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◆1889年4月20日 アドルフ・ヒトラーの誕生日
アドルフ・ヒトラーはナチスの指導者で、第二次大戦やホロコーストなど彼の残した歴史への傷は癒えることなく現代にまで残っています。
当時のドイツのキリスト教会には、ナチズムに対して抵抗した人も少なくありませんでしたが、結果的にはナチズムに対して無力でした。一方でヒトラーはナチス党の党綱領である25カ条綱領の中で「積極的キリスト教を支持する」と明記しました。これは積極的にキリスト教を支持するという意味ではなく「積極的キリスト教」という宗教を支持するという意味です。綱領の建前としては信教の自由は認められていましたが、事実上はこの「積極的キリスト教」への改宗圧力が人々にかかったということです。
この「積極的キリスト教」というのは「キリスト教」と名づけられてはいるものの、まったくキリスト教とは言えないものでした。聖書からユダヤ民族の書いたものをすべて排除しましたから旧約聖書すべてが排除されましたし、イエス・キリストがユダヤ民族であることも否定されました。そして「積極的にユダヤ教と戦うべきだ」と主張しました。もはやまったくキリスト教の体をなしていません。ヒトラー自身、キリスト教を嫌いだったようですが、政治に利用するために歪曲しました。
こんなへんてこな「キリスト教」なのに、これに従ってしまった教会やクリスチャンも少なくなかったというのは残念なことです。もちろん、抵抗したら強大な力によって弾圧されるのですから必ずしも彼らを責めることはできませんが。政治権力による宗教への介入は恐るべきものだと、改めて思わされます。そして、それを熱狂のうちに支持してしまう、プロパガンダや時流の恐ろしさも。
二度とそんな時代が来ないことを祈ります。
それではまた明日。
MARO 1979年東京生まれ。慶応義塾大学文学部哲学科、バークリー音楽大学CWP卒。 キリスト教会をはじめ、お寺や神社のサポートも行う宗教法人専門の行政書士。2020年7月よりクリスチャンプレスのディレクターに。 10万人以上のフォロワーがいるツイッターアカウント「上馬キリスト教会(@kamiumach)」の運営を行う「まじめ担当」。
著書に『聖書を読んだら哲学がわかった 〜キリスト教で解きあかす西洋哲学超入門〜』(日本実業出版)、『人生に悩んだから聖書に相談してみた』(KADOKAWA)、『キリスト教って、何なんだ?』(ダイヤモンド社)、『世界一ゆるい聖書入門』、『世界一ゆるい聖書教室』(「ふざけ担当」LEONとの共著、講談社)などがある。新著『ふっと心がラクになる 眠れぬ夜の聖書のことば』(大和書房)2022年3月15日発売。