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日本聖書協会が記者会見 31年ぶりに『聖書協会共同訳』を発行 原典に忠実で、読者に分かりやすく

投稿日:2018年12月9日 更新日: -

 

31年ぶりに『聖書 聖書協会共同訳』を発行した日本聖書協会が3日、発行記者会見を日本基督教団・銀座教会(東京都中央区)で開いた。同協会総主事の渡部信(わたべ・まこと)氏と翻訳部主事補の島先克臣(しまさき・かつおみ)氏が話し、20社のメディアが集まった。

日本聖書協会総主事の渡部信氏==3日、日本基督教団・銀座教会(東京都中央区)で

冒頭、渡部氏は、これまでの翻訳聖書の歴史を振り返り、『聖書協会共同訳』が『新共同訳』と同様、カトリックとプロテスタントによる共同訳である意義を話した。そして、8年をかけてゼロから翻訳、出版されたまったく新しい翻訳聖書であることを強調した。

続いて、『聖書協会共同訳』の特徴について、翻訳作業の方法を通して説明がされた。今から31年前に刊行された『新共同訳』は、原稿も手書きの時代に翻訳作業がなされ、完成までに18年の歳月を要した。しかし今回は、聖書協会世界連盟と、聖書翻訳のための非営利団体であるSILが共同開発した翻訳支援ソフト「パラテキスト」を使ったことにより、完成までに大幅な時間短縮が可能になった。原文と訳文、各種言語の翻訳を同一章節ごとに表示しながら翻訳作業を進めることができるなど、最先端のIT技術を駆使しての翻訳を行ったという。

翻訳については、2004年にオランダ聖書協会が刊行して高い評価を得ているオランダ語訳聖書の翻訳作業と、その翻訳理論である「スコポス理論」を参考にした。「スコポス」とはギリシア語で「目標」を意味し、まず翻訳の目標を選択し、そこから適切な翻訳方針を決定していくという考え。目標を決定しておくことで、いくつかある翻訳原則のどれを使うべきか、「逐語訳」か「動的等価」かという選択に関して揺れが生じることがなくなるという。

また、最初の段階から原語担当者と日本語担当者が一つのチームとして作業しており、翻訳者が翻訳に迷ったときは日本語担当者が判断するようにした。日本語担当者には詩人や歌人があたった。最終段階では、聖書学・神学の専門家、教職者、日本語の専門家、一般信徒、学校教師による外部モニターから意見を聞き、再度、編集委員が訳文を検討するようにした。初めての試みとして、刊行前に聖書全巻のパイロット版を一般公開し、広く意見を求めた。その結果、6861もの意見が寄せられ、これらの意見は最終訳文を作成する際に参照された。

新翻訳では、読者が理解できる聖書を目指して作業が進められたが、その一方、原典に忠実な翻訳も目指した。底本として使われたのは、旧約は、BHQ(ビブリア・ヘブライカ・クインタ)、新約がネストレ28版に基づくUBS第5版(「ギリシア語新約聖書」聖書協会世界連盟編)、そして旧約続編がゲッティンゲン版(「ギリシャ語旧約聖書」ゲッティンゲン研究所)。

原典に忠実な翻訳をするため、新翻訳では翻訳者独自の信仰観が反映されないよう、「分からないものは分からないまま」として翻訳をした。そのため、理解を助けるために他の箇所を参考にする必要があると考え、同じ言語が聖書のどこに載っているのかがすぐ分かるように引照を付した。また、どうしても理解しがたい部分には注がつけられている。引照の数は4万3333、注の数は4411。聖書全体にわたって引照と注をつけたのは、同協会発行の聖書としては初めて。

日本聖書協会翻訳部主事補の島先克臣氏。ヘブライ語の専門家であり、翻訳作業では全体の責任者を務めた=3日、日本基督教団・銀座教会(東京都中央区)で

さらに島先氏から、重要な訳語の変更についての説明があった。一つは、旧約におけるヘブライ語「ツァラアト」(新約ではギリシア語訳「レプラ」)の訳語だ。『新共同訳』では、レプラは「らい病」と訳されていたが、差別的な意味あいがあることから、旧約の訳語に合わせて「重い皮膚病」と改めていた。しかし、その訳語も適切ではないとの指摘を受け、今回は検討の末、「律法で規定された病」を意味する「規定の病」と訳すことにした。

もう一つは、新約におけるギリシア語「ピスティス・クリストゥ」の訳語だ。これは、「キリストへの信仰」と「キリストの真実」の両方の訳が可能だが、限定した部分(ローマ3:22、25、26、ガラテヤ2:16〜20、3:22〜26、エフェソ3:12、フィリピ3:9、「神は真実な方」2コリント1:18など)では「キリストの真実」と訳されている。ただし、「キリストの真実」と訳した場合も、「キリストへの信仰」の別訳が可能であることを欄外に注記した。

今回の翻訳作業では、女性の貢献も見逃せない。『新共同訳』では、全委員90人のうち女性はわずか3人だったが、今回、全148人の翻訳委員のうち、34人が女性で、その意見もかなり反映されているという。たとえば、『新共同訳』で53回出てくる「はしため」が「仕え女」に変わるなどだ。

記者会見の会場には、20社29人が集まった=3日、日本基督教団・銀座教会(東京都中央区)で

渡部氏は、日本聖書協会に翻訳部を設け、ヘブライ語やギリシア語など、聖書の原語に詳しい3人の専門のスタッフを置いてコーディネイトに当たったことを述べた後、次のように話した。

「『どうしてこんなふうに聖書は書いてあるのだろう』ということを分かりやすくするために、新しい聖書解釈や神学の流れに沿って神学的検討を加え、さまざまな意見を取り入れて完成させたのが『聖書協会共同訳』。私も実際に読んで、文章が頭の中にすいすい入ってくる、丁寧な文章になっていると思いました。若い世代にぜひこの聖書を使っていただきたい。今後、皆さんの評価をいただきながら、さらに普及させていければと思っています」

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