「嫌いと思えるのは、イエス様を信じているから」 映画「僕はイエス様が嫌い」5月31日よりロードショー(後編)

 

──小さなイエス様の概念は、子どもの頃からあったのですか。

映画のように小さなイエス様が見えていたということはないのですが、集中力がない小学生の頃、宗教主任の先生が丁寧に聖書の話をしている時に「眠いな」とか思いながら、いろいろな想像を膨らませていたことは記憶しています。その時のことを思い出し、イマジナリー・フレンド(空想の友人)というか、信仰心の象徴としてこういうアイデアを思いつきました。このように表現したことで、観客の皆さんには誤解なく、「これはあくまでも主人公ユラの想像であり、本当のイエス様として描いているわけではない」と思ってもらえたので、一定の評価を得ることができたと思っています。

©︎閉会宣言

──映画の中で仏壇や神社で祈るシーンがありましたが、監督の狙いは?

クリスマスを楽しんだ後、大晦日(おおみそか)にはお寺で除夜の鐘(かね)をついて、正月には神社に初詣(はつもうで)に行く。このように宗教を無意識にまたいでいる日本人らしい宗教観を描きたかったのです。ただ、それに対して疑問を投げかけるようなことはしたくありませんでした。ユラたちの行動を見て、「私たちもこうだな」とか、「クリスチャンとしてこういうのもありなのかな」ということを改めて考えてもらい、「神様って何だろう」という考えにつなげてほしいという狙(ねら)いがありました。

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──監督自身、ミッション・スクールで、クリスチャンである教師やキリスト教に対して反発を抱いていたと読み取っていいのですか。

お祈りをすることに抵抗はなかったのですが、宗教を教育の一環としてやっていることに違和感があったのは確かです。なぜそういうふうにしていたのかを追体験したくて、この映画を作ったのかもしれません。お祈りの話の最中に、ついでに生徒の洋服のボタンが取れていることも注意するというような、教育と宗教を綯(な)い交(ま)ぜにすることの違和感を、観ている人もどこかで感じてほしいと思っています。これはあくまでも自己満足ではあるのですが。

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──監督はイエス様が好きですか、嫌いですか。

マカオの映画祭で「このタイトル、大丈夫でしたか」と聞いたところ、「存在を信じていない人を嫌いとは思わないから、むしろこのタイトルは素敵だと思った」と言われて、そういうふうな捉え方をしてくださるクリスチャンもいるんだとびっくりしました。今の質問に答えるなら、嫌いと思うくらいに存在を信じていたこともありましたし、いま強いて言うなら、好きとか嫌いとかではなくて、イエス様を信じているということです。

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──具体的に、どういった時に存在を信じているのでしょうか。

映画に関して言うと、ユラが障子(しょうじ)に穴を開けて中をのぞくと、上のほうにヒラヒラと見える。74分の映画の中で唯一、本当のイエス様が姿を見せるという意味で、あのシーンを撮っています。友だちが死んだことで死後の世界を感じたという表現です。私自身、友だちを亡くした後、ただ死んで土に帰るのではなくて、死んだら行き先があって、その行き先を決めてくれる人がいると、死を超越した存在を感じるようになりました。

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──どうして海外でこんなに賞をとれたと思いますか。

サンセバスチャンで上映した時、映画を学びながらキリスト教学校に通っている同年代の女の子が、「どうして日本人のあなたに、カトリックの盛んな国の私たちの気持ちが分かるの?」と言ってもらったことがとても嬉しかったです。さらに言うと、そういった人に受け入れられたことが、受賞したいちばんの理由かと思います。キリスト教の国に生まれて、教育や生活の中に自然とキリスト教が入っている国でも、神様の存在を疑ってしまう試練みたいなものが与えられていて、そういうところに結びついたのかなと。それはキリスト教だけでなく、誰もが持つ絶対的な存在という場合も同じで、それがたまたま描けていたから評価してもらえたのではないでしょうか。

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──どういう人に観てもらいたいですか。

やはり、最近、身近な人や飼っている動物を失って傷ついている人、「神様は本当にいるのかな」と悩んでいる人にこそ見ていただきたい。それから、キリスト教について学んでいる子どもや親御さんに見てほしいなと思っています。

「僕はイエス様が嫌い」は5月31日(金)よりTOHOシネマズ日比谷ほか、全国順次ロードショー。

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