「世界難民の日」に先立ちワールド・ビジョンが報告書 ワクチン接種から取り残される難民たち

国際NGOワールド・ビジョン(アンドリュー・モーリー総裁)は6月20日の「世界難民の日」に先駆けて、低所得国に住む難民の多くがワクチン接種から取り残されているとする報告書「High Risk- Low Priority」を発表した。感染リスクが高い環境での生活を強いられているにもかかわらず、ワクチン接種の優先順位が最も低いという難民、国内避難民の実態が明らかになった。

ワールド・ビジョンが、ブラジル、コロンビア、コンゴ民主共和国、ヨルダン、ペルー、トルコ、ウガンダ、ベネズエラで調査を行った結果、調査対象の1914人のうち、新型コロナのワクチンを接種したことはあるのはわずか1人。68%の人が地域でのワクチン接種の計画を聞いたことがないと回答し、ほぼ半数(47%)が自分には接種の資格がないと考えているか、資格があることを知らなかった。入手可能な全ワクチンの84%が最も豊かな国で接種されており、低所得国ではわずか0.1%しか接種が進んでいない。

報告書は、国民を新型コロナから守るのに必要な資源のない低所得国において、新型コロナが急増していると警告。これらの国々は、世界のワクチン接種量のわずか3%しか利用できない状況にあるが、強制的な避難を迫られた4000万人を超える難民を受け入れており、その結果、受け入れ国が実施できるワクチン接種計画は非常に限定的なものになっているという。

ワールド・ビジョン総裁アンドリュー・モーリーは、「新型コロナによって最も影響を受けている人々が、ワクチン接種から最も遠いところに置かれていることに、道義的な憤りを感じる」「すでに難民や避難民となっているぜい弱な子どもたちの多くは、ロックダウンによって教育という貴重な機会を逸している。生計手段が絶たれて親や保護者が窮地に陥っているため、子どもたちは強制的に仕事をさせられたり、結婚させれられたりもしている」と話す。

紛争が続く中央アフリカから逃れてきた少女(手前)とその家族(コンゴ民主共和国)

G7首脳らは世界で最も弱い立場にある人々に10億回分のワクチンを提供すると約束。ワールド・ビジョンは、この約束を確実に実現させ、ワクチンへの公平なアクセスを優先事項として取り組むよう各国政府に求め、難民受け入れ国政府に対しては、法的・書類上の地位にかかわらず、すべての難民・避難民を自国民と同等として、ワクチン接種を計画、展開し、社会的保護を確保するよう要請した。

政情不安や食料不足が深刻なベネズエラから逃れる人々。新型コロナによる近隣諸国の国境封鎖のため、待機を余儀なくされている

高所得国は、低所得国の25倍の速さで国民にワクチンを届けており、自国の最も弱い立場にある人々を保護している。ワールド・ビジョンは、世界で最もぜい弱な立場にある人々に対しても、同じような保護を今こそ確保しなければならないと訴えている。
 






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