神さまが共におられる神秘(70)稲川圭三

今も後も支えてくださる方に、今

2016年9月18日 年間第25主日
(典礼歴C年に合わせ3年前の説教の再録)
あなたがたは神と富とに仕えることはできない
ルカ16:1~13

今日の「不正な管理人」のたとえは、数あるたとえの中でも最も分かりにくいものの一つだと言われています。

「不正にまみれた富で友達を作りなさい」(ルカ16:9)とありますが、それは汚い手段で作ったお金という意味ではありません。「天の富」に対して「この世の富」というくらいの意味で使われています。

あと「不正な管理人」の「不正」という表現については、こういう解釈があります。当時、ユダヤの律法では、「同胞にお金を貸す場合、利子を取ってはならない」という掟がありましたが、実際には取っていました。実際に貸したのは50バトス(樽)ですが、利子分の50バトスもそこに上乗せして「100バトス貸した」という証文を作る。証文を見る限り、利子は取っていないことになっています。このように律法を守っていないという意味で「不正な」管理人というのです。

さて、「主人は、この不正な管理人の抜け目のないやり方をほめた」(8節)とあります。主人は、「なぜ」、そして「何を」ほめたのでしょうか。

管理人は、主人の50樽分に50樽分の利子を上乗せして証文を作りました。でも、後で借り主に50バトスと書き直させたのです。つまり、利子分は免除してやったということです。厳密には、主人の財産には穴をあけていないのです。

そして、この行為は「律法に基づく行い」になります。しかも、貸した人には感謝される。主人の寛容さをほめたたえることになったでしょう。さらに、そのように振る舞った管理人は、自分が管理の仕事を取り上げられてしまった後も、「あのとき助けてあげたよね」と言って、主人に借りのある人に取り入る道を築いたことになります。これを、「抜け目のないやり方をほめた」とたとえは結んでいるのです。

イエスさまはこのたとえを通して私たちに何をおっしゃりたいのでしょうか。

この管理人は、「自分はもう管理の仕事を取り上げられる」と分かったのです。でも、会計報告を出すまでは、まだ管理の仕事は取り上げられていないのです。その猶予がある間に、自分の仕事が取り上げられてしまった後も支えてくれる人との関係をいま築いている。ここに賢さがあるのだというたとえです。

私たちもこの地上のいのちの管理を神さまからゆだねられています。しかし、いつか必ず取り上げられる時が来ます。「その時が来てしまう前に、その後も支えてくださる方との関係をいま作っておきなさい」というお話です。この世のいのちの後も支えてくださるお方は神さまですね。つまり、「神さまとの関係をいま築いておきなさいよ」というお話だということになります。

イエスさまはこのたとえの適用としてこうおっしゃっています。「不正にまみれた富で友達を作りなさい。そうしておけば、金がなくなったとき、あなたがたは永遠の住まいに迎え入れてもらえる」(9節)

先ほど申し上げたように、「この世の富を使って友達を作りなさい」と言われます。「友達を作りなさい」とは、この世ではお返しをしてくれないような人に対して、それを承知ですることを「友達を作る」と言っているのだと思います。なぜなら、「そここそ、私たちのこの世のいのちを終えた後も支えてくださるお方との関係を築くところだからだよ」というのがイエスさまの話になります。

私たちが今まで、お返しをしてくれそうもない人に使ったお金があるなら、お返ししてくれることも見込めそうもないところに割いた時間があるなら、あるいは「返してくれることなどないかな」と思いながら砕いた心があるなら、それは全部、神さまがお喜びになるものだと思います。なぜなら神さまは、お返しの期待などせずにくださるお方だからです。

私たちがお金を持っていたり、能力や才能があったり、何か力が預けられたりしているなら、それはお返しができない人に使うために預けられているのです。もしそういう人のために使うなら、神さまは「ああ、私と一緒に生きてくれたね」と喜んでくださるのだと思うのです。

また、私たちが知らずに、お返しができない人に何かをしてきたということがあるならば、それは実は、「ああ、あれは神さまがしてくださったことでしたね」と受け取らせていただく者になるのだと思います。そのとき私たちは、「ああ、このお方は今も、そして死んだ後も絶対に支えてくださる」という思いの中で生きる者になるのではないでしょうか。

今までそういうお金や時間や労力の使い方をさせていただいたことがあったならば、そのことに対して、今日大きな感謝をおささげし、そして今日も明日も、死んだ後も支えてくださる神さまからの安心につないでいただいて生きる者になりますように、ご一緒にお祈りをしたいと思います。

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