酪農学園大学で作られる「健土健民牛乳」が市販され話題に

 

コープさっぽろで7月から発売されている「健土健民(けんどけんみん)牛乳」が話題を集めている。製造したのは、キリスト教学校の酪農学園大学(北海道江別市、竹花一成学長)。

コープさっぽろで販売する学生(写真:酪農学園大学提供)

同大学の酪農生産ステーションで学生や教職員が手塩にかけて飼育した牛から生産された新鮮な生乳のみを使用し、生乳本来のおいしさにこだわって製造したもの。搾乳(さくにゅう)や殺菌処理など、すべての工程を大学内で行う。健土健民牛乳は、ふだん学内のみで販売されているが、コープさっぽろとの包括連携協定に基づき、学外での販売が決まった。

酪農学園大学は、単独の私立大学としては日本最大のキャンパスを持つ(東京ドーム28個分以上)、酪農や獣医療に特化した大学であるとともに、毎週火曜日に礼拝をささげるキリスト教主義の大学でもある。「心を尽くし、精神を尽くし、思いを尽くし、力を尽くして、あなたの神である主を愛しなさい」、「隣人を自分のように愛しなさい」(マルコ12:30~31)に「土を愛する」を加えた三愛精神を建学の精神とする。

マスコットキャラクターの「サンディー」も販売促進やPRに活躍(写真:酪農学園大学提供)

創設したのは、北海道製酪販売組合連合会(現在の雪印メグミルク)の設立者で、「日本酪農の父」「北海道開拓の父」と呼ばれた黒澤酉蔵(くろさわ・とりぞう)。16歳のとき、足尾鉱毒事件に取り組んでいた田中正造(たなか・しょうぞう)に出会い、共に農民救済に関わることを決意。活動中に逮捕・投獄されるが、6カ月にわたる拘留生活の中で、田中の知り合いのクリスチャンから差し入れられた聖書を読み、それから7年後に日本メソジスト札幌教会(現在の日本基督教団・札幌教会)で洗礼を受けた。20歳のとき、母を失って幼い弟妹を養う立場に立たされたことから、北海道に渡って酪農を始めることに。

健土健民牛乳

国土は国民の母体であって、健全なる国土からは健全なる国民が生まれるし、不健全な国土からは不健全な国民が生まれる。国土を汚染、毒化することは国民を知らず知らずの間に滅亡におとし入れる重大なる罪悪と言わねばならぬ。(黒澤酉蔵『反芻自戒』)

そこから、「健やかな土によって産み出される健やかな食物によって健やかな生命が育まれる」という意味の「健土健民」という言葉を黒澤が考え出し、同大学では先の三愛精神とともにこの理念を受け継いでいる。

酪農学園大学の学内牧場(写真:daburude)

野英二(の・えいじ)副学長と竹田保之(たけだ・やすゆき)食と健康学類長に話を聞いた。

「学内で製造されている牛乳は、1933年の大学創立以来、大学生協で販売し、多くの学生が飲用してきました。当初は『酪大牛乳』の名称でしたが、2004年に『健土健民牛乳』と改称し、本日に至っています。

味わいとしては、淡白で、ほのかな甘みがあります。また、加熱時に生じてしまう独特な香りを除くための装置が工場に取りつけられているため、飲みやすい牛乳となっています。牛乳以外にも、バターや、クリーム、カマンベール、ゴーダといった3種類のチーズ、アイスクリームも学内で作っています。

これまでは学内のみの販売でしたが、牛乳の名前にも入っている『健土健民』という考え方を広く一般の方々にも知っていただきたいという思いから、コープさっぽろでの販売も始めました。これを機に、多くの方々に酪農学園大学のことも知っていただければ幸いです」

 






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