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クリスチャン美術家・鈴木元彦さん 「聖霊と礼拝堂」をテーマに講義

投稿日:2018年6月10日 更新日:

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クリスチャン美術家・鈴木元彦さん(36)がペンテコステ前日の5月19日、日本福音学校新宿校(JES、東京都新宿区)で「聖霊と礼拝堂」と題した講義を行った。

鈴木元彦さん=5月19日、日本福音学校新宿校(東京都新宿区)で

鈴木さんは5代目クリスチャンとして東京に生まれる。父親は日本基督教団・東京信愛教会牧師の武仁(たけひと)氏。教会建築の第一人者である多摩美術大学教授の田淵諭(たぶち・さとし)氏に師事し、2014年、同大学大学院美術研究科博士後期課程修了、博士号(芸術)を取得した。在学中、南プロヴァンスのル・トロネ修道院を撮影した「光と祈りの空間」で最初の個展を開催。13年には国立新美術館での公募展「国展」に初出品・初入選し、翌年には3年間該当者がなかった最高賞・国画賞を『光の静寂』で受賞している。著書に『光と祈りの空間 ──ル・トロネ修道院』(サンエムカラー)、『光の五島Ⅰ』(同)、『日本の最も美しい教会』(エクスナレッジ)、『東京の名教会さんぽ』(同)がある。

この日の講義では、「聖霊とは何か」、「聖霊を受けると何が起き、どういう良いことがあるのか」という、きわめてシンプルな問いかけから始まった。

「広辞苑で『霊』を調べると、『はかり知ることのできない力のあること。目に見えない不思議な力のあること』とありました。それが聖霊に近いのではないでしょうか」

そして、最もシンプルに聖霊を示す聖句として次の箇所を挙げた。「あなたがたの上に聖霊が降ると、あなたがたは力を受ける。そして、エルサレムばかりでなく、ユダヤとサマリアの全土で、また、地の果てに至るまで、わたしの証人となる」(使徒1:8)

「聖霊が内在することで、大きな力が与えられます。ダビデも詩編の中で、『神の大きな力が私を支える。だから、心は喜びにあふれ、私の舌は主をほめたたえる』と歌っています(使徒2:25~26、リビングバイブル)。人生の中で困難に打ち勝つ力なども『大きな力』にほかなりません」

また、イエス・キリストの「誕生」(マタイ1:18、ルカ1:35)や「洗礼」(マタイ3:16、使徒10:38)、「復活」(使徒2:33、ローマ1:4)という生涯の大切な時に、たびたび聖霊に満たされていると指摘。そして、米国映画「サン・オブ・ゴット」の映像を見ながらこう語った。

「聖霊が降ったペトロたちに力が与えられ、福音を宣べ広めるために世界中に散らされていきました。聖霊が内在しているなら、心はいつも平安だし、苦難にあっても希望を持ち続けられます。たとえ死んでも、永遠に生き続けるのです。

一方、どの教会でも、聖霊の賜物によるいろいろな働きが活発になればなるほど、揉(も)めごとが起き、分裂を招くことがあります。それは2000年前のコリントの教会でも同じ。そこでパウロは、一つ一つの賜物は同じ霊によるものであり、同じ主への奉仕を通して神にささげるもの、一致のためのものであることを再確認させています(1コリント12:12~31)。各自の体は違うけれども、そこに宿っている聖霊はみんな同じ。このパウロの言葉は、現在の教会においても通じます」

聖霊の視覚化に関心を持つ鈴木さんは、徹底した写実性、劇的な明暗対比や感情表現で後のバロック期の画家に多大な影響を与えたといわれるイタリア人画家カラヴァッジョの「聖マタイの召命」を取り上げた。キリストが徴税人マタイに「わたしに従いなさい」と呼びかけている場面(マタイ9:9)を描いたものだ。絵の中央に射し込む光について、鈴木さんは次のように話す。

カラヴァッジョ「聖マタイの召命」

「イタリア・バロック最大の巨匠カラヴァッジョは、幼少期から工房で師匠から聖書を読むことと絵の具を作ることだけを教わり、30代には画家として高い名声を得ていました。しかし、気性の荒かったため、1606年、35歳の時に喧嘩で1人の男と決闘をし、相手を刺し殺して、ローマから逃亡します。殺人犯として追われる身となりましたが、逃亡先のマルタ共和国で『洗礼者聖ヨハネの斬首』を描き、これが認められ、教皇より免罪されます。ところが、1年も経たずに、再度、些細(ささい)なことで決闘をし、投獄されてしまいます。

映画『カラヴァッジョ──天才画家の光と影』(2007年)では、『聖マタイの召命』を描き上げる場面が感情的に描かれています。カラヴァッジョが目を覚ますと、窓から光が射し込み、ちょうどイエス様が指さしている方向に当たっていた。それで、黒く塗ってあった部分に光を描き込んだのです。最後の一筆を、自分の想像をはるかに超えた力──聖霊の力──に導かれるように描きました。

教会はバベルの塔のように、神の権威を侵害するような巨大な建築ではなく、必要最小限の高さ・広さを持った建築であるべきです。そして、イエス様が地上に来られた時のように、教会という建築物は必要最小限の中でこそ、神に栄光を帰することができるし、その中に美しさがあるのです」

現在、鈴木さんは、美術家・建築家として新しい教会建築に取り組んでいる。その中で重点を置くのは光だ。神が創造した自然光を礼拝に取り入れた光の空間。その意図を次のように語って講義を締めくくった。

「礼拝堂は神の家であることは間違いないが、建物自体は単なる箱であり、そこに意味はありません。『二人または三人がわたしの名によって集まるところには、わたしもその中にいるのである』(マタイ18:20)とあるとおり、そこに集う一人一人が大事で、聖霊を内に持つ人たちの集まりが美しいのです。内在する聖霊を一体化し、一致した聖霊を視覚化するのが光の空間。それによって私たちの中に聖霊が内在していること、その聖霊が私たちのためにいることを再確認したいと願っています」

鈴木さんが講師を務める日本福音学校新宿校は、賀川豊彦の創設した「イエスの友会」の伝道精神を継承した教育機関として創設された。今年度も4月14日を皮切りに、来年3月16日まで、土曜日午後に講義が予定されている。入学は随時可能で、1講座からの聴講も受け付けている。

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