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【CHRISTIANITY TODAY】香港デモの預言者的メッセージ

 

香港では、民主化を求める抗議が続いている。

長年にわたり香港の人々はより幅広い(政治的)自由を求めてきたが、このデモで上げられている声は、その中でも歴史に刻まれるものだ。

9月27日のデモ(写真:Studio Incendo)

1997年に150年に及んだ英国植民地支配が終わって以来、7月1日は、香港が中国に復帰した記念の日だ。そして2003年から毎年この日は、香港市民が民主主義の実現を求めるデモの日にもなっている。

そのデモは総じて平和的なものだった。しかしこの夏、抗議者グループが立法評議会の議事堂を襲撃したことで、それは変わった。最近の中国政府の動きは、彼らの目にとって、香港の自由を縮小しようとする史上最悪の動きと映り、その怒りが爆発したのだ。

4月、香港の最高権力者キャリー・ラム(林鄭月娥行政長官)は逃亡犯条例改正案を導入しようとした。その内容は、香港が逃亡犯の引き渡し条約を正式に結んでいない国や地域(中国本土と台湾を含む)から指名手配されている人間を、香港が拘留して移送できるようにするというものだ。ラム氏は、「殺人などで指名手配されている香港人を台湾で裁判にかけるために(この法律が)必要だ」と主張していた。そのため、政治犯罪、宗教犯罪、一部のホワイトカラー犯罪は除外されている。

しかし、香港の市民はこの法案を、「中国が半自治である香港に対してより強大な権力を持とうとするための策略」と見なした。そして、その後4カ月近くにわたり、時には約170万もの人が参加するデモが起こされた。香港の人口が740万人であることを考えると驚くべき数字だ。

逃亡犯条例改正案がラム氏によって延期され、その後、9月4日に正式に撤回が決定されたにもかかわらず、中国の干渉に対する抗議は続いた。もう一つの記念日、10月1日の中華人民共和国創立70周年記念日(国慶節)が近づくにつれ、デモ参加者はさらに増えた。

法案撤廃のほかに、デモ隊が要求した5項目のうち4つがまだ残っている。ラム氏の辞任、警察の残虐行為の調査、逮捕者の釈放、そして民主的な自由の拡大だ。

人口の12%弱を占める香港のクリスチャンの多くは、抗議行動で重要な役割を果たしている。彼ら彼女らは行進に参加し、賛美歌を歌い、祈りの輪を持ち、ほかのデモ参加者に食料と避難所を提供した。あるとき、デモ隊と警察の対立を静めるために、70年代のジーザス・ムーブメントから生まれた賛美「主にハレルヤ」(Sing Hallelujah To The Lord、日本バプテスト連盟『新生讃美歌』35番「主を賛美しよう」)が歌われると、この歌は予期せずデモ隊のシンボル曲となった。

かの地のクリスチャンにとって、中国共産党は香港教会の存在を脅かす最も大きな脅威かもしれない。過去数年間、中国の習近平国家主席は、本土のキリスト教を組織的に取り締まり、教会を破壊し、指導者を逮捕し、外国人宣教師を追い出してきた。他の宗教に対しても迫害は広がっており、習近平政府は西部の再教育施設で100万人ものイスラム教徒のウイグル人を拘束している。

香港基本法(「一国家二制度」による特別行政区として香港が高度の自治権を有し、50年間、資本主義制度が維持されることを明文化したもの)は、香港が英国から中国に返還された際、英中双方が合意した憲法というべきものだ。そのもとでは、一連の騒動は香港で起こるはずのないことだった。香港基本法、および香港の半自治は2047年まで有効なのだ。

破壊された自転車と戦車の走行跡。ポーランドにある天安門事件犠牲者の記念碑(写真:Julo)

