インタビュー

【インタビュー】キリスト教カウンセリング・センター理事長・大塩光さん 「牧師」の枠を取り払って、一人の人として(後編)

投稿日:2020年6月6日 更新日: -

前編を読む)

──最近、女子プロレスラーの木村花さんがSNSでの誹謗中傷(ひぼうちゅうしょう)が原因で自殺するという事件が起こり、SNS上の発言のあり方が問題になっています。

誰もが簡単にSNSのコメント欄に書き込めるようになった時から、すでに問題は起きていました。書いてもリセットでき、「匿名だとバレないから」と好き勝手なことを書き込める、そんなツールを誰もが手に入れたということです。誰もが思っていることを率直に発信できることは決して悪いことではありませんが、誤った情報に振り回されて湧(わ)き上がる感情は、根拠のない怒りを噴出させたりします。自分の抱えきれない感情を転移や投影のかたちで誰かにぶつけてしまうのです。

言葉は人を生かしますが、殺しもします。だから、SNSに書き込む時はより慎重でなければなりません。それができない人たちにとっては、良くないツールなのかもしれません。ただ、それは一面であって、長所もあるからこそ、ツイッターなどSNSは消滅しないのだと思っています。

大塩光さん

──確かに、今ではなくてはならないツールになっています。

気になるのは、「いいね」の数がコミュニケーション力と思っている人が多いことです。そう思うのは、幼い頃、抱きしめてもらいたい時に抱きしめられたり、怒られる時にきちんと怒られたりして、自分を守ってくれる大人に圧倒的な承認をもらえていないことも原因としてあると思います。圧倒的な承認があれば、「いいね」の数なんてそれほど気にならないはずです。

──子どもの頃の環境が今の行動に表れるということでしょうか。

生い立ちというのは本当に大切で、自分を知る場合には、その生い立ちとしっかり向き合うことが大切です。自分の悩みの根源が分かれば、いくらでも修正はできます。自分と向き合う作業はきついことですが、とても豊かなことです。自分がどういう人間なのか、嫌な部分も含めて受け止める。その嫌な部分と一緒に私は一生懸命生きてきた。それが分かると、人の悩みに寄り添うこともできるようになります。

世の中は、ひどいことがたくさん起こりますが、それがすべてではないということを知ってほしいですね。ただ、心が深く傷ついていると、なかなかそこに目を向けることはできません。まわりの援助が大切だと本当に思います。

──大塩先生とキリスト教カウンセリング・センター(CCC)との関わりを教えてください。

もともとは母がCCCの1期生で、私は1995年から2年間、上智大学のカウンセリング研究所に通っていました。牧師をしながらだったので、研修はたいへんでした。その後、CCCで学び続け、10年くらい経った時に、前理事長の賀来周一(かく・しゅういち)先生に「授業を持つように」と言われ、今に至っています。

CCCでは、若手とベテランをつなぐ真ん中の世代だと思っています。新しいものに心は閉ざさないよう、通信講座やズーム、ラインでの発信など、詳しい人に助けてもらいながら取り入れています。

今は新型コロナで学びが止まっていますが、6月20日から通信講座で再開する予定です。

──キリスト教カウンセリングと一般のカウンセリングとの違いは何ですか。

キリスト教カウンセリングという手法があるわけでなくて、キリスト者として「人と愛し合う」という教えを受けている人たちがやっている相談事業ということです。聖書の中の都合のいい言葉を取り出して相手を説得したり、祈りで癒やしたりということではありません。あくまでも臨床心理学でのカウンセリングです。

それでも、神を知っているか知らないかは、カウンセリングに表れると思います。人間の思いをはるかに超える存在を知っていると謙虚になれます。牧師も同じです。私たちはその人を、たとえば「牧師」という枠を取り払って、悩んでここまでたどり着いた一人の人として見ます。

──ところで、大塩先生は映画やテレビのエキストラもされていると聞きました。

無償ですが、趣味としてやっています(笑)。今は感染防止のためにできませんが、もう始めてから10年以上経ちます。現場に行くと楽しいし、いい運動にもなっています。エキストラでいいのは、「牧師でなくていい」ということです。まわりは自分を知らない人ばかりなので、一人の人間である自分でいられる時間です。牧師という肩書がいらない居心地のいい場所になっています。もちろん、まったく違う職種の現場に触れられるので、たくさんの発見や出会いもあります。

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