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【毎週日曜連載】神さまが共におられる神秘(91)稲川圭三

共におられる神と共に生きる

2017年2月12日 年間第六主日
(典礼歴A年に合わせ3年前の説教の再録)
腹を立ててはならない
マタイ5:20~22a、27~28、33~34、37

今日の箇所は、「あなたがたも聞いているとおり、昔の人はこう命じられている。しかし、私はこうだ」という繰り返しになっています。旧約の律法に対して、イエスさまは新しい教えを話されていますが、それは目新しい教えではなく、旧約を完成し、完全にする教えです。

旧約の律法は、石の板に刻まれた文言としてモーセを通して神から与えられました。しかしイエスさまは、いのちそのもの、神の言葉そのものとして私たちのところに来てくださいました。「あなたがたの肉体から石の心を取り除き、肉の心を与える」(エゼキエル36:26)とありますが、神の言葉は今や、肉に刻まれた、肉の言葉であるイエス・キリストを通して私たちのところに来たのです。これがイエスさまを通して告げられた新しい掟(おきて)です。

今日の福音の冒頭でイエスさまはこう言われます。

「あなたがたの義が律法学者やファリサイ派の人々の義にまさっていなければ、あなたがたは決して天の国に入ることができない」(マタイ5:20)

律法学者たちは、律法という掟をよく守っていました。「それ以上にきっちり守れなければ神の国に入れない」とイエスさまはおっしゃっているのではありません。

彼らの「義」は、「自分たちがこれこれの掟を守っている」というところに根拠がありました。しかし、イエスさまのおっしゃる義とは「神の義」です。神の義に基づいて生きることが求められています。

「父は、悪人にも善人にも太陽を昇らせ、正しい者にも正しくない者にも雨を降らせてくださるからである」(45節)とイエスさまは言われます。また、「いと高き方は、恩を知らない者にも悪人にも、情け深い」(ルカ6:35)と言われます。

つまり、善人にも悪人にも、正しい者にも正しくない者にも、恩を知らない者にも悪人にも、「共にいてくださる」のが神の義です。善人にも悪人にも、正しい者にも正しくない者にも「共に生きよう」と望んでくださる神さまの真実が「神の義」です。

「この義を受け取って、そこで生きるように」というのがイエスさまの教えの根本です。その神の義に信頼を置くのでなければ、決して天の国に入ることができない。そうイエスさまはおっしゃっているのです。

イエスさまは今日の福音の言葉を、「天の国」から話しておられます。ご自分がおられるところにみんなも一緒にいるようにという深い強い望みで話しておられます。

「天の国」は「死んだら行くところ」と考えるかもしれませんが、それは違います。ユダヤ人は神さまを畏(おそ)れ尊ぶあまりに「神」という言葉を使わず、「天」という言葉を用いました。ですから、「天の国」とは「神の国」と同じ意味の言葉です。

「神の国」の「国」と訳されるギリシア語「バシレイア」は「支配」という意味です。ですから、「神の国」とは「神の支配」です。「神の支配」とは、愛によって神さまが、善人にも悪人にも、正しい者にも正しくない者にも「一緒に生きよう」と深く強く望んでくださるということです。

神さまは、私たちの人生を乗っ取って自動運転されるような方ではありません。私たちも「あなたと一緒に生きたい」という望みと同意をもって初めて現すことのできる支配が、「神の国」という「神の支配」です。

イエスさまは、「神の国」「神の愛の支配」の中に生きておられました。その「神の愛の支配」をイエスさまはこのように表現しておられます。「私が父の内におり、父が私の内におられる」(ヨハネ14:11)。父である神さまがご自分の中で一緒に生き、ご自分も父である神さまと共に生きておられたのではないでしょうか。だからイエスさまは、「私を見た者は、父を見たのだ」(ヨハネ14:9)というまでに、父と一緒に生きる神の国の現実を生きておられました。

「だから、あなたがたもそこで生きるんだよ」というのが、今日の福音の根本のカギです。

自分にも人にも父である神さまが一緒にいてくださることを認めるなら、人に反感を持ったり、兄弟に腹を立てることはあっても、それ以上のひどいことを私たちはしないでしょう。また、みだらな思いで人を見たりすることにはならないと、イエスさまは教えています。

自分にも人にも神さまが一緒にいてくださるという神の義を、イエスさまは認めて生きられました。そのお方が今日、私たちと一緒にいてくださいます。

昨日、失敗してしまったかもしれません。でも、今日また新しい心を神さまは作ってくださいます。天地万物を創造する神さまは今日、私たちの心をまったく新しくすることがおできになります。

その神の義に信頼して、今日、神の国に入って生きますように。ご一緒にお祈りをしたいと思います。

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