TCUトーク・イベントに藤薮庸一牧師 映画「牧師といのちの崖」上映も

 

東京基督教大学(TCU、千葉県印西市)は10月30日、藤薮庸一(ふじやぶ・よういち)さん(日本バプテスト教会連合・白浜バプテスト基督教会牧師)を招き、山口陽一(やまぐち・よういち)学長とのトーク・イベントをTCUチャペルで開催した。

山口陽一学長(左)と藤薮庸一さん=10月30日、東京基督教大学(千葉県印西市)で

藤䉤さんは1972年、和歌山県生まれ。95年にTCUの神学部神学科を卒業し、99年、先代の江見太郎(えみ・たろう)牧師の後を継いで白浜バプテスト基督教会の牧師に就任。江見牧師が79年に始めた「いのちの電話」も引き継ぎ、NPO法人・白浜レスキュー・ネットワークを設立。白浜にある名勝「三段壁」で自殺を図ろうとした人々を救出し、自立する支援活動に取り組んでいる。

山口:どのような思いでこの活動を始めたのでしょうか。

藤薮:小学校1年生くらいから教会に行き始めたのですが、その頃から江見先生がこの活動をされていて、教会に行くたびに、先生に助けられた人たちを見てきました。「牧師は人を助けて当たり前だ」とずっと思っていたので、TCUに入った時から「この働きを継ぐしかない」と思っていました。その思いはずっと変わりません。

山口:TCUの学生も夏期伝道で白浜に行かせてもらっていますが、よその地域から来る人をメンバーに加えることに抵抗はないのでしょうか。

藤薮:その人たちから刺激を受けるし、私も刺激を与えたいと思っています。白浜は田舎の町なのでクリスチャンが少なく、私たちの教会しかありません。ですから、私のところにどんどんクリスチャンに来てもらって、地域の人にその生活や生き方を見てもらいたという気持ちがあります。

山口:先生の働きはたいへん注目されていますが、決して簡単な働きではないと思います。これから見る映画について、見どころなどを教えてください。

藤薮:監督は違いますが、プロデューサーの奥さんがクリスチャンです。長期間、白浜に滞在し、私たちと共同生活をしながら撮影してくれました。この活動の性格上、私としてはあまり公にしたくないところがありましたが、監督の情熱が皆に伝わり、一緒に生活をする中で、「顔を出してもいいよ」というふうになりました。

山口:監督さんの熱意に動かされたのですね。

藤薮:心に大きな悩みを抱えた人が不特定多数の人に見られることは、そうとうな勇気がいることです。実は白浜では上映していません。地域の中に入って活動しているので、個人の顔が出てしまうと、「あんた出てたね」って話になる。そういうことを考えると、地元での上映はなかなかできません。

山口:あなたを諦めない──自殺救済の現場から』(いのちのことば社)という著書で、「解決策が見えなくても傍(そば)にいることをやめなかった」と述べられています。

藤薮:いつも思うのは、「自分よりもイエス様が現れてほしい」、「自分が消えて、イエス様の名前だけが残ればいい」ということです。とても深刻な問題なので苦しいこともありますが、それぞれの問題について「イエス様ならどうするだろう」という気持ちで一人ひとりと関わってきたことを皆さんに伝えられるといいなと思っています。

藤薮庸一さん

対談後、藤薮さんの活動に密着したドキュメンタリー映画「牧師といのちの崖」の上映会が行われ、その後、藤薮さんはこのように述べた。

「私たちの命を握っているのは神様で、最後は神様にゆだねるしかありません。だから、この世での出来事の答えは、天国に行った時に見せてくれるはずだと思っています。悲しいことが起きるたびに、自分の足りなさに落ち込み、その都度、葛藤があります。でも、神様を信頼する者として、とにかく前を向き、神様に期待しながらこの活動を続けていきたいと思っています」

福祉学専攻3年の女子学生は、映画を見た感想を次のように語った。「藤薮先生の働きは以前から知っていましたが、今日は先生から直接話を聞けて、リアルに感じることができました。救出しても亡くなる人がいる現実の中でも、働きは用いられていることに神様の力を感じました」

 






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