困難にあっても信じ続ける人へ 映画「パウロ──愛と赦しの物語」11月公開決定

 

今年イースターにかけて全米公開された「Paul, Apostle of Christ(使徒パウロ)」が、日本でも「パウロ──愛と赦(ゆる)しの物語」のタイトルで11月に公開される。日本公開に先立ち、キリスト教メディア関係者に向けた試写会が26日、ソニー・ピクチャーズ試写室(東京都港区)で行われた。

パウロ(左、ジェームズ・フォークナー)とルカ(ジム・カヴィーゼル)

試写会を主催したいのちのことば社の礒川道夫(いそかわ・みちお)さんは次のように話す。

「閉塞感があると言われている現代のキリスト教世界に、キリストに従うことの意味を問う作品です。エンターテインメントな性格が薄く、クリスチャン向けとも言えるこの作品が日本で配給されること自体、奇跡です。映画の中で語られるパウロの言葉は、すべて聖書の言葉。そこにルカの創作の物語が加わっていきます。その根底に流れるのは、キリストに対する信仰と、迫害する者への愛と赦し。だから、日本公開にあたっては、それをサブタイルとしました」

物語の舞台は紀元67年、皇帝ネロがキリスト教徒を迫害していたローマ。街を大火が襲い、放火の首謀者としてパウロが逮捕され、牢獄に入れられてしまう。そこに医者ルカが訪ねてきて、「使徒言行録」が口述筆記される。ネロの迫害は激しさを増し、アクラとプリスカ夫妻にかくまわれたキリスト者にも危険が及んでいく。それでもパウロは、暴力に打ち勝つことができるのは愛だけだと伝える。

この作品の特徴を3つ挙げるとすれば、まず、新鋭監督アンドリュー・ハイアットが手がけた脚本の素晴らしさ。「刑事のような目」で聖書を熟読したという。その結果、「使徒言行録」後のパウロの人生を、彼の手紙をつなぎ合わせて見事に描いている。

2つ目は配役の素晴らしさ。ルカ役には、「パッション」(2004年)でキリストを演じたジム・カヴィーゼル。パウロは、英国シェイクスピア俳優のジェームズ・フォークナーが熱演している。また、貧しい人や迫害され傷ついた人を母親のように支え続けたプリスカ役のジョアンヌ・ウォーリーの存在も忘れられない。

3つ目は、新約聖書の世界が映像化されていること。パウロの口から聖書の言葉が出てくることで、それらが現実の中で語られた生きた言葉であることに改めて気づかされる。それを強く感じるのは、ネロの惨忍さに怒りを抑えきれないルカに、パウロが愛を語るシーンだ。「愛は忍耐強い。愛は情け深い。ねたまない。愛は自慢せず、高ぶらない」(1コリント13:4)。静かでいて、そこには決してブレない強さがある。

この作品では、キリスト教徒を迫害していたパウロの過去の罪にも光が当てられる。回心前に自分が迫害したステパノやキリスト者たちの夢にうなされるのだ。その回想シーンで、パウロがどのようにキリストと出会い、弟子とされたのかも明らかにされる。

また、パウロを迫害していた獄舎の長官が、徐々にパウロに心を開いていく。その二人の問答がこの作品をより豊かにし、希望と感動に満ちたラストに向かわせる。

礒川道夫氏

オリジナルのクレジットに「殉教者にささげる」とあるのが、日本語字幕では「この映画を、困難に遭っても信じ続ける人にささげる」となっていることについて、礒川さんはこう言う。

「この映画は、パウロが迫害に遭いながらも、愛をもって戦わなければいけないこと、平和は自分がまず始めなければならないことを教えてくれます。このことは、信仰の有無に関係なく、すべての人の励ましになるはずです」

この日、試写を見た人の8割の人が「感動した」と答えたほか、次のような感想が寄せられた。「パウロが自分を責め続けるシーンから、身近な人として感じられた」、「昔の多くの人の命をかけた行いによって、キリストの愛が現在の私まで伝えられたということに改めて圧倒された」

11月3日よりヒューマントラスト渋谷ほか全国で順次公開される。

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