【くめさゆりのDAY BY DAY】第7回 絵本・ファンタジーの世界と聖書 久米小百合

誰でも一度くらいは子供の頃に絵本を読んでもらった記憶があるのではないでしょうか。またはお子さんやお孫さんに読んであげた、という方もおられると思います。私も幼稚園の頃だと思いますが、お気に入りの作品がいくつかありました。その中でも特に大好きだったのは野ネズミの二人組、いや二匹組!?が主人公の「ぐりとぐら」です。ハイライトは彼らが森で見つけた大きな卵でカステラを焼くシーン、卵と砂糖のちょっと焦げたような甘い香りが小さな子供部屋にただよってくるようでした。食べ物といえば虎がバターになっちゃう「ちびくろさんぼ」もお気に入りの一冊でした。なんだか不思議で美味しい絵本、思えばまだカラーテレビも珍しい時代、当然テレビゲームやインターネットなんて夢のまた夢の昭和30年代(歳がバレる^-^;;)、文字と絵の世界だけでしたが、頭の中では行ったことも見たこともない世界へ軽々と旅立って行けたのかもしれませんね。
さて自分が母親になった時に、我が子にこれだけはやってあげようと思ったのも絵本を読んであげることでした。まぁ頼まれもしないのに、おやすみ前の絵本タイムが自動的に設けられてしまったチビ助の息子くん、楽しかったのかどうか本当のところはわかりませんが、それでもお気に入りのお話は何度も何度も読んでとせがまれまして、リピート3回目くらいになるとこちらも相当疲れ寝落ちしてバタンキューという夜もありました。そういえば彼が好きだった作品にもホットケーキやお弁当、中には大人も嬉しいおでんなど!いい匂いがする絵本が多かったことを思い出します。小学生になった頃から「聖書ものがたり」なども読めるようになり、ノアの箱舟やクリスマスのおはなしなど一緒にページをめくった夕べも懐かしい思い出です。ちょうどその当時、聖書協会さんのご奉仕をさせていただいていたのですが、聖書そのものを絵本にしてしまうという画期的な作品群、「みんなの聖書絵本シリーズ」が発行されました。

聖書の印象的な場面を絵本で表現したものは数多いと思いますが、聖書そのものを旧約から新約の黙示録の世界まで絵本にしたものはこのシリーズくらいではないでしょうか。中には子供にはちょっと伝えるのが難しいと思われる箇所もあるのが聖書ですが、本当にストレートに大胆に、そして美しくワクワクするような色合いで描かれているこのシリーズもまた私の宝物のひとつです。

実はベストセラーと言われているファンタジーや絵本作品にも、キリスト教的な隠喩(いんゆ)やメッセージが込められているものが少なくありません。「ナルニア国」のC・S・ルイスや「指輪物語」のJ・R・R・トールキンが有名だと思いますが、「星の王子様」(サン・テグジュペリ)や「不思議の国のアリス」(ルイス・キャロル)にも聖書的な謎解き、クイズが潜んでいるように感じます。

まぁ私は素人読者なので間違いもあるかもしれませんが、砂漠の荒野に現れる王子様、羊の絵、渇きを潤す井戸、王子を噛んだ蛇などなど聖書のある場面を彷彿(ほうふつ)とさせるようで気になります。また牧師の息子で数学者で写真家でもあったルイス・キャロル、神の秩序と被造物の美しさには誰よりも敏感だったのではないかなぁ~。変てこりんであべこべのアリスの世界に遊べたのも、実は完璧な神の創造を熟知していたルイスの変奏曲なのでは、なんて思ってしまいます。最後まで聖職者にはなりたくなかった?ようですが彼の墓碑にはRev・チャールズ・ラトウィッジ・ドジソンとあり、牧師の家系だからRevが付いているのかこれもまた不思議です。

日本にも宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」や芥川龍之介の「きりしとほろ上人伝」(聖人クリストフォロスの生涯)などの名作がありますよね。

世代を超えて愛されるファンタジーの名作は、聖書からインスパイヤーされたものがたくさんです。まぁ、こんなに不思議な宇宙とひとの命の創始者である神様こそが、一番偉大なファンタジー作家というべきでしょうか・・・。大人も絵本を楽しむには良い季節、どうぞ良いアドベントをお迎えくださいね。

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