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明るいばかりでない降誕を、楽しく心あたたまるマンガで 『マンガ絵本 聖書ものがたり クリスマス』

 

マンガ絵本 聖書ものがたり クリスマス』(日本キリスト教団出版局)が10月7日に発売された。マンガと絵物語のハイブリッドのようなスタイルが好評のシリーズ第2弾だ。

前作の『ノアの箱舟』と同様、誰もが親しみやすく聖書物語を読めるようなポップな仕掛けがちりばめられている。それだけではなく、聖書全体のストーリーを見据え、綿密な考証を基にして、世界で初めてのクリスマスの出来事が描かれる。

プロローグは旧約聖書の世界。やがて救い主が与えられると預言されていたことが御言葉から紹介される。「地上の氏族はすべて、あなたによって祝福に入る」(創世12:3)と、神様がアブラハムに約束されていたこと。救い主が処女(おとめ)から生まれると預言者イザヤが預言したこと(イザヤ7:14)。救い主が生まれる場所を預言者ミカが語っていたこと(ミカ5:1)などだ。

その後400年を経て、ユダヤの民はローマ帝国とヘロデ大王の支配に苦しみ、救い主の到来を今か今かと待ちわびている。そんな中でマリアとヨセフ、ザカリアとエリサベト、天使ガブリエルが登場。そして、エルサレム神殿やガリラヤのナザレ村で不思議なことが起こり……。

決して明るいばかりの出来事が描かれているわけではないが、登場人物や動物などの表情が豊かで愛嬌(あいきょう)があるおかげで、深刻にならないところがいい。また、聖書をただ忠実になぞるだけではなく、マンガらしいセリフも出てきて、読み進めるのが楽しくなる。

マリアはベツレヘムの家畜小屋でイエス様を生むのだが、ここで作者は、宿屋での心あたたまる交流の場面を用意する。女将さんがきれいなワラを持ってきてあげたり、お湯を用意してくれたりするなど、身重のマリアを心配して優しい心づかいを見せると、ヨセフは「ああ、助かります! ご親切に」とお礼を述べるのだ。

そして、天使たちから救い主の誕生を知らされた羊飼いたちが、急いでベツレヘムにやって来る。

まっさきに救い主を拝んだのは、貧しい羊飼いたちだったのだ。彼らは天使が話してくれたことを人々に知らせた。そして、神さまをたたえながら、よろこんで帰って行った。この日の夜が世界ではじめてのクリスマスである。

エピローグでは、その後、イエス様が私たちの罪のために十字架にかかり、死んだ後3日目によみがえったことが簡潔に説明される。そして、「それは信じるすべての人々が救われるという神さまから託された業(わざ)であった」と結ばれる。世界で初めてのクリスマスが、私たち人間を救うために神さまが与えてくださったものだと、何も知らなかった読者でも気づかされることだろう。

作者は、金斗鉉さん(きむ・とうげん)と具本曙(ぐ・ぼんそ)さん。

金さんは1953年、韓国ソウル生まれ。71年に来日し、広告代理店のグラフィック・デザイナーを経て、現在はフリーランスのイラストレーター。著書に『絵本イラストレーション入門』(新星出版社)、『聖書人物おもしろ図鑑 旧約編』『同 新約編』、絵本『ヌリマースペンキ店』(以上、日本キリスト教団出版局)、『ふるさと60年」(福音館書店)など多数。

具さんは、大韓イエス教長老會大訓教会で洗礼を受け、聖南高校の漫画創作部を卒業して2013年に来日。在日大韓基督教会・京都教会に属して、京都精華大学マンガ学部マンガ学科ストーリーマンガ・コースを卒業。現在、金さんのアシスタントを務める。二人とも日本基督教団・浦安教会員だ。

金斗鉉、具本曙作『マンガ絵本 聖書ものがたり クリスマス
A4版、26頁
2019年10月7日初版発行
日本キリスト教団出版局
1200円(税別)

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