インタビュー 国際

グアテマラでエホバの証人が殺害された事件について齋藤篤牧師に聞く

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中米グアテマラで4日、日本人女性が殺害された事件で、亡くなったのは神奈川県出身のフルート奏者、木本結梨香さん(26)であることが分かった。キリスト教会では「異端」とされる新宗教「エホバの証人」の信者で、3年前から同じ信者の茂呂澤ちえさん(28)と共にグアテマラに移り住み、宣教活動をしていた。二人が同居していた一軒家を複数の男が襲撃し、茂呂澤さんはナイフで切りつけられて重傷を負い、木本さんは腹や頭に打撲の痕があり、すでに死亡していた。金品もなくなっていたという。

日本基督教団・深沢教会牧師の齋藤篤さん

元エホバの証人で、現在、日本基督教団・深沢教会牧師の齋藤篤さんに話を聞いた。

──今回の事件をどう思われますか。

本当に残念なことです。ご遺族にとってもおつらいことと思います。まずはお二人の家族の平安のために祈りたい。このような結果になりましたが、二人はきっと心から喜んで、エホバの証人としてグアテマラに出かけたのでしょう。純粋に「エホバ神」(エホバの証人は三位一体を否定しているため、父なる神が唯一の神で、キリスト教と一線を画す)を信じ、危険な場所と知りながらも、宣教のために出かけていったのだと思います。

──エホバの証人は日本から世界中に宣教師を送っているのですか。

自国から海外に派遣されるエホバの証人を「宣教者」と呼びますが、エホバの証人組織から有償で派遣される宣教者と、志願して無償で派遣される宣教者がいます。いずれの宣教者も、各地で教えを伝える、いわゆる「宣教師」の役割をする人ですね。今回、事件に巻き込まれた女性たちは無償の宣教者と思われます。いずれにしろエホバの証人は、監督する信者や本部の了承がなければ、原則として勝手に動くことはできません。エホバの証人の本部は十分、グアテマラの情勢を知った上で、彼女たちを送ったと思います。

──組織の命令には絶対服従ということですか。

そうです。エホバの証人は、組織の上の人の意見や命令には必ず従います。そのように教育されているのですね。エホバの証人といえば、家庭訪問のような伝道スタイルが有名ですが、彼らもものすごい勉強をして、知識を得て、訓練されています。それも上部からの指示によって行っていると言っていいでしょう。そして、徹底的な教育を受けたエホバの証人は、純粋に「一人でも多くの人を救おう」と熱心なのですね。その姿は実にストイックです。

──亡くなった方は「殉教」ということになるのでしょうか。

「殉教」という概念は、エホバの証人にはあまりないように思います。近い将来に訪れる終末の日を迎え、その後、この地上が「楽園(パラダイス)」になることを彼らは信じています。終末後に天国に召されて、イエス・キリストと共に神の国を統治する信者と、地球が「地上の楽園」に変わり、そこで永遠に生きる信者の2種類に分かれると信じているのです。大多数のエホバの証人は、地上の楽園で永遠に生きることを希望として生きています。ほとんどのエホバの証人が「地上の楽園」で再会できると信じていますから、死を悼むことはしても、それを特別視するようなことはないでしょうね。

──私たちにできることは何でしょうか。

まずは祈りましょう。エホバの証人に対して「異端」と言った瞬間、敵対関係を作ってしまうかもしれません。「何かおかしいぞ」と思っている方や、家族がエホバの証人に入って、どうしていいか分からない方々のために祈り、導きに従って救いの働きができたらいいですね。今回の事件に関しても、私たちは「異端だから知らない。自己責任だ」というのではなく、一人の尊い命が失われたことを悼み、祈る必要があるのではないかと感じています。

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守田早生里(もりた・さおり)

守田早生里(もりた・さおり)

日本ナザレン教団会員。社会問題をキリスト教の観点から取材。フリーライター歴10年。趣味はライフストーリーを聞くこと、食べること、読書、ドライブ。

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