立教大学の学生23人、「カケハシ・プロジェクト」で渡米 同大創始者ウィリアムズ主教の墓などを訪問

 

立教大学(東京都豊島区)は、2019年度の対日理解促進交流プログラム「カケハシ・プロジェクト」の採択校に選ばれ、同大の学生23人が1日〜8日、渡米した。

今回、新型コロナ・ウイルスの影響で、出発直前にプログラム内容が大きく変更になるなど、アクシデントもあったが、ワシントンDCとリッチモンドの2つの地域を予定どおり訪問した。

ワシントンDCでは、ホワイトハウスやマーティン・ルーサー・キング牧師記念碑などを視察した後、日本企業や日本国大使館を訪問。アメリカン大学との学校交流、アジアと米国との架け橋となるために1983年に設立されたモーリーン&マイク・マンスフィールド財団では意見交換も行った。また、全米日系米国人記念碑を訪れ、強制収容を含む日系人の歴史についてジェラルド・ヤマダ氏から話を聞いた。

戦時中、日系人収容所は米国内に10箇所造られ、1万人以上の日系人が収容されたという。立教大学には、日系2世として米国で生まれた牧師・神学者である小平尚道(こだいら・なおみち)さんが残した日系人強制収容の実態を伝える貴重な資料が寄贈されている。小平さんは、立教大学で教鞭をとっていたこともあり、昨年3月には立教学院展示館でそれらの資料が公開された。

十字架の墓石がウィリアムズ主教の墓(写真:立教大学提供)

6日にはバージニア州リッチモンドに移動し、同地のハリウッド墓地にある立教学院の創立者チャニング・ムーア・ウィリアムズ主教の墓を訪れた。

ウィリアムズ主教は、米国聖公会の宣教師で、日本聖公会の初代主教でもある。日本各地に複数の教会や学校を設立するなど、日本聖公会の発展に尽力したことでも知られている。同大は1874年、築地の外国人居留地に、聖書と英学を教える私塾としてウィリアムズ主教によって数人の生徒から始められた。ウィリアムズ主教は93年に米国にいったん帰国するが、2年後に再来日する。そして1908年、生まれ故郷リッチモンドに帰り、その2年後、召天した。81歳だった。

今回渡米した学生の一人、佐々木えりこさん(20)が宮城県石巻出身で、東日本大震災で犠牲となった米国人の英語教師テーラー・アンダーソンさん(24)の教え子だった。当時は小学校5年生で、テーラーさんから英語の楽しさを教えてもらったという。リッチモンドはその恩師の故郷でもあることから、このプログラムを利用して、そこに住む遺族を訪問した。佐々木さんがテーラーさんの両親にあたたかく迎え入れられる様子はTBS「news23」でも、震災から9年目のニュースとして取り上げられた。

カケハシ・プロジェクト」は、外務省が推進する対日理解促進交流プログラムの一つで、北米地域を対象とした相互交流事業。日米間で、将来を担う人材(高校生・大学生・大学院生など)を招へい、または派遣する。その目的は、互いの国の政治、経済、社会、文化、歴史、外交政策などに関する理解を促進するとともに、相手国の外交姿勢や魅力などについて自ら積極的に発信してもらうことで対外発信を強化し、国の外交基盤を強化することだ。期間は原則として10日間程度。

 






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