しかし、香港が中国に返還されてからの22年間で、中国はその合意の境界線を押し広げようとしてきた。香港議会には北京(中央政府)寄りの議員が増えており、自由であるはずの報道機関には定期的な検閲が入っている。中国は、毛沢東が起こした悲惨な「大躍進政策」や、1989年の「天安門事件」(民主化デモ隊の虐殺)などの重要な出来事を消すよう、香港の歴史指導要綱に何度も圧力をかけてきた。北京で起案された選挙改革は、香港での立候補者に対して中国共産党がより強い影響を与えるもので、そのために2014年、香港で雨傘運動が起きたのだ。

中国は、逃亡犯条例がなくても、共産党指導者を怒らせた香港住民を連行して拘束する意思をすでに示している。最も顕著なのは、中国の指導者に批判的な本を販売した香港の書店関係者5人が2015年に姿を消したことだ。のちに5人は本土に投獄されていたと主張している。(本土では)被告の99・9%が有罪判決を受けることを考えれば、その公平性は控えめに言っても疑わしいものだ。

迫害されている中国人クリスチャンにとっても、本土の脅威は現実的なものだ。1930年代から40年代に生まれた人々は、毛沢東、そして極度の無神論政党である共産党が政権を握った時代に育った。現在、海外に住む多くの中国人クリスチャンは、中華人民共和国の建国後に国を逃れた人々だ。信仰の自由を求める人々にとって、しばしば最初の移住先となったのは香港だった。

今日の宣教師やミニストリー関係者にとって、香港は中国本土の国境で最も安全な避難所だ。彼らは香港で物品の購入をしたり、トレーニングに参加したり、SNS(ソーシャル・メディア)に投稿したりする。そして、外国人の通信活動や移動を監視することで知られる中国当局の目から気を休められる場所でもある。多くの場合、香港は、本土への伝道活動の中継地または本拠地とされている。中国が香港に対してより強い支配権を行使しようとすれば、その働きはさらなる危険に晒(さら)されることになる。

8月12日の香港空港でのデモ(写真:Studio Incendo)

もちろん、動機や行動にまったく非のないデモ隊など存在しない。香港の抗議者たちは、利用者の多い国際空港を何度も閉鎖し、政府の建物に損害を与え、警察と衝突し、観光産業を傷つけたとして批判されてきた。

しかし、この抗議運動に欠陥があったとしても、その運動は預言的な声を発しうる。それは、権利を与えられた自由な人々によって、権力者の姿に光を当てるものだ。デモ隊の粘り強い努力により、警察の残虐行為は世に知らしめられた。彼らは「三合会」(香港の犯罪組織で、中国本土と結びつきを強め、香港の親中派に雇われて抗議デモで暴力を振るっている)の攻撃を受けたのだ。

2014年の雨傘運動中に有名になったクリスチャン活動家のジョシュア・ウォンや、反北京議員などの抗議指導者が8月30日に逮捕された。また、抗議行動についてデモ参加者へ厳しい警告を送る意図として、中国軍は香港国境に1万人以上の治安部隊を集めている。

中国本土やその領土内での人権および政治的権利の抑圧については、近年、国際社会は経済的・軍事的理由により見逃す傾向が強まっている。しかし、中国が人間の自由度指数で135位にランクされているという事実を無視することは、こういった抗議活動を見れば俄然(がぜん)難しくなる。最近、国連人権理事会と米国議会でも香港の活動家による証言がなされたばかりだ。

現時点で、香港で続くこの流れがどのように終わりを迎えるかは誰にも分からない。28年後には、香港に与えられている自由や政治構造に対するすべての権利が失われることを考えれば、このような努力は無駄だと主張する人もいる。香港で多くの人を集めている教会や伝道組織も、2047年以降、活動を停止するか、地下組織になるか、選択しなければならなくなるかもしれない。

しかし今のところ、彼らは声を上げ続けている。彼らは行進し続ける。そして、中国の支配によって最も暗くされた場所で、光は輝き続けているのだ。

本記事は「クリスチャニティー・トゥデイ」(米国)より翻訳、転載しました。翻訳にあたって、多少の省略をしています。

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