【インタビュー】金城学院大学学長・小室尚子さん(2)相手の文化を知り、福音をどう伝えるか

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──牧師になろうと思ったきっかけを教えてください。

明治に入ってからキリスト教宣教が解禁され、多くの人が関心を持って洗礼を受けたのに、たいていの人が信仰にとどまることができないのはなぜかということに関心があり、日本の歴史からそのことを学びたいと思っていました。ただ、金城学院大学にはそういう歴史を学べる学部がなかったので、キリスト教から離れていった日本の文学者の内面的なことを研究しようと、国文科に進むことにしました。

小室尚子学長

卒論は正宗白鳥です。白鳥は洗礼を受けるのですが、途中で信仰を捨て、死の間際で再び信仰告白しています。棄教した文学者は多いのですが、その中でも白鳥は信仰に戻ってきたところに興味を持ちました。

卒業後も、キリスト教を受け入れない日本人の精神的伝統といったものを研究していきたいと思い、金城学院大学のキリスト教センターの助手として残りました。そのとき、学内外の方々の信仰に直接触れることになったのです。特に毎週水曜日に1年生全員を対象にして開催される「キリスト教の時間」で講義される著名な先生方のすぐ近くに同席できたことで、自分がいかにキリスト教や聖書のことを分かっていないかを思い知らされ、東京神学大学(以下、東神大)に入学することを決めました。

──東神大に入学してから牧師の道が示されたということでしょうか。

東神大は、牧師を養成するのが目的の大学ですから、そこで学びだしてから召命感が与えられ、「牧師として働いていこう」という決断をしました。その後、日本基督教団・井草教会の伝道師として3年間務め、正教師となり、ミシガン州にある米国改革派のウェスタン神学校に留学させていただきました。

エラ・ヒューストン記念礼拝堂

──留学中はどんなことを学ばれましたか。

「日本人がキリスト教から離れてしまうのは、宣教師が伝えたかったことを日本人がきちんと受け取ってこなかったからではないか」という疑問が私の中にあって、留学先では、「米国の宣教師たちが日本人に何を、どう伝えようとしたのか」を学べたらと思っていました。しかし、40年くらい前から米国では宣教学のあり方が変わっていました。もともと宣教学は、他宗教・他文化のところに派遣される宣教師に「どう宣教していくか」を教える学問でしたが、その頃は、自国にいる他文化の人にどうキリスト教を伝えるかを学ばせる内容になっていました。だから私たち留学生も、自分の国でどうキリスト教を伝えるかを学ぶことになったのです。

宣教学の中心は、「福音を伝える相手の精神的な伝統・文化をまず知り、それを分析して、福音をどう伝えるかを考えていかなければならない」ということです。それは本当に目が開かれた宣教のあり方でした。日本の神学校にはそういった科目はありません。

それまで日本では、米国やドイツの神学を学び、それをそのまま伝えるだけで、「自分が学んできた神学を相手に根づかせていくには」ということを考えてきませんでした。神道や仏教の中で育ってきた人に一方的に福音を伝えても、根づかせることはできない。神道・仏教がどう考えているかを知った上でなければ、いくら福音を伝えても根づかず、離れてしまうのではないかと考えるようになりました。

帰国後、「日本の神学校も、日本の宗教史と精神的伝統を学ぶようにしなければ」と伝えたところ、東神大が関心を持ってくださり、キリスト教の立場に立った日本の宗教史を教える機会を与えていただきました。東神大には15年ほど非常勤として週に1度通っていましたが、今年3月で終えることになり、とても残念に思っています。神学生に教えることでエネルギーをもらい、励みになっていましたから。

エラ・ヒューストン記念礼拝堂

──その間、東京女子大学から金城学院大学に移られたということでしょうか。

帰国後、富士見町教会(東京都千代田区)に赴任したのですが、それもつかの間、当時、東京女子大学で学長に就任されたばかりの船本弘毅(ふなもと・ひろき)先生から声がかかり、そこで教えることをお引き受けしました。当時、速水優(はやみ・まさる)さんが同大の理事長をしておられ、「大学のキリスト教というところを立て直したい」という考えをお持ちで、改革を進めているところでした。

船本先生やその後任の学長になられた湊晶子(みなと・あきこ)先生のもとで学ばせていただきましたが、湊先生が退職されるとき、私も教会に戻ろうと決めていました。それが今度は、母校である金城学院から声がかかり、10年前に名古屋に戻ることになったのです。

──教会に戻ろうと思うたびに学校に引き戻されるという感じを受けます。

東神大で召命をはっきり感じ、井草教会に遣わされ、留学後も「教会に遣わされていきたい」と思ってきたのですが、神様がなさることはこちらの計画どおりにはいきません。でも振り返ってみると、東神大に入った時から、日本基督教団の宣教協力会(CoC)につながっている関係学校協議会の事務局で4年間アルバイトをしたり、大学の教員時代はキリスト教学校教育同盟の委員を務めたり、学校との関係が切れたことがありません。やはり神様の計画はそこにあったのかなと思います。(3に続く

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