インタビュー

2倍の祝福を受けて2人のダウン症児を育てる 益子昌貴さん

投稿日:2018年6月11日 更新日:

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沖縄で2人のダウン症児を育てる益子昌貴(ますこ・まさき)さん(ネイバーフッド・チャーチ沖縄牧師)に話を聞いた。

左から益子昌貴さんとハンナちゃん、能子さんとホサナちゃん

益子さんがクリスチャンになったのは今から10年前。それまでの人生は、神様から遠く離れ、暗闇の中を歩いていたという。

高校時代はサッカーに打ち込んでいたが、引退と同時に人生の目的や日々の喜びを失ってしまった。友人に誘われ、興味本位でギャンブルを始めたところ、次第にのめりこみ、お金を際限なくつぎ込むように。親戚縁者だけでなく、あらゆるところから借金をし、嘘(うそ)の上塗りを重ねて、徐々に暗闇へと落ちていった。

再起をかけて、2008年、聖書を土台にした依存症更生施設「ティーンチャレンジ」の門を叩いた。ティーンチャレンジは、薬物・アルコール・ギャンブル依存症者の更生と社会復帰を支援する団体。1958年、米国ニューヨーク、タイムズ・スクエア教会のデイヴィッド・ウィルカーソン牧師によって始められ、現在では世界各国に1000を超えるセンターでその働きがなされている。

益子さんは、祖母、母、叔父、兄夫妻などがクリスチャンという家庭で育った。そのため、聖書を開き、賛美歌も歌ったことがあった。

入所してすぐに神様からの愛と慰めを感じ、悔い改めを決意。その3カ月後には洗礼を受けた。聖書の言葉は日に日に心を癒やし、暗い闇にまぶしい光を注ぎ続けた。

しかし、入所から6カ月後、厳しい現実に直面し、再び心が揺れる。「僕にはお金も仕事もない。どうやって生活をしていけばよいのか」

そんな時、「信仰と、希望と、愛、この三つは、いつまでも残る」(1コリント13:13)という聖書の言葉に出会った。「ない」ものを数えるのではなく、「ある」ものを握りしめて歩んでいこう。自分には「信仰と、神様から与えられた将来への希望、そして深い愛がある」と感じたのだ。

プログラムを終えた益子さんは、ティーンチャレンジのインターンを経て、スタッフとして働き始める。自分と同じように依存症で苦しむ青年のサポートを始めたのだ。

2011年に起きた東日本大震災の直後、東北へ復興支援に向かい、そこで知り合った能子(よしこ)さんとその年の末に結婚。13年には第1子の妊娠が分かり、同時にティーンチャレンジのディレクターとして岡山に赴任が決まった。神様から与えられた希望が成就しつつある喜びの日々だった。

予定日の1カ月前、妊婦健診で医師から「お腹の子の成長が止まっている」と告げられ、妻が緊急入院。教会のメンバーと共に必死に祈った。

予定より1カ月早く生まれた長女は1730グラム。両手に収まるほどの小さな体だった。すぐに保育器に入れられ、検査が始まった。そして医師から「ダウン症です」と告げられたのだ。

その時のことを益子さんはこう語る。「その時、僕には恥ずかしながら知識がなく、どんな障がいなのか、よく分かりませんでした。とにかく、『この子がこの子らしく、精いっぱい育ってくれれば、それでいい。神様、ありがとう』という気持ちでしたね」

その子は「ホサナ」と名づけられた。旧約聖書ヘブライ語で「どうか救ってください」という意味だ。

ホサナちゃんは合併症もなく、すくすくと成長。他の子よりも歩き出すのも、話し出すのも遅かったが、その穏やかな成長は周りに喜びをもたらした。

「普通、2、3歳児の期間というのは、親にしてみれば、あっという間ですが、ダウン症の子の場合、その時期が普通の子の2倍くらいあるような感覚。ゆっくり成長しているわが子は、本当にかわいい。僕は、他の父親よりも2倍の時間を楽しんでいるのかもしれませんね」

16年には、もう一人、ダウン症児を養子縁組して迎えた。

「ダウン症の子を養子として迎えてくれないか」という話が来たとき、妻はほぼ即決だった。「うちの子として育てよう。ダウン症の子は、乳児院に入っても、なかなか里親が見つからない。ホサナの妹として、私たちで育てたい」

しかし、益子さんはなかなか決断ができなかった。ティーンチャレンジを退職して沖縄に移住し、牧師になったばかり。祈りに祈っていくうちに、再び聖書の言葉が心に留まった。

「あなたの神、主は、あなたと共に歩まれる。あなたを見放すことも、見捨てられることもない」(申命記31:6)

実母に見捨てられてしまったこの赤ちゃんに、こんなに愛してくださる神さまがおられることを伝えたい。そう決心して、次女ハンナちゃんを迎えることにしたのだ。同じくヘブル語で「恵み」を意味する。

「ダウン症児を2人、育てることになったけど、苦労はあまり感じません。ダウン症だから大変だという感覚もない。他の子と同じように、風邪をひく時もあれば、なかなか言うことをきかない時もあるけど、それ以上の喜びと希望があります。子育ては、これの連続ではないですか」

現在、ホサナちゃんは4歳、ハンナちゃんは間もなく2歳になる。愛らしい笑顔を浮かべる2人は、どこに行っても人気者だ。

「私が、ティーンチャレンジの門をくぐった時、10年後にこんな祝福が待っているなんて、誰が想像したでしょう。私自身ももちろん、自分が牧師になり、結婚し、2人のかわいい子どもに恵まれるなんて思ってもいなかった。神様の祝福はとめどなく降り注いでくるのですね」

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守田早生里(もりた・さおり)

守田早生里(もりた・さおり)

日本ナザレン教団会員。社会問題をキリスト教の観点から取材。フリーライター歴10年。趣味はライフストーリーを聞くこと、食べること、読書、ドライブ。

2018年11月17日 患難との戦い(フィリピの信徒への手紙 1:12-20)
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兄弟たち、わたしの身に起こったことが、かえって福音の前進に役立ったと知ってほしい。

つまり、わたしが監禁されているのはキリストのためであると、兵営全体、その他のすべての人々に知れ渡り、

主に結ばれた兄弟たちの中で多くの者が、わたしの捕らわれているのを見て確信を得、恐れることなくますます勇敢に、御言葉を語るようになったのです。

キリストを宣べ伝えるのに、ねたみと争いの念にかられてする者もいれば、善意でする者もいます。

一方は、わたしが福音を弁明するために捕らわれているのを知って、愛の動機からそうするのですが、

他方は、自分の利益を求めて、獄中のわたしをいっそう苦しめようという不純な動機からキリストを告げ知らせているのです。

だが、それがなんであろう。口実であれ、真実であれ、とにかく、キリストが告げ知らされているのですから、わたしはそれを喜んでいます。これからも喜びます。

というのは、あなたがたの祈りと、イエス・キリストの霊の助けとによって、このことがわたしの救いになると知っているからです。

そして、どんなことにも恥をかかず、これまでのように今も、生きるにも死ぬにも、わたしの身によってキリストが公然とあがめられるようにと切に願い、希望しています。

(フィリピの信徒への手紙 1:12-20)

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