女性視点だからこそ、聖書の女性の内面が新鮮に【インタビュー】大嶋裕香さん(1)

 

大嶋裕香(おおしま・ゆか)さんの著書『神に愛された女性たち──西洋名画と読む聖書』が教文館より刊行された。著者である大嶋さんにお話を聞いた。

大嶋裕香さん=26日、日本聖書協会(東京都中央区)で

大嶋さんは1973年、東京都生まれ。上智大学文学部を卒業後、宣教団体でキリスト教雑誌の編集・校閲(こうえつ)を手がける。99年にキリスト者学生会(KGK)の総主事・大嶋重徳(しげのり)さんと結婚。一男一女の母であり、現在はおもに結婚・恋愛・家庭・子育てなどについてセミナー、講演、執筆活動を行っている。著書に『愛し合う二人のための結婚講座──わが家の小さな食卓から』(いのちのことば社、2015年)、『祈り合う家族になるために──家庭礼拝のススメ』(同、17年)がある。

──出版の経緯について教えてください。

『愛し合う二人のための結婚講座』を読んでくれた教文館の編集者から、「女性ならではの視点で聖書の女性について書いてみてはどうか」と提案をいただきました。聖書の女性たちの罪の赦(ゆる)しといつくしみについて書きたいと思っていたので、そこに焦点を当てて書くことにしました。それが今から3年前のことです。

この本は書き下ろしです。講演会や家事の合間、1カ月に1人から3人くらい書き、取りかかってから1年半というゆっくりなペースで書かせてもらいました。

──本書で取り上げられているのは、旧約では、エバ、サラ、リベカ、ミリヤム、ルツ、ハンナ、バテ・シェバ、ヨブの妻、新約からは、エリサベツ、イエスの母マリヤ、サマリヤの女、一人の罪深い女、長血の女、マルタ、マグダラのマリヤ、ルデヤの16人。どのように選んだのでしょうか。

どういう女性を書くか、最初に編集者と話し合って決めました。聖書に馴染(なじ)みのある人なら、すぐに思い浮かぶ女性ばかりです。ペテロが捕らえられて戻ってきた時に取り次ぎに出た召使いロデ(使徒12:13)やデボラ(士師4~5章)など、あまり目立たない女性についても書きたかったのですが、今回はよく知られている16人に絞(しぼ)りました。

──それぞれの女性の深い内面に光を当て、人間の弱い部分をいかに神様が愛してくださっているかを語っているように思いました。

聖書人物にはある種の定まったイメージがあると思いますが、そういったことから解放されて、それぞれ弱い部分があり、それも神様に用いられていることを書きたかった。そういうものを抱えながらも、神様によって変えられていったことを、この本では伝えたかったのです。

たとえば、マルタとマリヤの姉妹の話では、一般的にお手本となるのはマリヤですが、マルタのほうにも慕わしいところがある。それは、妹への怒りや苛立(いらだ)ちをイエス様のそばに来て言いつけたことです。まるで甘えているかのようです。そんなマルタをイエス様が優しく戒めてくださっている。そんな場面が思い浮かんだのです。どんな私たちであっても、イエス様のそばに行けば、イエス様は優しく受け止めてくれる。私はそのように読みました。

『神に愛された女性たち──西洋名画と読む聖書』(教文館)

──サブタイトルが「西洋名画と読む聖書」となっています。

前著ではクリスチャンのイラストレーターに挿絵(さしえ)を頼んだのですが、今回は挿絵に名画を使いたいと思いました。収められた名画はカラーではありませんが、その絵がよく見えるように、白い紙を使うなど工夫がされています。名画には聖書の人物がよく出てくるので、美術好きの人が聖書に親しむきっかけになればとも思っています。

名画を挿絵にできたことは、美術好きな私とってとても幸せなことでした。専門に絵を学んだわけではありませんが、宗教画からはしばしばインスピレーションを受けます。また、美しいものを見たり体験したりすることは、執筆や講演を行う上で大事なことだと思っています。そういう意味でこの本は、著述と美術の世界が融合した本と言えるかもしれません。

──どのような人に読んでもらいたいですか。

女性を対象にしたので、いろいろな年代の女性に読んでもらいたいですね。ただ先日、男性の牧師先生から、「これまで聖書の女性については、男性視点で語られるものが多かったけど、これは女性視点で書かれていて、とても新鮮だった」と言われました。ですので、女性を知るためにも、ぜひ男性にもお勧めしたいです。それから、教会での学びでも使ってほしい。婦人会や青年会などで用いてくださるとすごく嬉しいです。(つづく

大嶋裕香著
『神に愛された女性たち──西洋名画と読む聖書』
教文館
2018年6月25日発行
四六判 160ページ
1000円(税別)

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