【インタビュー】日本基督教団総会議長・石橋秀雄さん(4)「牧師になって本当によかった。生きていて楽しい」

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──コロナ禍の中で不安になっている人が多くいます。

私たちの教会付属の越谷幼稚園では、父母たちと一緒に新型コロナ・ウイルス感染と闘ってきました。越谷幼稚園の父母の会は世界一だと思っているのですが、園内活動だけでなく、東日本大震災や西日本豪雨のためのバザーをやって支援金を送るなど、親同士の連携が非常に強いのです。また、その中に小児科医の夫婦がいて、その人たちがいつも一緒にいてくれたことも心強かったですね。

3月からいっせいに学校が休校になりましたが、当時のさまざまな情報からトータルに判断して、幼稚園は休園にはせず、徹底した除菌、換気、手洗いで、卒園式まで予定どおりの保育と行事を行いました。特に3月は、園児の成長を皆で喜び合えるいちばん良い時で、園児たちもお互いに輝かせ合える時でもあるので、こういった大事な時に保育を失うということは考えられませんでした。

先日、あるお母さんから手紙をもらいました。そこには、自分が感染しているのではないかと不安だったこと、その中で幼稚園を信頼し、自分が守られていることを感じたということが書かれていました。感染防止の基本的なことをしっかりやっていれば恐れることはないと思いますが、心の底から安心できるのは、信頼関係によって生まれる心の慰めだと思っています。

──越谷教会では自宅礼拝をされたということですが、礼拝が休止になったことで、改めて発見はありましたか。

自宅礼拝をすることによって、一つの礼拝の可能性が出てきたと思っています。今後、高齢者が増え、礼拝のために教会に集まるのが難しくなるという問題もあるでしょうし、自然災害で教会に来られなくなる場合もあります。そういう時にどうしたらいいか、一つの礼拝に対する考えを示したのではないでしょうか。聖餐については、家庭訪問をして聖餐をするとか、希望者に対してこれから考えていかないといけないと思っています。

──実際、礼拝の動画配信をされて、どうでしたか。

説教にうなずいてくれる人がいない講壇は本当に寂しかった。賛美も、ふだんなら奏楽者が合わせてくれるのに、ヒムプレイヤー(賛美歌自動演奏機)ではそうはいきません。

信徒がいないのは寂しいので、こちらから出かけました。朝6時に起きて、礼拝のメッセージと水曜日の聖書研究、次の礼拝の内容を封筒に入れて、一軒一軒訪問し、呼鈴は押さずにポストに入れるようにしました。初めのうちは「牧会しているんだ」とルンルン気分でしたが、最後は息切れ状態でした。でも、140人分の信徒の家を回りました。

──ふだんはどのように礼拝に備えられているのでしょう。

1週間を振り返ると、日曜から土曜まで休みがないですね。越谷教会は、日曜日に第一礼拝、主礼拝、夕礼拝の3回の礼拝を行っています。私は、第一と主礼拝を担当していて、夕拝は副牧師の担当ですが、日曜学校もあるので、その頃は頭がボーッとしています。でも、月曜からは楽しい幼稚園が待っています。

火曜、水曜に説教の準備を始めて、木曜日の祈祷会で日曜の説教箇所の聖書研究を行います。土曜は朝5時から説教に取り組み始め、午前9時なったら、そこで説教の原稿ができていようといまいとテニスに行って、午後は少し昼寝をして、また説教に取り組み、日曜は朝4時に起きて、もう一度説教を見直し、朝7時45分からの第一礼拝に備えます。

──ものすごいエネルギーですね。それはどこから来るのでしょうか。

やはり私のエネルギー源は子どもと遊ぶこと。園児は、私にとってなくてはならない存在です。朝8時20分に幼稚園に行き、主の祈りをしてから、10時頃まで子どもたちと遊ぶのがいちばん楽しい時間です。子どもたちは、私を友だちだと思ってやりたい放題ですが、それが本当に楽しい。

また私の性格は体育会系で、あとは何でも楽しむことが得意なんですね。私はよく忘れ物をするのですが、それさえも「次は何を忘れるのかな」と楽しみにしてしまうんです。

それから、幼稚園の仕事をしていて何が楽しいかというと、人とのつながりがどんどん増えていくことです。お父さんがいない新婦のお父さん替わりでバージンロードを歩いたりすることが二度。お父さんと思ってくれる人が増えていくのがうれしいです。

牧師になって本当によかったと思います。神様に「同じ道をもう一度歩きなさい」と言われれば、喜んでもう一度今までの道を歩みたいと思います。生きていることが本当に楽しいです。

 






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