小原克博(同志社)、中道基夫(関西学院)、西原廉太(立教)の3氏が語る コロナ後の教育・神学・教会

 

3月20日にオンラインで配信されたイベント「コロナ時代に問う『神学+教育2.0』」(キリスト新聞社主催)がYouTubeで公開されている。

2020年は新型コロナウイルスの感染拡大を受け、礼拝や授業のオンライン化が急激に進んだ。ことに教会においては、これまでさまざま理由で日曜日の礼拝に参加できなかった人が、自分のペースで参加できるようになった反面、すべてをオンラインで完結させることを疑問視する声も少なくない。

パネリストとして登壇したのは、いずれもキリスト教主義学校で教育、実践神学に携わる同志社大学神学部教授の小原克博(こはら・かつひろ)氏、関西学院大学神学部教授の中道基夫(なかみち・もとお)氏、4月より立教大学総長に就任する西原廉太(にしはら・れんた)氏の3人。キリスト新聞社の松谷信司編集長が司会を務め、各パネリストが勤務する大学の現状や、オンライン(バーチャル)かオフライン(リアル)かという二者択一の議論を越えて、「ポストコロナ」の宗教、学校、教会が生きる道について語られた。

昨年、ほとんどの教育機関では授業開始の延期や、式典やイベントの中止、オンライン授業の導入を余儀なくされた。人数制限を設けるなど感染対策を講じたうえで対面授業を再開している学校も増えているが、今後もオンライン授業を継続する学校が多いという。「授業が全面オンライン化したときは本当にたいへんで、内部では絶対にできないという声も多かった。そこで、学部長が自らモデル授業を作って他の先生方に提案していました。小原先生のYouTube配信も参考資料として教職員全員に配布しました」と立教大学の西原氏。

トークイベントの様子。写真右上から時計回りに中道氏、小原氏、西原氏、松谷氏

関西学院大学の中道氏は「隣の県から通っている者や、基礎疾患がある者、学生たちが置かれている状況はさまざまです。ひとりでも教室で授業を受けるのが不安だという声があれば、Zoomでも授業を配信します」。立教や同志社も同様に、対面とオンラインを組み合わせた「ハイブリッド」授業を行う予定だ。

こうした現状を踏まえ、取り上げられたテーマの1つ目は「教育現場のオンライン化がもたらした最大の変化」。

20年前からオンライン授業に取り組んできた小原氏は“学びの多様性の気づき”と回答。「これまでは、決まった時間に教室に来て90分間耐えられる学生を標準としてきましたが、それが難しい者もいる。実際に、対面授業では意見を言えなかったが、オンラインになったら自分でも驚くほど発言できて新鮮だったという声も複数あります。我々は今までの標準を前提にするのではなく、いろいろな学生がいることを考えて配慮したり、時間と空間に囚われずに学ぶ方法を追求することが求められているのではないでしょうか」

中道氏は「『教育』という幻想の崩壊と、学習効果という新しい指導」と回答し、オンライン化は利点も多い反面、生徒と教員とのコミュニケーションが薄れてしまうのではないかと危惧。西原氏は「『教育力』と『コンテンツ力』の重要性の再確認」と回答。オンライン化によって学部・キャンパス間を超えた教育が提供できるようになったことで、教員一人ひとりの教育力とコンテンツ力が問われるようになったと言い、今後は海外の大学と連携を取りながらオンライン留学のスキームを開発したいと話した。

2つ目のテーマは、教会のオンライン化に対する期待値を「期待・可能性」と「課題・危惧」に分けてパーセンテージを問う設問。「期待・可能性」は30%と最も低く回答した中道氏は、オンライン化することで教会に集まる意味や礼拝の本質が問われていると語る。「ただ、これまで多忙だった牧師が信徒と一緒に学ぶ時間が取れるようになったり、仕事などで日曜日に教会に行くのが難しい人に対しての伝道のチャンスがあるでしょう。これからは多様な教会の在り方が求められると思います」

「期待・可能性」「課題・危惧」共に50%とした小原氏は、状況によってもどちらも増える可能性があると言う。「礼拝とは説教を聞いていればいいというものではありません。教会はキリストの体であり、一人ひとりがキリストの体につながっている。そう考えるとき、本当にオンラインで十分なのか考える必要がある。私たちはあえて自由を放棄して、毎週教会に集っているわけですが、不自由で不便な教会には、世の中にはないものが教会にはあるのだということを示し続けなければならないと思います」。

また、期待としては、礼拝の配信以外にも幅広くコンテンツを充実、共有することで、これからの教会を担っていく中堅層の信徒が最新の神学を学ぶ機会につながると述べた。

「期待・可能性」が55%とわずかに上回った西原氏は、オンラインか対面かの二者択一ではなく、学校の授業同様にそれぞれの良さを組み合わせたハイブリッドな取り組みに期待したいとし、一方で、礼拝における聖餐をどう理解するのか再確認する必要があり、基本的には教会の原点でもある直接の交わりを大切にしたいとも語った。

3つ目のテーマは「コロナ時代のキリスト教・神学でカギを握るのは?」。「イエス1.0」「良心」と回答した小原氏は、「我々にとって出発点であるイエス・キリストの教え、行いに立ち返る必要があります。キリスト者としての自分たちの根本を問いつつも、教会の外側からはどう見られているのか、社会から必要とされているのかを考えなければならないでしょう」と述べた。

西原氏は「『教会論』の再構築、“communion”理解の深化」、中道氏は「キリスト教・神学の真価が問われる。キリスト教・神学は社会で必要とされていますか?」とそれぞれ回答。同様に、社会とのつながりについて考える必要があると語った。「いろいろな教会から、コロナを受けて新しい人とたくさんつながりができていると聞きます。こうしたニーズに応えていかなければ教会は要らないものになってしまうでしょう。危機を経験したものが新しい神学をどう語っていくのか、また、社会に通用する言葉で語り、社会に意味があるということを発信していくことが、教会の社会的責任であると思います」と中道氏。

三者三様の意見が飛び交う中で、学校も教会もコロナ禍の終息後に、元の状態に戻ることは避けたいという点で意見が共通。小原氏は「オンラインの利便性を積極的に取り入れながら、実際の礼拝の良さと両立させる方法を今から模索する必要がある」と述べた。なお、同志社では4月から試験的にオンライン聴講制度をスタートするという。「牧師や、キリスト教に興味がある一般の方にも積極的に学んでいただけるコンテンツを始めます。(コロナが)終わってからやろうと思うと腰が重くなりますから、学内を説得してまとめました。まずは同志社がモデルケースを作れたらと思っているんです」

これを受け、西原氏も他の大学と連携を取りながら、優良なコンテンツを配信するプラットフォームの開発に取り組みたいと強調した。近い将来、全国各地のキリスト教主義学校や教会が手を携え、教団・教派を超えて交流を深め、互いの知識を共有する日が来るかもしれない。

トークライブの様子は下記より閲覧可能。小原氏の公式YouTubeチャンネル「Katsuhiro KOHARA」もぜひ参考にしてほしい。

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