宣教・教会・神学

外出禁止下のロサンゼルスから──今こそ伝道と教会協力のチャンス 三尾圭

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世界中で暮らしている人たちのライフスタイルを一変した新型コロナ・ウイルス。日本では外出自粛だが、米国では多くの州で外出禁止令が出され、不要な外出をすると罰金刑に問われるケースもある。また、ソーシャル・ディステンス(社会的距離をとる対策)も徹底しており、家族以外の人と2メートル以内に近づいて話していると、こちらも罰金刑の対象になる。

そんな状況の中、米国の大部分の教会は、教会堂に集まって礼拝することを中止し、オンライン礼拝に移行した。もともとメガチャーチの礼拝がテレビで生放送される国なので、オンライン礼拝も抵抗なく受け入れられている。

日本のキリスト教界にとっても、コロナ禍は伝道のチャンスだ。インターネットで手軽に観られるオンライン礼拝は、福音をダイレクトにお茶の間へ届けられる。「教会は敷居が高い」と、礼拝に来るのに躊躇(ちゅうちょ)していた層も、オンライン礼拝ならば、自分のペースで気軽に参加できる。先行きが見えない将来への不安を感じている人たちも多く、この困難な状況だからこそ、いつも以上に福音の真理が素直に心に染みてくる。コロナ禍で不安を抱えた人々は真理を求め、愛に飢えている。

「チャーチ・オンライン」の画面。左側に礼拝の様子が流れ、右側では「聖書箇所」、「礼拝ノート」、「教会員同士の交わり」などのタブが用意されていて、日本語への翻訳機能も備えられている。

米国「クリスチャニティー・トゥデイ」に載った記事(近日、翻訳記事を掲載予定)によると、オンライン伝道団体の「グローバル・メディア・アウトリーチ(GMO)」のサイトは、3月半ば~末までの半月間、「希望」という単語で検索して訪れた人の数が170%増、「恐れ」は57%増、「心配」は39%増で、今年3月のアクセス数は前年の月間平均に比べて16%増えている。

またビリー・グラハム伝道協会(BGEA)は3月、新型コロナ・ウイルスに関する特設ページを作ったが、最初の4週間で17万人が特設ページを訪れ、1万人がキリストを受け入れたという。

これはGMOやBGEAに限った傾向ではなく、全米中の教会でも同じで、各教会や教団はオンライン・ミニストリーに力を入れている。オンライン・ミニストリーは、新型コロナ・ウイルスの感染拡大を防ぎ、世界中に福音の種をまくことのできるツールだ。

「チャーチ・オンライン」のホームページ

チャーチ・オンライン」が提供する礼拝配信ツールは、米国の多くの教会で使われているが、非常によくできたプラットフォームだ。礼拝を配信するだけでなく、参加者がチャットできるツールや、聖句や説教のアウトライン、礼拝プログラムを表示できる機能も備わっており、オンラインながらも教会員が一体感を感じさせる作りとなっている。祈りが必要な人は、教会のスタッフと1対1で祈れるシステムまでついている。

ロッキー瀬籐牧師

ロサンゼルス近郊のエバーグリーン・サンガブリエルバレー教会も「チャーチ・オンライン」を導入した教会の一つ。主任牧師を務める日系米国人のロッキー瀬籐(せとう)牧師はこう語る。

「『私の身に起こったことが、かえって福音の前進につながった』(フィリピ1:12)とあるように、パウロは投獄されたことさえ、福音を宣べ伝える機会としました。このように、このパンデミックも福音を広める機会です」

礼拝はライブで発信されるだけでなく、ユーチューブやフェイスブックで好きな時に観ることもできる。スモールグループや教会学校は、オンライン会議システムの「ズーム」を用いて行われている。

課題は、オンラインで信仰を持った人たちをどのように真のキリストの弟子に育て上げるか。教会で信仰を持った人に比べて、オンラインで信仰を持った人は、教会を離れる率が高く、弟子訓練などの交わりへの参加率も低い。今後はオンラインでの伝道だけでなく、弟子育成を強化していかなくてはならない。

教会が直面しているもう一つの課題が経済面だ。信徒が教会に来られなくなり、献金額が減少している。加えて、教会員の中には、失業したり給料が大幅に減ったりするなど、日々の生活をやりくりするだけでも苦労している家庭も増えている。「チャーチ・オンライン」のシステムは、オンラインで手軽に献金できるようになっていて、教会のスタッフは、教会員が経済的にも守られるよう祈っている。

病院は見舞い客を禁止しており、入院中の教会員を見舞いに行けなくなった牧師は、電話やSNSを使って病人を励ましている。しかし入院者には、SNSに不慣れな年配者も多く、牧師たちは効果的な方法を模索している。

教会での結婚式については、延期するカップルがほとんどだが、延期できないのが葬式だ。エバーグリーン教会では、出席者の数を極力減らして、社会的距離を取りながら葬式を行っている。

外出禁止令によって家で過ごす時間が増えたことで、「神の前に静まり、主の声を聞くクワイエット・タイム(静思の時)が充実した」と言うクリスチャンも多い。また、「信仰を持たない家族や友人と福音の話をする機会が増えた」との声もよく聞く。フェイスブックなどのSNSによって福音をシェアする良いチャンスとなっている。

このパンデミックが5年前に訪れていたならば、ここまで充実したオンラインでのミニストリー・システムは存在しなかった。すべてを益としてくださる神様は、この困難な時代にあっても真実なお方であり、主を信頼する者を守ってくださる神様だ。

日本の教会──特に地方の小さな教会の中には、会員数も少なく、高齢化しているところも多く、IT化へのハードルが高いところも多い。そのため、今は教団・教派の壁を超えてクリスチャン同士がキリストの名のもとに一致して協力すべき時ではないだろうか。

「チャーチ・オンライン」のような、多くの教会が⼿軽に導⼊できるシステムがあれば、⽇本の教会のIT化もスムーズ に運ぶ。オンライン礼拝の配信が難しい⼩さな教会は、教会独⾃で礼拝を配信するのではなく、教団が傘下の教会でも使えるオンライン礼拝を提供するなどして、教団や教会間で助け合えばよい。 日本国内でもクリスチャンの有志が集まって、教会向けに礼拝配信の情報を分かりやすく提供する「Christian COVID-19」というサイトが立ち上げられている(チャーチ・オンラインは配信用のプラットフォームだが、「Christian COVID-19」は配信用のガイド)。

礼拝は、神をほめたたえ、感謝をささげるものであることは旧約の時代から不変だが、その方法は時代や文化、宗派によって異なる。IT時代の今、日本の教会も変化が問われている。教会へのIT導入はコロナ禍の今だけではなく、今後も大きな武器となるべきものなので、各教会や教団が真剣に祈ってみてはいかがだろうか。

三尾圭(みお・きよし) 東京生まれ。カトリックの幼稚園と小学校で聖書に出会い、信仰を持ったのは留学先の米国ウエストモント大学時代。カベナント教会で洗礼を受け、会衆派の日系教会で牧会インターン。大学卒業後は献身の道も考えたが、フルタイム献身だけが献身ではないと考え、スポーツ・フォト・ジャーナリストに。Yahoo!ニュースなどに寄稿し、米国のスポーツを通して日本人に福音を届けている。メジャーリーグをはじめ、米国の主要スポーツを取材。撮影した写真は世界中のスポーツ・メディアで使われている。

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