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日韓関係改善のための祈りの手引き 妹尾光樹(純福音成田教会担任牧師)

投稿日:2019年8月30日 更新日:

 

Get over the world──この地を超えて

現在、悪化の一途を辿(たど)っているといわれる日韓関係。それをキリスト者としてどう捉え、どう考えるべきなのか。多くの方々からご質問をいただいています。私自身も韓国教会で救われた経緯があり、その考えを深めながら、歩んでいる者の一人です。

妹尾光樹氏(純福音成田教会担任牧師)

日本の教会と韓国の教会との交流は、100年以上の長い歴史があります。戦前は、神学を学ぶために多くの韓国人神学生が日本を訪れていましたが、今は日本から多くの神学生が韓国の神学校に学んでいる時代となりました。

その間、韓国教会は、1960年代から急速な成長を遂げ、メガチャーチをいくつも生み出し、宣教のもとに日本の教会にも良い影響をたくさん与えてくれました。

明るく活発な教会の姿。御言葉にも、祈りにも、伝道にも、奉仕にも熱心な姿。21世紀に入り、教勢の伸びが止まったといわれる韓国教会ですが、いまだに6万ともいわれる教会と、1000万人の信徒(韓国の人口は5200万人弱)は健在であり、米国に次ぐ世界第2の宣教師派遣国でもあります。

何よりも、日本にいちばん近い文化を持っています。儒教や仏教、そしてシャーマニズムの背景がありながらも、リバイバルを経験した国として、クリスチャン率がまだ全人口の1%未満である日本にリバイバルの希望を与えてくれています。

この記事を読んでいる読者の中にも、韓国教会との交流を持っている教会の方や、個人としてお交わりのある方、そして韓国の宣教師の教会に出席している方がいらっしゃると思います。今や、韓国教会と日本教会とは切っても切れない関係にあり、教会間の交流も盛んに行われています。

現在の日韓関係の政治的悪化状態に憂いを持ち、「何か私にもできないか」と願っておられる日本のクリスチャンの方々に、ぜひ両国の関係改善のための祈りをされることをお勧めします。その祈りの手引きをここでご紹介したいと思います。

聖書はまず、「隣人を愛せ」と語ります。日本にとって地理的・民族的にいちばん近い隣人は韓国です。

どのようなときにも、友を愛すれば、苦難のときの兄弟が生まれる。(箴言17:17‬)

「『心を尽くし、知恵を尽くし、力を尽くして神を愛し、また隣人を自分のように愛する』ということは、どんな焼き尽くす献げ物やいけにえよりも優れています」(マルコ‭12:33‬)

おのおの善を行って隣人を喜ばせ、互いの向上に努めるべきです。(ローマ‭15:2‬)

これらの御言葉は、神様がキリスト者に行うべきこととして下さったものです。

私はこの記事を書いている現在、韓国に滞在しています。今、日本にいる方々、特に日本のクリスチャンに、韓国国民、韓国のクリスチャンや牧師の正直な反応や意見をお伝えできればとも思っています。

さまざまな韓国のクリスチャン、牧師の方々から、今回の状況を契機に、今までなかった新たな動きが韓国国内に起こりつつあると聞きました。

それは、ただ「すべて日本が悪い」という出発点からの展開ではなく、自国の歴史の中の非を認め、自省の出発点からの新たな歴史観です。

今までもそういうことを言う人がいなかったわけではありませんが、そういう人は「変わり者」と片づけられ、「親日」というレッテルを貼られるハンディもあり、あまりそこから先に進むことがなかったのが現状でした。

しかし今回は違って、「かなり影響力のある方々が発言し、その研究を改めて推し進め、その議論が許される雰囲気になってきている」と話していました。「これは韓国社会として今までなかったことだ」とも言っていました。

7月に韓国で出版され、10万部を超えるベストセラーとなっている『反日種族主義(반일 종족주의)』※は、今までの韓国社会のタブーを大胆に破った本として話題になりました。副題は「大韓民国の危機の根源」(대한민국 위기의 근원)とあります。

※李栄薫(イ・ヨンフン)元ソウル大学教授(経済史)など6人の研究者による共著。出版前から日本語版も計画されており、文藝春秋社と出刊に向けた協議を進めているという。

私も読んでみました。いつもさまざまな外的要因によって国が揺れ動き、政治のコントロールを失う国情や、さらに国の基盤となっている根源を、西洋思想の民族主義ではなく、種族主義(韓国の民族主義は、それ自体が一つの人格を持つ集団であり、権力がある)と著者は捉え、「国のことをもう一度考えてみよう」と提案している本でもあります。

今回話を聞いた人々も、私という日本人を前にしてということではなく、とても真摯(しんし)に自国を愛し、「韓国を素晴らしい国にしたい」という願いが伝わってきました。

「村山談話※を真摯に謝罪として受け止めよう」という意見も、以前に比べても多くの人から出てきているようです。

※1995年8月15日に発表された、当時の村山富市内閣総理大臣の談話。その中に次の一節がある。「わが国は、遠くない過去の一時期、国策を誤り、戦争への道を歩んで国民を存亡の危機に陥れ、植民地支配と侵略によって、多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与えました。私は、未来に誤ち無からしめんとするが故に、疑うべくもないこの歴史の事実を謙虚に受け止め、ここにあらためて痛切な反省の意を表し、心からのお詫びの気持ちを表明いたします」

