教皇フランシスコ、東京ドームで5万人のミサ 「教会は傷ついた人を癒やす野戦病院」

 

訪日中の教皇フランシスコによるミサが25日、東京ドーム(東京都文京区)で執り行われた。カトリック信徒やカトリック学校に通う生徒など、国内外から約5万人が集まり、教皇のメッセージに耳を傾け、祈りの時を持った。

来日3日目となるこの日は、朝から「東日本大震災被災者との集い」(ベルサール半蔵門)、「青年の集い」(カトリック関口教会)に出席。その合間に、皇居で天皇陛下との会見も行われるなど、多忙なスケジュールにもかかわらず、疲れなどみじんも感じさせない晴れやかな笑顔でドームに姿を現した。

「パパ・モービル」でアリーナを回遊するフランシスコ教皇=25日、東京ドーム(東京都文京区で)

バチカンや日本の国旗を振って歓迎される中、「パパ・モービル」と呼ばれる専用車でアリーナを20分かけて回遊。その間、祝福を求めて差し出される幼い子どもたちに嬉しそうにキスをしたり頭をなでたりするたびに、会場からは大きな歓声が上がった。その間、教皇フランシスコ訪日のオフィシャル・テーマソング「PROTECT ALL LIFE──時のしるし」が繰り返し歌われた。

車から降りてからも、信徒のもとに歩み寄り、言葉を交わす教皇。その後、白い大きな十字架が飾られた祭壇に上がり、司教団、司祭団、そしてカトリック信徒と共にミサがささげられた。開祭での「入祭のうた」は、訪日公式聖歌「すべてのいのちを守るため」。今回の教皇訪日のテーマにもなっている言葉だ。

ミサ前半の「ことばの典礼」では、マタイによる福音書6章24〜34節が朗読され、そこから教皇が説教を語った。

先に行われた「青年の集い」で、日本の若者について、社会的に孤立している人が少なくなく、いのちの意味が分からず、自分の存在の意味を見いだせず、社会からはみ出していると感じたという。

「支え合いの場であるはずの家庭や学校、共同体が、競争を強いる場になっています。日本の多くの人々が、平和と安定を奪う数々の不安によって打ちのめされているのです。

孤立し、閉ざされ、息ができずにいる私たちに抗しうるものは、分かち合い、祝い合い、交わる私たち──これしかありません。キリスト者は、すべてのいのちを守り、知恵と勇気をもって、無償、思いやり、寛大さ、素直な傾聴、それらに特徴づけられた態度を証しするよう招かれているのです。それが、実際に目前にあるいのちを抱擁し、受け入れる態度です」

広い場内ではスクリーンを使って祭壇の様子を映し出した。

また、イエス・キリストがどのような病人であっても抱きしめ、どんな罪人であってもその腕に包んで赦(ゆる)されたことを話して、最後にこう締めくくった。

「いのちの福音を注ぐようにと私たちは求められ、駆り立てられています。それは、共同体として、傷ついた人を癒やし、和解と赦(ゆる)しの道を常に示す野戦病院となることです。キリスト者にとって、人や状況について判断する際に用いる唯一の基準は、神ご自分のすべての子どもたちに示しておられる『いつくしみ』という基準です。主に結ばれ、善意あるすべての人と、また異なる宗教を信じる人々と、絶えざる協力と対話を重ねるならば、私たちはすべてのいのちをよりいっそう守り、世話をする社会の預言的パン種となれるでしょう」

続いて、さまざまな国の信徒によって、「国の指導者のため」(ベトナム語)、「災害に苦しむ人のため」(日本語)、「日本の教会のため」(韓国語)、「困難な中にある人のため」(タガログ語)、「正義と平和のため」(スペイン語)と、それぞれの課題について共同祈願がささげられた。

ミサの後半では「感謝の典礼」が行われた。そこでは、教皇の招きに応じて、一同が「主の祈り」を唱えた後、教皇が「教会に平和と一致をお与えください」と祈った。そして、壇上でも会場でも隣の人と「平和のあいさつ」を交わし合った。

アリーナ席だけでなくドームのスタンドも最上段まで埋め尽くされた。© CBCJ

聖体拝領が持たれた後、カトリック東京大司教区の菊地功(きくち・いさお)大司教が感謝の言葉を述べた。

「今日の日本は、さまざまなレベルで人間のいのちに関わる問題に直面しています。教皇が今回の来日で、日本に住む多くの人々に、神様の癒やしと愛と希望を示してくださったことを感謝します。そして、アジアの兄弟姉妹と手を取り合い、歩みを共にしながら、神からの与えられたいのちの尊厳を守り、いつくしみの神の癒やしと希望の福音を宣べ伝えていきたいと思います」

 






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