そろそろ教会もLGBTについて真剣に考えませんか? 第4回「教会どうでしょう」開催

2月13日、エキュメニカルプロジェクト(えきゅぷろ)実行委員会の主催による事例報告会「教会どうでしょう」の第4回がZoomを介して開催され、約100人が参加した。これはコロナ禍において「あなたの教会はどうでしょう?」と、それぞれが抱えている課題や、対策、ノウハウなどを共有し合う催しで、今回のテーマは「セクシュアリティ×教会×コロナ」。

性差別をなくそうという動きが高まる一方で、森喜朗氏による女性蔑視発言をはじめ、性に基づく差別問題が後を絶たない。キリスト教会ではどうだろうか。実行委員が行ったアンケートに寄せられた100人を超える当事者らの回答を分析したところ、「男性だから」「女性だから」といった根深い性差別意識があることが見えてきた。

Q.あなたが教会で、ジェンダーやセクシュアリティのことで困ったこと、いやだなと思うこと

A.
・雑用を女性ばかりが行なっていること。そしてそれを手伝う男性が非常に少ないこと。

・トランスジェンダーはいない前提がある。

・そもそもジェンダーやセクシャリティのことを考える機会がないこと。キリスト者としてどう捉えるべきか学ぶ機会がない。

Q. 教会で、ジェンダー平等や性の多様性の尊重に関して、こんなことが変わったらいいなと思うこと

A.
・教会に来る人がみんな自分自身でいられるような雰囲気になったらいいと思う。 以前、トランスジェンダーの人がいたようなのですが、私たちの教会ではカムアウトできなかったようです。

・セクシュアリティやフェミニスト神学についての勉強会ができたらいいと思います。

もうちょっとカミングアウトしやすい環境が良い。なんとなく教会に対して神に対して嘘をついている気がする。

*エキュメニカルプロジェクト実行委員会によるアンケートより抜粋

メインゲストとして登壇した日本基督教団川和教会牧師の平良愛香(たいら・あいか)さんは、日本で初めて同性愛者であることを告白した上で牧師となった。

トークゲストとして登壇した平良愛香さん

両親には幼い頃から“男らしく”と言われたことは一度もなく、神様に「あなたは神様に作られたんだから、自分らしく生きなさい」と言われ続けてきた。スカートを履きたいと言った際は、一緒に布を買いに行き、スカートを縫ってくれたという。
「僕の家は裕福ではありませんでしたが、豊かだったなと思います。皆さんは男性がスカートを履きたいと言うときと、女性がズボンを履きたいと言うときに、周りの人の反応が大きく違うことに気づいていますか? なぜか男性がスカートを履くとおかしな目で見られたり、笑われる。無意識の内に、男性よりも女性を下に見ているから起こる反応ではないでしょうか。僕はここに、女性に対する差別があることをいつも感じさせられます」

成長するにつれて、周囲の反応から同性愛者は受け入れ難い存在であることを知った平良さんは深く傷つき、自分は“欠陥品”なんだと思うようになったという。
「当時は正しい情報がほとんどありませんでした。色々な本を読みましたが、治療には電気ショックを与えるといいとか、神の創造の秩序に反する救いようのない罪だ、地獄の火に焼かれるなどと書かれていました。これでは生きていけないと思い、高校時代はどうやって命を終わらせようかと考えていました」

生きる道を選ぶことができたのは、幼い頃から両親に言われてきた言葉「神様はあなたを愛している」があったからだと平良さん。

「僕がカミングアウトした上で牧師でいるのは、同じようにキリスト教で傷ついた同性愛者の人たちに、教会や周りの人があなたを嫌っていたとしても“神さまはあなたを嫌っていないよ”とエールを送るため。そして、性の多様性を多くの人に知ってもらうためです。本来、100人いれば100通りのセクシュアリティがあり、女らしく、男らしくといった考え方やLGBTは社会が作り出した差別です。差別があることに気づき、一緒に乗り越えていく、そこに神様の祝福があると思っています」

後半は、平良さんに加えて、すべてのセクシュアリティの人が安心してイエス・キリストとつながるために活動する「約束の虹ミニストリー」の代表・寺田留架(るか)さんら当事者を交えたパネルディスカッションが行われた。

パネルディスカッションの様子。写真下段右下が寺田留架さん

教会内で理解のない言動に傷ついている当事者から平良さんに寄せられたのは、「どうしたら恨みや怒りに飲み込まれず、忍耐強く立ち向かえるのか?」という質問。
自分は決していい人間ではないと苦笑しながらも平良さんはこう答えた。「詩編のように相手を呪うような祈りをして、あとは神様に委ねてしまうこともあります。でも、どこかできっとわかってくれると思っているんです。だから、相手に理解してもらうにはどんな言葉を、どんな表情で伝えればいいか、策略した上で『自分は傷ついている』と伝えます。そうしないと、相手は善意だからといって同じことを続けてしまうから」

また、「教会としてLGBTを受け入れることについて、神学的にどのように解決するか?」との問いに対して、寺田さんは「意地悪な解答かもしれませんが、多くのクリスチャンが、聖書に書かれていることを無視している箇所がたくさんあるのに、なぜ自分が裁かれる心配がない点ばかり取り上げるのか、と問いたいです」と答えた。

さらに、恋愛対象として同性の友人から告白された際の対応についての質問には、「同性に告白をするとき、コミュニティにいられなくなるんじゃないか、この関係が壊れてしまうんじゃないかなど、たくさんの不安や緊張を抱えています。だからまずは、勇気を出して伝えてくれたことに対して、『ありがとう』と伝えてほしいです。その上で関係を保ちたいと思うなら、『恋愛関係にはなれないけれど、これからも関係は続けていきたい』と言い添えてもらえたらいいかなと思います。カミングアウトは本当に勇気が要ります。何かを変えてほしいというサインであることも多いので『これから何か変わってほしいことはある?』など、相手が願っていることを聞いてもらえたら」と寺田さん。

平良さんは講演中にこんなことを語っていた。
「カミングアウトをする相手は、慎重に選びます。カミングアウトされたことがある方は、選ばれたんだ、信頼されたんだと思ってください。逆にまだカミングアウトされたことがない人は、周りにいないわけではない、単に選ばれていなかったということなんです」

改めて私たちは、目の前にいる相手が本当はどんなセクシュアリティなのか、自分が無意識のうちに発している言葉が相手を傷つけていないか、想像しながら向き合う必要があるのではないだろうか。

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