コラム

【毎週日曜連載】神さまが共におられる神秘(83)稲川圭三

 

神が共におられると分からせてくださる方

2016年12月18日 待降節第4主日
(典礼歴A年に合わせ3年前の説教の再録)
この名は「神は我々と共におられる」という意味である
マタイ1:18~24

主の降誕、クリスマスを迎える直前の日曜日に、「イエス・キリストの誕生の次第」(マタイ1:18)が読まれました。

母マリアはヨセフと婚約していたが、二人が一緒になる前に、聖霊によって身ごもっていることが明らかになった。(同)

通常、結婚に先立って1年間の婚約期間がありました。その間はまだ一緒に生活はしませんが、法律的には妻と夫という身分になっていました。

ところが、この期間に妻マリアは「聖霊によって身ごもっていることが明らかになった」のです。

夫ヨセフは正しい人であったので、マリアのことを表ざたにするのを望まず、ひそかに縁を切ろうと決心した。(19節)

それはヨセフが冷淡だったからではありません。

この「正しい人」という言葉は、「律法という掟を守る正しさの中で生きていた人」という意味になります。その律法では、婚約期間中に夫との間の子ではない子を身ごもると、石打ちという死刑を受けなければなりませんでした。それで「マリアのことを表ざたにするのを望まず、ひそかに縁を切ろうと決心した」ということになります。

ところで、「誕生の次第」と訳されているのは、ギリシア語では「ゲネシス」という単語で、その意味は「起源」です。ルーツ、根源、何から来るかという意味になります。

ですから、今日読まれた福音の箇所は、イエスの誕生の出来事がどんな顛末(てんまつ)だったかということではなく、イエスがどこから来て、どこに行かれる方かを表そうとしているのです。

ヨセフがひそかに縁を切ろうと考えていると、主の天使が夢に現れて言いました。

「ダビデの子ヨセフ、恐れず妻マリアを迎え入れなさい。マリアの胎の子は聖霊によって宿ったのである。マリアは男の子を産む。その子をイエスと名付けなさい。この子は自分の民を罪から救うからである」(20~21節)

つまり今日の福音は、イエスが神から来た方であり、自分の民を罪から救う方なのだということを言っています。そして、このことは預言者が言っていたことの成就なのだといいます。

このすべてのことが起こったのは、主が預言者を通して言われていたことが実現するためであった。(22節)

預言者が言っていたこととは、こうです。

「見よ、おとめが身ごもって男の子を産む。その名はインマヌエルと呼ばれる」。この名は、「神は我々と共におられる」という意味である。(23節)

「インマヌエル」とはイエスさまのことです。つまり、イエスを見ると、「ああ、神は我々と共におられるんだ」と感じてしまう。イエスにお会いすると、「ああ、神さまは我々と共におられるんだ」と分かる方だということです。

だからイエスは、「あなたは救い主、神の子」と分かるだけじゃないんです。イエスさまに会うと、「ああ、神さまは私たちと一緒にいてくださるんだ」と分かる。そういうお方だということです。

つまりイエスさまは、「ああ、イエスさまの前に出ると、自分なんかみじめでみじめで、もう隠れたい」というような方ではないんです。「あなたのようなところには出て行けません」という方ではないんです。

そうではなく、「神さまは私たちと共におられるんだ」と私たちに分からせてくださるお方なのだということです。

どうしてそうだったんでしょうね。イエスさまはきっと、出会う人一人ひとりに、「神さまがあなたと一緒にいてくださるんですよ」ということを何とかして分からせるように、そのことに出会わせるように、伝えて生きられた方だからではないでしょうか。イエスさまは出会った人に、「ああ、神さまが私たちと一緒にいてくださるのだ」と分からせてくださるお方だったのです。

ところで今日、そのお方がどこにおられるか知っていますか。その方は私たちと一緒にいてくださいます。

マタイの福音書は始めに、「その名はインマヌエルと呼ばれる」と書いていますね(1:23)。そして結びの言葉はこれです。

「わたしは世の終わりまで、いつもあなたがたと共にいる」(28:20)

マタイの福音書は最初から最後まで、神さまが私たちと共にいてくださることを教えているのです。

インマヌエルであるお方は、今日、私たち一人ひとりの中にいて、一緒に生きてくださいます。そしてそのお方は、出会う人の中に「神さまが一緒におられますよ」と何とか分からせようとして働いてくださるお方です。

その方のお誕生がすぐ近くに来ています。そのお方は今日すでに私たちの中にいてくださるのですが、そのことを知らない人もたくさんおられますね。だから、一緒にインマヌエルという真実を人にも告げていけるように、ご一緒にお祈りしたいと思います。

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