私はいつも思うのです。歴史は、決して是非では割り切れない、さまざまな側面を持っていると。また、事の是非も重要ですが、今の考えや価値観をもって昔の出来事を判断することは、大事な部分を一緒に切り捨ててしまうことにもなるのではないかと思うのです。

私がソウルのヨイド純福音教会※で牧師をしていたとき(韓国で韓国人を日本人が直接担当したことは歴史的出来事だったと思います)、多くの年配の方々から、日帝時代(日本が朝鮮半島を統治していた時代)の話を聞きました。ある方は、座布団を出して「座ってください」と言われ、そこに私が座ると、膝をつき合わせて、それから1時間、当時の話をたっぷりとしてくださいました。

※チョー・ヨンギが1958年に創設した教会で、現在、約80万人の信徒を擁する韓国で最大のペンテコステ系メガチャーチ。

その内容は決してネガティブな話ではなく、9割は、当時の日本人との良い交流の話、尋常小学校の日本人の先生との良い思い出、友だちとの楽しかった頃の話でした。

今回の日韓の問題は、未来志向の新たな日韓関係を築く契機になるのではないかとも私は感じています。

徴用工問題に端を発した今回の出来事ですが、日本による「ホワイト国」(輸出管理で優遇措置を与える国)除外、韓国のGSOMIA(ジーソミア、軍事情報包括保護協定)破棄と、政治的駆け引きは続きますが、情報に左右されず、私たちキリスト者は、神の御心がなされるよう、まず祈っていくことが重要だと考えます。

教会は、キリストの贖(あがな)いによって赦(ゆる)しの土台に立っているわけですが、日本と韓国の関係にも、赦しやリスペクトの精神のある新たな関係を模索する必要があるでしょう。

私は在日韓国教会で救われたクリスチャンであり、最初から韓国の牧師のもとで育てられました。今も、同じ教団に属する韓国人牧師の同僚がたくさんいます。ですが、その牧師たちから一度として、日本人として韓国への謝罪を要求されたり、反日的な教育を受けたりした経験はありません。

むしろ、「日本人が韓国人の前に土下座して謝罪する姿を見ることがつらい」という韓国人牧師もいます(そのような謝罪をされる日本人牧師を非難しているのではありません)。

相手国を非難したり、蔑(さげす)んだりする考えや言葉に影響されるのではなく、また国民の興味を引くため、過度にネガティブな報道を繰り返す一部のマスコミの報道に踊らされることがないようにしたいと思います。

昔、日本が軍国主義に進んでいくとき、「日本新聞」というマスコミが、自国を過度に称賛し、「日本は特別に選ばれた国、一等国である」とアジアの国々を蔑み、「日本は神の国だ」と持ち上げながら、「アジアの盟主になれる」というマジックを仕掛けたことを忘れてはならないと思います。

多くの汚い言葉で隣国を批判したりする人は、おそらく愛する隣人がいない人だと思います。できるなら、隣人を作り、隣国を訪れることをお勧めします。隣人に触れ、直接話を聞くことをお勧めします。違いを批判するのではなく、違いを楽しむ余裕がほしいですね。

現在、韓国に観光者として訪れるなら、とても日本人を歓迎してくれます。「このような時によく来てくれた」と言ってくれるでしょう。かえって、飛行機代も下がり、この時はチャンスかもしれません。

一部報道で流されている、韓国人男性が日本人女性に暴行を働いたというニュースは、個人的なトラブルであり、日本人を狙ったものではありません。こちらの報道でも、この男性には非難が集中しています。むしろこのような時だからこそ、日本人に対する接し方には気をつけたいと注意を喚起しています。

今の日韓関係を見ながら「良かった」という韓国国民は誰もいないでしょう。良いというなら、それは一部の民族主義者や一部の政治家だけだと思います。

今の現状に、韓国の教会の牧師も信徒もみな当惑しています。今回も、多くの牧師や信徒の方々から、「一緒に祈り、この時を耐えて過ごしていきましょう」と声をかけられました。

だから、偽りを捨て、それぞれ隣人に対して真実を語りなさい。わたしたちは、互いに体の一部なのです。(エフェソ‭4:25‬)

イエスはこう祈るように教えてくださいました。

「御国が来ますように。御心が行われますように、天におけるように地の上にも」(マタイ‭6:10‬)

天に溢(あふ)れているものを地に満たすことが、イエスの願いであり、教会の使命であり、キリスト者の祈りだと信じています。罪にあるこの地に溢れていることを、教会に、クリスチャンに満たすことは、キリスト者の仕事ではないと思うのです。

最後に、私が祈っている「日韓関係改善のための祈り」は以下のようなものです。この祈りは、今回、突然祈り始めたものではなく、私にとっては30年以上祈ってきた祈りでもあります。ご参照くださり、共にお祈りいただければ幸いです。

○為政者のための祈り

人は皆、上に立つ権威に従うべきです。神に由来しない権威はなく、今ある権威はすべて神によって立てられたものだからです。(ローマ‭13:1‬)

○韓国と韓国教会のための祈り
○日本と日本教会のための祈り
○日本に暮らす韓国人、宣教師の守りのための祈り
○韓国に暮らす日本人のための祈り
(順不同)

この地にあってさまざまな出来事に翻弄(ほんろう)される私たちに、イエスはこのように語ってくださいました。この御言葉を土台にして、引き続き祈っていきたいと思います。

「これらのことを話したのは、あなたがたがわたしによって平和を得るためである。あなたがたには世で苦難がある。しかし、勇気を出しなさい。わたしは既に世に勝っている」(ヨハネ16:33‬)‬‬

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