得させる悔い改め」です。

私たちはどうしても、自分や人と共にいてくださる神さまより、目に見える欠点や嫌なところ、あるいは、自分がそんな気持ちになれるとか、なれないとか、そういうものに向かう「的外れ」になってしまいます。

その束縛から解放してくださるのがイエス・キリストです。なぜならイエス・キリストは、ご自分のうちに神さまがいてくださる真実にいつも留まり、また目の前にいる人の中にいてくださる神さまの真実に目を向けてくださったからです。ですからイエス・キリストこそ、「的外れ」に縛られている私たちを解放し、神さまの真実に向かわせてくださる「悔い改め」、「方向転換」なのです。「罪の赦(ゆる)しを得させる悔い改め」とはイエス・キリストのことです。

イエス・キリストはそのことを一人ひとりに教えました。でも私たちは、教えられただけでは守れないのです。そんな私たちのためにイエスは死に、復活し、ご自分の霊である聖霊を私たちに注いでくださいました。だから、それによって私たちは、「罪の赦(ゆる)し」を得させる根本的な「方向転換」に入れていただくことになりました。それが「父が約束されたものをあなたがたに送る」という約束の中身です。

「高い所からの力に覆われる」と(49節)、あなたがたはそのことを内側から証しする者になる。これがイエスさまの約束です。

昨日、初聖体の勉強会の中で一人の男の子が、「なんでイエスさまは復活されたの」と聞きました。私は、「それは、イエスさまがみんなと一緒にいるようになるためだよ」と答えました。

イエスさまがこの世に生きておられる時は、一人の人に会っている間、ほかの人は待たなければなりませんでした。でも、イエスさまは死んで復活し、聖霊を注ぎ、すべての人と一緒に生きることのできる「いのち」になってくださいました。「父が約束されたもの」とは、聖霊というご自分の「いのち」そのものです。

今日も、その「罪の赦(ゆる)し」を得させる「方向転換」そのものであるイエスさまが私たちと一緒にいてくださり、「的外れ」の束縛から解放してくださいます。

もちろん、私たちの目に神さまは見えません。感じることもできないかもしれません。神さまがおられると思えないかもしれません。どうにも納得がいかないかもしれません。でも、神さまが共にいてくださるのが真実です。だから、何も見えない、何も感じない、何も手ごたえがないかもしれない私たちの体と心、そして眼差しをただ向けさせていただく。それが、私たちがさせていただけることではないかと思います。

今日もミサにあずかることのできない人がたくさんおられます。ミサにあずかるということさえ知らない方も大勢おられます。そういう人のことも心に思い起こしながら、このごミサでご一緒にお祈りをしましょう。

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